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【9】決意と秘密ー1(R−18)
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折原は翌日の仕込みをして軽く情報を漁ったら直ぐに休むつもりでいたのだが、見始めたらPC画面から目を離せなくなった。
(犠牲者がもう出たなんて、早すぎる……)
巨大だと言ってもそれ程の危険はないだろうと思っていたのに、早くも昆虫による死傷者が出た。
老人が甲虫類に踏み潰されたり、子供が飛翔に巻き込まれて転んだりしたのだ。
他にも捕まえようとして高い所から振り落とされたり、角を振るわれて腹部に重症を負った者もいた。
(警察も対応に四苦八苦か……)
地域にもよるが、本来なら虫の駆除は個人で行う。
役所が請け負っている所もあるが、それにしたって今回のは対象外だろう。
それに下手に手を出して、団体で向かって来られても困る。
やはり専門家の意見を待つべきだろう。
(でも巨大になった虫の行動なんて、専門家でもわからないんじゃないの?)
誰が正確に予測して、誰が責任をとるのか。
災害と見なして政府が指揮をとるべきか。
だが未だに政府からは何の公式声明も出ていない。
そしてそうこうしている内に、企業が巨大昆虫の価値に目を付けた。
(昆虫の毒が薬になる? 外郭が宇宙船のパーツに応用出来て? 中身は高プロテイン食にもなる? うぇ、そういう文化があるのは知ってるけど、俺は昆虫食はちょっと……)
折原はあれも出来るこれも出来ると夢のように良いことばかりを並べられて眉を顰めた。
それは可能性だけなら幾らだってあるだろう。
だがその為にクリアすべき問題が大き過ぎる。
(政府から金でも貰ってんのか?)
大企業が政府の為にプロパガンダを行う事は昔からあった。
今回のもそれかなと折原は思ったのだが、どうやら幾つかの企業は本気で巨大昆虫を売り物にしたいらしい。
(巨大昆虫ビジネスか……)
折原だってそれがビジネスチャンスである事はわかっている。
危険は大きいが、いち早く動けば市場を独占するチャンスだ。
(こういうの、うちの親父が好きなんだよなぁ)
山っ気の強い折原の父親は掛け金が大きいほど喜んで乗りたがる。
一見、IT企業とは何の関係もないように思えるが、生体素子やバイオコンピュータ、または人工生命体に応用したりと使い途は多い。
(念の為、確認しておくか)
折原は父親の会社で働く何人かの知り合いや秘書に電話して探りを入れてみた。
そうしたらまだ形にはなっていなかったが、案の定、早速研究を指示したらしい。
(全く、あの人も懲りないな)
折原の父親は以前にも何度か危ない山に手を出して失敗しそうになっている。
周りが気が付いて祖父に進言した為に最悪の事態は免れたが、尻拭いの為に多くの人に迷惑を掛けたのを折原も見てきた。
それに父親一人で破滅する分には構わないが、彼の会社には日影が勤めている。
あんな会社は辞めた方が却って彼の為には良いと思ったが、彼が巻き込まれては大変だしそれに日影の意思を聞いていない。
あんなになるまで働いていたのだから、もしかしたら今の仕事が好きなのかもしれない。
(だから俺は、日影さんの為に親父の暴走を阻止する)
会社が変な方向へ行かないように、研究・開発に手を出すことを止めはしないが無理な資金繰りや材料の調達をしないように見張らなければいけない。
その為に折原は父親の会社に入社するつもりだった。
(日影さん、あなたの休暇明けに俺も合わせるからね)
折原はPCの電源を落とし、日影の眠るベッドへそっと近寄った。
顔にかかった髪を指で掻き分けたら、大理石の彫像めいた美貌が現れてドキリとした。
(こんなに綺麗な人だったかな……)
それは最初から整った顔立ちだとは思っていた。
照れた顔も笑った顔も可愛いし、最中のこちらを流し見る視線と言ったら折原の理性を食い破る程だ。
だけどただの寝顔がこんなにも綺麗だなんて。
折原は日影の冷たそうな唇にそっと触れてみた。
触れたら開かせたくなって、親指で押し開いて軽く差し込んで見る。
指先がカツンと硬い歯に当たり、唇の内側の濡れて吸い付く感触に興奮する。
今すぐにもっと奥まで指を突っ込み掻き回してやりたい。
そんな衝動に駆られて折原の息が荒くなった。
(ダメだって。寝てるのに、起こしちゃダメだ)
だったら起こさなきゃ良いのでは?
そんな考えが頭に浮かんで、折原はゴクリと唾を飲み込むと日影のシャツのボタンをゆっくりと上から外していった。
硬い喉仏から稜線が露わになり、ぱらりとシャツが肌蹴て胸が見えた。
少し大きめの乳首はぷるんと柔らかそうで、折原はそっと口に含んでみた。
(犠牲者がもう出たなんて、早すぎる……)
巨大だと言ってもそれ程の危険はないだろうと思っていたのに、早くも昆虫による死傷者が出た。
老人が甲虫類に踏み潰されたり、子供が飛翔に巻き込まれて転んだりしたのだ。
他にも捕まえようとして高い所から振り落とされたり、角を振るわれて腹部に重症を負った者もいた。
(警察も対応に四苦八苦か……)
地域にもよるが、本来なら虫の駆除は個人で行う。
役所が請け負っている所もあるが、それにしたって今回のは対象外だろう。
それに下手に手を出して、団体で向かって来られても困る。
やはり専門家の意見を待つべきだろう。
(でも巨大になった虫の行動なんて、専門家でもわからないんじゃないの?)
誰が正確に予測して、誰が責任をとるのか。
災害と見なして政府が指揮をとるべきか。
だが未だに政府からは何の公式声明も出ていない。
そしてそうこうしている内に、企業が巨大昆虫の価値に目を付けた。
(昆虫の毒が薬になる? 外郭が宇宙船のパーツに応用出来て? 中身は高プロテイン食にもなる? うぇ、そういう文化があるのは知ってるけど、俺は昆虫食はちょっと……)
折原はあれも出来るこれも出来ると夢のように良いことばかりを並べられて眉を顰めた。
それは可能性だけなら幾らだってあるだろう。
だがその為にクリアすべき問題が大き過ぎる。
(政府から金でも貰ってんのか?)
大企業が政府の為にプロパガンダを行う事は昔からあった。
今回のもそれかなと折原は思ったのだが、どうやら幾つかの企業は本気で巨大昆虫を売り物にしたいらしい。
(巨大昆虫ビジネスか……)
折原だってそれがビジネスチャンスである事はわかっている。
危険は大きいが、いち早く動けば市場を独占するチャンスだ。
(こういうの、うちの親父が好きなんだよなぁ)
山っ気の強い折原の父親は掛け金が大きいほど喜んで乗りたがる。
一見、IT企業とは何の関係もないように思えるが、生体素子やバイオコンピュータ、または人工生命体に応用したりと使い途は多い。
(念の為、確認しておくか)
折原は父親の会社で働く何人かの知り合いや秘書に電話して探りを入れてみた。
そうしたらまだ形にはなっていなかったが、案の定、早速研究を指示したらしい。
(全く、あの人も懲りないな)
折原の父親は以前にも何度か危ない山に手を出して失敗しそうになっている。
周りが気が付いて祖父に進言した為に最悪の事態は免れたが、尻拭いの為に多くの人に迷惑を掛けたのを折原も見てきた。
それに父親一人で破滅する分には構わないが、彼の会社には日影が勤めている。
あんな会社は辞めた方が却って彼の為には良いと思ったが、彼が巻き込まれては大変だしそれに日影の意思を聞いていない。
あんなになるまで働いていたのだから、もしかしたら今の仕事が好きなのかもしれない。
(だから俺は、日影さんの為に親父の暴走を阻止する)
会社が変な方向へ行かないように、研究・開発に手を出すことを止めはしないが無理な資金繰りや材料の調達をしないように見張らなければいけない。
その為に折原は父親の会社に入社するつもりだった。
(日影さん、あなたの休暇明けに俺も合わせるからね)
折原はPCの電源を落とし、日影の眠るベッドへそっと近寄った。
顔にかかった髪を指で掻き分けたら、大理石の彫像めいた美貌が現れてドキリとした。
(こんなに綺麗な人だったかな……)
それは最初から整った顔立ちだとは思っていた。
照れた顔も笑った顔も可愛いし、最中のこちらを流し見る視線と言ったら折原の理性を食い破る程だ。
だけどただの寝顔がこんなにも綺麗だなんて。
折原は日影の冷たそうな唇にそっと触れてみた。
触れたら開かせたくなって、親指で押し開いて軽く差し込んで見る。
指先がカツンと硬い歯に当たり、唇の内側の濡れて吸い付く感触に興奮する。
今すぐにもっと奥まで指を突っ込み掻き回してやりたい。
そんな衝動に駆られて折原の息が荒くなった。
(ダメだって。寝てるのに、起こしちゃダメだ)
だったら起こさなきゃ良いのでは?
そんな考えが頭に浮かんで、折原はゴクリと唾を飲み込むと日影のシャツのボタンをゆっくりと上から外していった。
硬い喉仏から稜線が露わになり、ぱらりとシャツが肌蹴て胸が見えた。
少し大きめの乳首はぷるんと柔らかそうで、折原はそっと口に含んでみた。
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