水の都~二十年越しの恋~

海野ことり

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㉕幕間−1(R-18)

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 蓮治から娘を振って良い、と言われた駒はその旨を彦十朗に告げた。

「兄さん、最後の仕上げは兄さんが手伝ってくれますよね?」
 妖しい笑みを浮かべる駒に彦十朗は苦い表情で反論する。

「娘を袖にするくらい……お前一人でも出来るだろう?」
「それがなかなか思い込みの激しい娘さんで……。一緒に逃げてくれなんて言うんですよ。そうでなければ一人で死ぬって」
「そう簡単に死ぬものか」
「ならば放って置きましょうか?」
「待てよ、曲がりなりにも喜多屋の親戚を名乗ってるんだ、醜聞があっちゃ不味い」
「ええ、ですから穏便に諦めて貰うのが一番良いと思います。兄さんが相手なら張り合おうという気すら無くなるでしょう?」
「…………」
 彦十朗は仕方なく手伝いを了承した。ちょっと駒を可愛がるフリでもしておけばいいと、込み上げる不安を誤魔化すように自分に言い聞かせた。
 そしていつかの再現のように連れ込み宿の一室で、押し倒す筈の駒に逆に押し倒されて焦った。

「ちょっ、こまっ、俺が上なんじゃあ――」
「しっ!静かに。隣に娘さんがいますから、僕が本当に好きなのはあなただと信じ込ませないと。ね? 娘さんが逃げ出すまでですから」
 彦十朗は何だか良いように言い包められている気がしたが、今更ぶち壊す訳にもいかずその白い腕をするりと駒の首に回した。

 首筋を舌で濡らされ、張り付いた熱い唇が肌を吸って彦十朗の指先に力が入った。

「んっ……お前が好きなのは、あの娘なのだろうが……」
「違う、あなたが振り向いてくれないから、僕は……」
「あっ!」
 膝を割られて彦十朗が怯んだように声を上げた。けれど駒は構わずに手を差し込む。

「あなたが振り向いてくれるなら、他には誰も要らない」
「そんな、事を言って……戯れなら、止めて……あンッ!」
 着物の中で指が後孔に入ってきて彦十朗は吃驚して顎を反らせた。

「ンッ、待って…………そこは、」
「駄目なんですか? ねぇ、駄目なんですか?」
 つぷつぷと指を出し入れされて彦十朗が唇を噛んで首を横に振った。腹側を指で擦るような動きが善一にそっくりで思わず反応してしまった。

「ああ、簡単に綻んで……。ほら、指を悦んで飲み込んでいく」
「ちがっ、わたしは……」
「嫌なら僕を突き飛ばして逃げて下さい。そうでないなら僕はあなたを手に入れる」
「こま――あっ!」
 襞をくちゅりと掻き回されて彦十朗がギュッと目を瞑った。掻き回されるとどんどん後ろが綻んでしまう。
 蓮治と付き合っている時は強引に開かれそれが心地好かったのだが、善一には自ら濡れてほどける事を教え込まれた。
 彦十朗は善一によって花開き、成熟した身体に変えられてしまった。

「こま、本当にもぅ……」
 娘は帰っただろう、と小声で問うたら駒が耳元に熱い息を吹き込むように答えた。

「いいえ、僕らが何をするのか目を凝らして見ていますよ。よく分かっていないのじゃないかしら」
「そん、なぁ……」
 男同士で何をするかなど、経験の無い少女に分かる筈もない。どうせ分からぬならこのまま抱擁でもして終わりでいいではないか。彦十朗がそう持ちかけようとしたら後孔への指を二本に増やされた。

「ひぁっ!」
「指……ナカで開かれると、締め付けちゃうんですね。彦十朗兄さん、可愛い」
 うっとりと囁いて駒が指をバラバラと激しく動かした。まるで三味線を掻き鳴らすかのようなその動きに彦十朗が背を反らせて喘ぐ。

「ヤダッ、掻き回しちゃヤッ!」
「ダメ。ずっとこうしてるとイッちゃうんでしょう? イクところを俺に見せて」
 駒が俺と言った事にも気付かずに彦十朗は身体を波打たせて身悶えた。

「イヤッ、やめ、やあぁっ!」
 掻き回されるとナカから濡れるような気がする。いつもそのくらい自分はぐちゃぐちゃになってしまう。
 濡れるのが嫌なのにぐちゃぐちゃにされてイカされて、耐え切れずに泣き出すと善一の大きなものが入ってくる。彦十朗は彼の肩に顔を擦り付けて甘えたように泣きじゃくる。

『彦、しんどかったか?』
 ナカで動きを止めたまま訊ねる男に頷く。
『そうか、ごめんね』
『善一のばか。意地悪』
『うん』
『本当に……大嫌い』
 愛してる、と同義のその言葉に善一が応えるように口付けてゆっくりと動き出す。
 身の内を貫く凶器に彦十朗は歓喜の声をあげる。

『ぜん、ぜんいち!』
『可愛い。彦、あんたは可愛いよ』
 甘やかす声が、唇が。髪を撫でる大きな手が、脚を下から撫で上げる指先が。自分を愛していると告げている。

「ぜんっ……!」
 彦十朗は善一の名前を呼びながらイッた。

「彦十朗さん、可愛い……。善さんのやり方ならよく知ってるから、きっとあなたを満足させてあげられる――」
 駒がそう言った途端に彦十朗の気配がガラリと変わった。
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