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第1章 追放冒険者編

20.復讐を誓う追放した冒険者

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ここは、とある洞窟。
クエストを達成しようと奮闘するB級冒険者のパーティーがいた。


「くそ!  こんなはずじゃないんだ!!」


ウェルを追放したB級冒険者。
そのパーティーのリーダー。
剣士ビリー。

巨乳美女だが目つきの悪い魔導士カーリン。
スキンヘッドでムキムキの拳闘士ユルゲン。

3人はクエストのため洞窟に来ていた。


「あいつに負けてから何もかもグチャグチャだ!」


剣士ビリーはウェルに負けて、罰ゲームで街を全裸逆立ちで一周するという醜態をさらした。

親である領主から勘当され、その精神状態のせいでクエストが失敗続きになってしまった。


「落ち着いてよビリー!  
また失敗なんてイヤよ!」


基本的にはビリーの先走りや焦りによる失敗が多い。
カーリンはそれを懸念している。


「冷静になれ!  あんたはリーダーだろ!」


ユルゲンも同じ気持ちだ。


「うるせえ!!  
オークの巣の排除ぐらいで俺が殺られるか!!!」


オーク。
豚のような姿をした魔物で危険度Cランク。
一体ではなく巣を根絶するためBランクの任務だ。


「おやおや、何やらお悩みがありますかな?」


「!?  だれだ!?」


後ろの方からパーティーの誰でもない声がする。
全身黒いローブでフードを被った怪しい男がいつの間にか立っていたのだ。


「気味の悪い。何者ですか?」


カーリンに応じる謎の男。


「私は楽園の使徒『ラプラス』の遣いです。
この世界を救いたい。あなたがたを救いたい。
そんな善良なる活動をしている組織です」


「自分で善良とか言うやつにろくな奴はいねぇよ!」


謎の男の言葉を否定するユルゲン。


「信じてもらえないかもしれません。
しかし、私にはわかります。
そちらの剣士さん」


「あ?  俺か!?」


「あなたの心は怒りと不安に満ちています。
いったい何があったのでしょうか?
私はあなたに力を与えて救うことができます」


謎の男はフードからチラッと見える目で、ビリーの目に向かって視線を送りながら話し続ける。

そしてたら、ビリーは虚ろな目になっていった。


「ち…か…ら…」


「おいビリー!  
こんな怪しいやつの話なんか聞かなくていい!
さっさとクエスト達成しようぜ!」


ユルゲンはさっさとクエストを終わらせようと説得するが…。


「力…力か…そうだ…力だ!」


「ビリー?」


ビリーの様子が明らかにおかしくなっている。


「力!  力!!  力!!!!
力さえあれば俺はこんな惨めな思いをすることはなかったんだ!
力さえあればあのガキに負けることはなかったんだ!
力さえあれば俺は一流の冒険者になれるんだ!!」


ビリーは叫び声をあげる。
まるで力があれば自分の今の状況を全て打開できるかとように。


「そうです!  力です!!
あなたが望むなら力を与えましょう」


謎の男を共鳴するかのように声をあげる。


「おい!  どうしちまったんだ!?」


ユルゲンがビリーの肩を掴んだ瞬間。


ズバ!

ズバ!


ビリーはユルゲンとカーリンを斬った。


「ぐはっ!」


「がっ!」


血を流して倒れ込む二人。


「邪魔するなぁ!!!
俺の邪魔をするやつは全員敵だ!!!」


ビリーは狂ったように剣を振り回す。


「くへひゃひゃひゃひゃ!!
ひゃははははっ!!」


ビリーの奇怪な行動と叫び声に感動をする謎の男。


「素晴らしい!!!
あなたには才能があります!!
これほど神の恩恵を与えられるなど!!
さぁ、奥へ参りましょう。
あなたに力を授けます」



「早く!!  早く早く力を!!!
あのガキをぶっ殺してやる!!!」


謎の男とビリーは洞窟の奥へ進んでいった。


「うぅ…ビリー…」


微かな意識の中、二人の姿を目にしながら、
ユルゲンは気を失った。










一方その頃。


グリーンドラゴン討伐から2週間が経過していた。

俺はまた良いクエストがないかギルドの掲示板を眺めている。


「うーん、A級冒険者向けのクエストはないなぁ」


逆に言えば平和の証。

そして俺は、このギルドの唯一のA級冒険者だ。

色んないざこざや、突然の冒険者の決闘を申し込まれるとかあったけど、やっと実力を認めてもらって、今はギルド内の空気はいい。

うんうん、争いはないことに限る!

まぁ、焦ってクエストを受ける必要はないか。
1年分も宿に泊まれる報酬はあるんだし。

よし!

前世で憧れていて一度もやったことのないアレをしてみるか!


そう!!!


真っ昼間に酒を飲む!!!!!!


「よーし!  早速ギルドの酒のカウンターへGO!」


俺はクエストの受付とは別の酒のカウンターへやってきた。


「おねーちゃん!  エールを1つ!」


エールとは簡単に言うと地球でいうビールのことだ。


昼間から酒を飲んでのんびりしてみたかったんだよな!


「ボクー?  
子供はまだお酒を飲んじゃダメなんだぞ?」



ガーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


しまったーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


俺の姿は子供だったーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


中身36歳なのに酒が飲めないのかーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「残念じゃったのう!  
お子様はジュースでも飲んでおるのじゃ。
そこの者、妾にワインを持ってくるのじゃ」


「…お嬢ちゃんもまだ早いわよ。
お酒は大人になってからね」


「妾は大人じゃーーー!!!!!!」


笑顔は未成年の飲酒を許さないカウンターのお姉さん。

エリスお嬢様ドンマイ!

やれやれ、しばらくお酒はおあずけかな。


ガタン!


誰かが勢いよくギルドの扉を空けた。


「た、た、大変だ!!!
オークの大群がこっちに向かって来ているぞ!」


緊急事態発生か!?
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