ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ マチコ

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閑話

〈閑話〉メネクセス王国 25

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銀ランク上級〔土竜の盾〕リーダー テリュー視点



俺たちがネンシーを出たのは土の季節の終わりごろ、一月は掛からずエクロヤに到着し、リズモーニに入ったのだが……。

「なにそれ、水生成魔法? 飲める水を作れるの?」

「ええ、先月、水の季節の初めの日に 魔導学園の高名な先生が発表なさいましてね、冒険者ギルドではダンジョンで活動される銀ランク以上の冒険者には お伝えするようにしているのです」

「そんな情報は初めて聞いたが リズモーニだけの秘匿案件なのか?」

「いえいえ、発表されたのが先月ですよ。
私たちも 呪文と理論が送られてきたところで やっと満足いく量を出せるようになってきたというところですね。
この情報は王国から大陸全土に発表されましたので、各国から ギルドに連絡をされるのはもう少し時間がかかるかもしれませんが、その点は 我々は自国の事でしたから いち早く教えていただけたのです。
あなた達も良い時期に我が国へ来られましたね」

クラベツィアの町に入り ギルドで情報収集をしようと思った途端にこれだ。
ネンシーのギルドではそんな情報なかったから、本当に発表されたばかりなんだろう。
出来ればヴィオの捜索も急ぎたいが、この魔法が使えるようになれば 今後の行動が楽になることは間違いない。
ということで クラベツィアの町でしばらく滞在し、水生成魔法の習得に勤しんだ。


3週間ほどかかったが、一度に出せる水の量に差はあれど 全員が飲める水を出せるようになった。

「水を持ち運ばないで良いなら 荷物が減らせる。荷物が減らせれば食料を持ち込める。
となれば途中で断念してたダンジョンも入れるんじゃないか?」

「だな、だけどまずは魔境だ。ヴィオの生存確認をして それからだな」

普段は冷静沈着なレスが 少し興奮しながら未踏破ダンジョンの事を言い出した。俺もそれは思ったし 絶対再挑戦しようと思う。リズモーニに折角来たなら 行っておくべきだしな。

練習を続ければ 水樽一つは簡単に溜められるようになると聞いたので、俺たちも野営中や寝る前には魔力操作訓練をするようになった。
予定より3週間遅れたが クラベツィアの町を出発した俺たちは、火の季節の始まりにサマニア村に到着することが出来た。


◆◇◆◇◆◇


「ピンク髪の子供?さあねぇ、もし見ることがあったら 探していた人がいると覚えておくよ」

「ヴァイオレット? そんな貴族みたいな名前の子いないねぇ。うちは辺境だよ? 住民以外の人が来るなんて トラウト漁の時ぐらいなもんさ、そんな子が居たらすぐに気付くさ」

サマニア村に到着して直ぐ ギルドで確認してみたが 村民の情報は軽々に教えられないとすげなく断られた。
一応俺たちの身分と理由も伝えておいたが ギルマスとサブマスがギルド会議で丁度不在だったようで ヘイジョーに直接連絡をしてもらうという手が使えなかった。

それで村の住人に声をかけたんだが、まああれだ。辺境によくある余所者に厳しい対応をされた。
この町に人が多く集まるのは風の季節、その時期に来た方が良かったのかもしれないけど、出来るだけ早く確認したかったのが悪かったのか。

-あれっ……オの事を……んじゃねえの? なんで大人…………いんだ?-

―バカ、……が髪の……した時の……いのか? 人攫い……って……だろ?―

―あ、そっか―

大人たちが集まる村の中心で聞き込みをしていたら 小さな声が聞こえた気がして振り返れば、兎耳の少年と 猫耳の少年が何やらじゃれ合っているようだった。
だが人攫い?
まさか俺たち人攫いだと思われているのか?確かにちょっと顔はフィルみたいに優男ではないけど……。

「ねえ、君たちにも聞きたいことがあるんだけどいい?」

気付けばネリアが少年たちに声をかけている。
パッと見た感じヴィオと同じくらいだろうか。
周囲の大人は注意深くネリアたちの様子を見つめているけど 止める気配ははい。だが何か事を起こせばすぐに拘束されるだろうな。首筋がピリピリしやがる。

「あのね、私の大切な友人の子供を探しているの。
その子は今6歳になった筈でね、お父さんとお母さんとはぐれてしまって 悲しんでいるんじゃないかなって思ってるの。
ピンク色の髪でとっても可愛い女の子なんだけど 見覚えないかな」

「んぐっ」

「見覚えはないです。両親とはぐれたのは可哀想だけど お姉さんたちはどうしてその子を探しているんですか。
両親は生きてるのですか?
だったら何故その人たちが探しに来ないのですか?」

兎の少年は 何か言いそうになってたが 猫の少年に止められた。
かわりにその少年が聞いてくる。生きているか……か。
ネリアには認め難いだろうな。

「少年、俺たちはその子の父親と友達なんだ。
ちょっと理由があって 町を離れられないから俺たちがこうして 色んな町に行って探しているんだ。
もし その女の子の情報があれば、そうだな……ギルマスに伝えてくれないか?
ギルド同士で連絡は出来るからな、もし分かれば直ぐにまた迎えに来たいんだ」

「……そうですか。ではギルドにそのように伝言と どこのギルド宛なのかを書いておいてください。あ、あとあなた達のパーティー名も」

「あ、ああそうだな。俺たちは〔土竜の盾〕銀ランク上級パーティーだ。普段はメネクセス王国にいるが しばらくはこの国にいるつもりだ。
早速ギルドにも伝えてくるよ。ありがとうな」

涙を浮かべたまま黙り込んでしまったネリアは オトマンに抱き上げられている。
俺は二人の子供たちに感謝を告げてその場を去った。
この村には風の季節しか宿の営業はないと言われた。
仕方がないので村の外に出てから テントを張って野営をすること
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