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第4章 ブルガンリルム王国編

67.ブルガンリルム王国の国王

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負傷者を全員助けて安心していると、多くの魔物が国に向かってやってきたようだ。


「やれやれ…この周辺にも魔物の大群が出るのか…」


国王は50人以上の兵士が負傷するほどの魔物たちの戦いに参加したという。

さらに負傷者を城に返して一人残って戦ったとか。


しかし、近くでそんな多くの魔物がいたのだろうか?

疑問に思った俺は国王に聞いてみた。


「魔物とはどこで戦っていたのですか?」


「ここから50km先の山奥じゃよ。
ワシの空間魔法『ゲートテレポート』で移動したのじゃ」


空間魔法『ゲートテレポート』。

空間魔法『テレポート』の上位版に
空間魔法『エクストラテレポート』というのがある。

そして、その『エクストラテレポート』の更に上位版が『ゲートテレポート』。
空間と空間を繋いで通り道を作ることで更に長距離で移動できる。
最大100kmも移動可能な上級空間魔法だ。

上級魔法が使える国王って何者なのだろうか?


「募る話はあるが今は魔物を何とかしようかのう」


後から入ってきた負傷した兵士はその魔物にやられて逃げてきたという。

他は無事だろうか?


「現在、我が軍は城下街の冒険者ギルド
『ブレイブハート』と共に死守しております!
場所は門の外であります!」


冒険者ギルド『ブレイブハート』。

ブルガンリルム王国最大規模の冒険者ギルド。

そのギルドには『ルミネスゲート』とは違い
何人ものA級冒険者がいる。

更にその冒険者ギルドのトップにS級冒険者が
在籍しているとのこと。


「ふぉっふぉっふぉ!  流石じゃのう!
どれどれ…ワシも行こうか」


国王陛下が魔法を詠唱しようとしたそのとき。


「俺もお願いします!
きっと力になれます!」


「アタシも行くアル!」


『ルミネスゲート』の最大戦力の二人である、俺とテンちゃんが声を上げた。


「二人の頑張り見ていたらウズウズしてきたアル!
ひと暴れしたいネ!」


「俺もだよ。テンちゃん」


エリスお嬢様とリーズの必死な戦いに心が高まった俺とテンちゃん。


「ふぉっふぉっふぉ!  これはありがたい!
ではワシに掴まるが良い!
空間魔法『エクストラテレポート』」


え!?!?
中級魔法を無詠唱!?!?

俺とテンちゃんは恐れ多くも国王陛下の袖を掴んだ。


シュン!!!!


そして、一瞬で戦場へと到着した。


「ふぉっふぉっふぉ!  
中級魔法の無詠唱くらいは使えるわい!」


中級魔法を無詠唱で使える魔導師はA級冒険者でもあまりいない。
国王陛下でありながら、どれだけの凄腕の魔導師なのだろうか。


「ほれ、感心し取らんで来たからには働いてもらうぞ!」


目の前には危険度D~Bランクの魔物がたくさんいた。
だいたい50体ほどだ。


「いくよ!  テンちゃん!」


「やってやるアル!」


俺とテンちゃんは超スピードで魔物たちに突っ込んでいった。

「ラーニング3つ同時発動!!!
『ファイヤブレス』『剛剣』『豪腕』
合成!『火炎獣剛剣』!!!!」


「八極気功拳『超発勁』!!!」


『火炎獣剛剣』。
グリーンドラゴンの『ファイヤブレス』。
ギルドマスター ゲルドの『剛剣』。
オークロードの怪力を組み合わせた炎の斬撃だ。

『超発勁』。
手に集中した『気』を更に練り上げて力を留めて凝縮して打ち込む技。

ウェルもテンテンも危険度Sランクの魔物、ヒュドラと戦った時よりも更に洗練されて、威力が増している。


ズドーン!!!!!!!!


「グギャアアアアアアアアア!!!!!!!!」


なんと50体ほどの魔物たちを一発で一層させてしまった。

中には危険度Bランクもいたというのに。


「腕を上げたねテンちゃん!」


「ウェルこそまた強くなったアルね!」


「エリスお嬢様を守るためにもっと強くならないといけないからね!」


お互いに褒めて認め合う俺とテンちゃん。


「ふぉっふぉっふぉ!  やりおるのう。
ブルガンリルム王国の未来が楽しみじゃわい」


国王陛下もその実力を認める。

そして三人は更に奥深く魔物がいるところまで
入っていくのであった。


進みながら魔物を蹴散らしていく俺とテンちゃんと国王陛下。

俺は魔法剣、テンちゃんは武術。
そして、国王陛下は無詠唱で魔法を放つ。

かなり連携の取れたパーティーとなっていた。
いや、国王陛下が俺たちに合わせている。

さらに互いの役割を邪魔しないように指示もしている。
まるで国王陛下はベテラン冒険者のようだ。


「あ…あの!  
国王陛下は冒険者の経験があるんですか?」


俺は思わず聞いてみた。


「ふぉっふぉっふぉ!  
引退してから随分と経つがのう。
まだまだ若い世代の力になれそうじゃ」


だからこんなに魔法や霊法に詳しかったり、パーティーの役割分担を把握してたりしているのか。


「ふぉっふぉっふぉ!  
聞きたいことはあとでたくさん話してやるから今は魔物に集中するんじゃぞ。
それで命を落とす若い冒険者をたくさん見てきたからのう」


どんなに強くても例外を除いて人体は刃物が通る。

なので油断すると危険度の低い魔物に殺される恐れがある。

油断さえしなければ倒せたはずの魔物に殺された冒険者を何人も見てきたという国王陛下。

冒険者は常に危険と隣り合わせ。
ベテランの言葉に改めて気を引きしめる
俺とテンちゃんであった。


ラーニングにより習得
空間魔法『エクストラテレポート』。
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