【完結】俺の身体の半分は糖分で出来ている!? スイーツ男子の異世界紀行

海野ことり

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86.助っ人-2(R−18)

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「おっ、宝石が付いてる」
 驚いたことに、緊箍児は単なる金の輪っかじゃなかった。
 淡い水色の宝石が付いていて、おまけに何やら文字も彫ってある。
 でも梵字みたいな全く馴染みのない文字で読むことが出来ない。

「なあ、これに文字が書いてあるんだけど、なんて書いてあるのか知ってるか?」
「知らん。俺に読める訳が無いだろう!」
「ハヌマーンは字が読めないの?」
「違う! 頭に付いているものをどうやって見るんだ!」
「あっ、そういうことか」
 もしもハヌマーンに読めるのなら、俺が紙に書き写して読んで貰えればいいんだけど……。

「ぐぬぬ……難しい!」
 言っておくが、俺に絵心はない。全くと言っていいほどない。だから文字というよりも絵のようなこれを上手く書けない。

「ハヌマーン、もう少し見やすいように傾けよっ!」
「無茶を言うな!」
 ギャアギャアと騒いでいたら、横から腹に腕を回されて身体を攫われた。

「チヤ、私と代われ」
 業を煮やしたロクが俺の代わりに文字を書き写し始めたんだけど、なんだか怒っているみたいだ。

「ロクぅ? 何を怒ってんだよ」
「わからないのか?」
「わからないから聞いてんだろ」
「……後でお仕置きだな」
「なんでだよっ!」
 理不尽だがロクに撤回する気はないっぽい。
 俺はロクがこういうところで折れないのをよく知っている。

(参ったなぁ。きっと泣くまで――いや、泣いても許してくれない)
 グチャグチャに泣かされるのはその後がスッキリとするから意外と嫌じゃないんだけど、その後の手当が嫌だ。
 感じすぎて全身が剥き出しの神経になったかのような身体を触れられるのは辛いし、反省したロクが薬を塗る為にそろそろと指を入れてきて、それだけでビクンと身体を震わせてイッてしまうのが恥ずかしい。
 薬を塗る為の指を必死に締め付けて、抜いちゃヤダって引き止めて、勝手に脚が開くのが本当に恥ずかしい。
 それを見たロクが耐えきれずに指先をチョコチョコと動かして、身体のナカで翻るものに俺は甘えるような嬌声を上げてしまう。

『あぁぁん、もっと……それ、すきぃ……』
 自分から尻を掲げてそんなことを言うのは俺だってプライドが傷付く。
 そん時はよくても後から自己嫌悪に苛まれる。
 畜生、快楽に呑まれて理性が負けてしまったって、浅ましく強請ってしまったって落ち込む。
 しかも――そうまでしてロクが踏み止まった時が最悪だった。

『これ以上はお前の身体に負担が掛かる』
 なんて今更なセリフで薬を塗った後のえっちを我慢したロクの前で、俺は泣きながら後ろの穴をパクパクと喘がせてしまう。
 ハッ、ハッ、ハッ……と短い呼吸を繰り返しながらロクの眼前に切ながっている場所を曝し続ける。
 早くシて欲しいのに興奮しすぎて声が出ない。
 ロクの馬鹿もさっさと俺を寝かせればいいのに、未練がましくそこから目を離せないようでジリジリとした視線を感じる。

(くそ、生殺しだ……)
 俺はナカでイキたいって、そればかり考えて身を捩ってたら思い出しイキって言うの? ナカを擦られる感触を思い出して空イキしてしまう。
 ロクの目の前で妄想だけでイってる俺。
 本当に最悪だ。


「チヤ? そんな顔をしてどうした」
「そんな顔って、どんな顔だよ」
 不貞腐れてそう言った俺の前で、ロクは優しく笑って自分に意地悪をされている顔だと言った。
 畜生、わかってるなら聞くんじゃねぇよ。

「お前たちはまたオス同士で乳繰り合ってるのか? そんなことより早く文字を見せろ!」
 ハヌマーンの言葉に俺たちは気を取り直してロクの書き写したものを見る。
 やっぱり俺の目には模様にしか見えない。でも、ハヌマーンには違ったようだ。

「なんと! お師匠様の字ではないか!」
 ロクが見たままを写した所為なのか、お師匠様の筆跡を再現しているらしい。

「お師匠様が作ったんだから当たり前だろ。それよりも内容は? なんて書いてあるんだよ?」
「うむ、この者は神の――『神の眷属だから、無礼を働かないように。もしも罪を犯したなら、岩山に千年閉じ籠めるのでミロクまで知らせよ』って、呼び出し方法が書いてあるではないか!」
「はは、お師匠様……」
 お師匠様はハヌマーンを見放した訳じゃなかった。ちゃんと気に掛けていた。
 良かった良かった、と和んでいたらちっとも気にした様子のないロクが早く呼び出そうと急かした。

「呼び出し方法は?」
「待て、香を焚かねばならぬらしい」
「お香?」
 そう言われて日本人の俺はお線香、もしくは蚊取り線香を連想するんだけど勿論異世界にそんな物はない。
 代わりに魔物みたいな獣を遠ざける香木があって、それを焚くことになった。
 獣が嫌いな香木は、ひょっとしたら獣神も嫌いなのかな~と思いながら大きな火を焚いた。
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