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第1章 追放冒険者編

27.俺たちも仲間を救いたいんだ!

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「はぁ…はぁ…」


くそ…もうそんなに戦えない。

どうしたものか…。


だが…まだまだあきらめないぞ!


するとオークロードの様子が少し変なのに気づく。
なんというか大人しくなったように思える。


「ウェル…ベルク…。
コ…ロ…ス…コ…ロ…ス…コ…ロ…ス…。
……た…す…け…て…」


オークロードの口調が変わった!?
今、助けてって?

ビリーの意識が少しずつ出てきているんだ!
あとちょっとだ!!


「助ける…助けるよ!
だから…あきらめないでくれ!!!!」


俺は必死に問いかける。

しかし、


「ぐおおおお!!!!!!」


また雄叫びをあげるオークロード。
斧を持ち替えて俺に向かって振り下ろす。


「!!空間魔法『テレポート』!!」


俺はすぐさまテレポート。
10m離れた木の上に避難した。


ズドーン!!!


オークロードの振り下ろした斧は地面を砕いて
その衝撃で何本もの気をなぎ倒した。


なんて威力だ。

まだこんなに力が…。

でも動きも鈍くなっているし
再生スピードも落ちている。


あとちょっとだ!!!


しかし、俺自身も疲労がたまりすぎてもう何発も大技が撃てない。


くそ!!


もう少しでビリーが目覚めるのに。
やっと俺の力で人を助けることができるのに。

また…救えないのか…?



「ウェル!!!!!」


ん?


あれは?


「こっちに来い!!!」


そこにはカーリンとユルゲンがいた。

森の外に避難したのに。


「マナポーションだ!
これで回復してくれ!!」


カーリンがマナポーションを両手で高々と上げて叫んでいた。

助かる!

準備不足でアイテムボックスのマナポーションが尽きていたんだ!

これで『マナドレイン』を使わずに済む!


俺はすぐさま木の上から空を飛んでカーリンたちのもとへ降り立った。


「助かります!」


俺はもうヘロヘロだから『マナドレイン』と大技を交互に繰り出せるのは1回だけだろうと思っていた。

次で決めなければ。


「あと私たちの魔力も使ってくれ!!」


え?

なんだと!?


「あんたの戦い見てたぞ!
正直驚くばかりだが魔力を吸収しながら戦っているんだろ!?
なら、俺たちの魔力を使ってくれ!!
ビリーを助けたいんだ!!!」


「で、でも…人間に使ったことないから加減がわからない…。
ヘタしたら魔力を吸いすぎて死んでしまうかも…」


「俺たちの仲間なのに他人に命をかけさせるわけにはいかねぇ!!
俺たちも命をかけて仲間を救いたいんだ!!」


なんて仲間想いなんだ。


「俺たちも使ってくれ!!」


後ろの方から声が聞こえた。
振り向くとC級冒険者とB級冒険者たちだ。


「ウェルのアニキにしかオークロードは倒せねぇ!!
だから俺たちの力を使ってくれ!!
それにかける!!」


アニキって……。
俺はみんなより中身は年上だけど見た目は13歳だぞ?

だが、みんな想いは受け取った。

みんなの力を合わせれば勝てるかもしれない。
これが最後の一撃だ!!


「分かりました!
闇魔法『マナドレイン』!」


俺はカーリン、ユルゲン、C級とB級冒険者たち、周辺にいるオークたちの魔力を吸い取り始めた。


「うおおおおぉ!」


「すげぇえええ力が抜けていくううううう!!!」


「立ってられねぇ!!!」


次々と倒れる冒険者たち。


「くっ…なんという吸収力なの!?」


「ビリーを…た…頼んだぞ…」


カーリンもユルゲンも倒れ込む。

もういいだろう。
これ以上したらみんな死んでしまう。


「いくぞ!!!!!
空間魔法『テレポート』!!!」


俺はオークロードの元に瞬間移動した。

そして、オークロードの真上に現れた。


「ぐおおおお!!!!!!
ウェルウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!」


オークロードは俺に気づき、大きな斧を
俺に向かって振り上げた。

そのオークロードの斧に対して
俺は1本の剣で挑む。


「ラーニング3つ同時発動!!!!
『ドラゴンクロー』
『剛剣』
『ファイアブレス』
合成『火炎竜爪の剛剣』!!!!」


これが今俺が出せる最高の技だ!!!

みんなの力と想いを込めた一撃だ!!!


「いっけええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」


冒険者たちの声。
カーリン、ユルゲンの声ががとどろく。


「うおおおおぉ!!!!!!!!」


ズガーン!!!!!!!!!!!!


オークロードの斧と俺の剣が衝突する。

その衝撃で周りの木が吹き飛んだ。


そして、


ピシピシ…。


オークロードの斧に亀裂が入り…。


バキーン!!!!


斧は破壊された。


「うおおおおぉ!!!!!!!!」


そしてついにオークロードに、俺の一撃が入る。


ズガーン!!!!!!!!!!!!


「ぐおおおお!!!!!!」


その瞬間、巨大な火柱が立ち込み大爆発を起こした。


「くっ!なんて威力だ!」


周りの冒険者たちはその爆発に耐えて見守る人もいれば吹き飛んでしまう冒険者もいる。


そして、オークロードはみるみる黒焦げになっていった。

爆発が収まる頃。
オークロードは倒れ込んでいた。


「……まだだ!!!」


そう、まだ終わっていない。


むしろここからが本番だ。


「闇魔法『マナドレイン』!!」


オークの魔力をマナドレインで吸い取ってビリーを元に戻す。

しかし、


「…く…ち…力が…入ら…ない…」


俺は限界だった。


「まだだ!!  あきらめてたまるか!!!」


口ではそういうもなかなか集中できない。


「くそ…あと少し…あと少しなのに!!」


俺のマナドレインはだんだん威力を落としていく。

弱っているとはいえオークロードの魔力を吸い取るのは容易ではない。

どうすれば…どうすればいいんだ!?







「私がアシストします!
だから頑張って!!!」


「え? 誰ですか?」


俺の後ろにいつの間に、メガネが似合う美女がいた。


「私はクラーラ。元A級冒険者でゲルドさんの補佐をやっている者です。
少なからず私にまだ魔力が残っていますので私があなたの魔法をアシストします!」


なんと!  ありがたい!!


「わかりました!!
お願いします!!!!」


マナドレインが形になっていく。

魔力を吸い取り始めた


「あと少しだああああ!!!!!!!!」


俺は力を振り絞って集中する。


「ビリー!!
お願い!!  目を覚まして!!!」


「ビリー!!
戻ってきてくれ!!!!」


カーリンとユルゲンは倒れ込み
動けない状態だが声をあげてビリーと叫ぶ。

帰ってきてくれ!!!

ビリー!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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