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第5章 幽霊屋敷編

86.【第5章完】ギャル精霊だって未練がある

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俺はヴィヴィアンさんとの話が終わるとエリスお嬢様たちがいる宿屋に向かうのであった。


エリスお嬢様たちの目の前で『レナ』を呼び出し改めて自己紹介をする。


「と、言うわけでアタシが キャリー改め『レナ』よ~!  
よろしくね~!」


可愛い顔でウィンク&てへぺろ。
さらに手を頭に掲げて可愛さの強調をしたレナ。

俺のときと全く同じポーズだ。


「よろしくアル!
なんだかこっちの方がやりやすくて好きネ!」


テンちゃんは、第一印象からキャラが変わっても受け入れる。
むしろ、こっちの方が気が合うようだ。


「わたくしこそよろしくですわ!」


リーズはリーズらしく、いつもの丁寧なあいさつをする。


「妾こそよろしくなのじゃ!」


エリスお嬢様もいつもと変わらない。

最初は驚いたが、一度仲間と決めて信頼した相手が悪いやつでなければ、どんなキャラになろうとも関係ないのだ。


「さらにさらに!
国王陛下からリフォームや掃除の代行業者を
手配してくれるぞ!」


10年放置した屋敷の掃除。
お風呂の整備。

これらを行ってくれるそうだ。


時は遡り。

ヴィヴィアンとレナの再会が終わったあと。


「うん、わかった!
よろしく、レナ!
あと、ヴィヴィアンさん…1つお願いが」


「ふぉっふぉっふぉ!   なんじゃ?」


俺はヴィヴィアンに屋敷の掃除をしてくれる業者やお風呂のリフォームをしてくれる業者で良いとこないか聞いたのだった。


「ふぉっふぉっふぉ!  それならワシが手配しよう!」


「え!  いいんですか?」


「ワシの弟子の屋敷を手入れして、不都合なものがあるものか!」


自分の愛する弟子の屋敷。
それは国王としてではなく一人の魔導士として
最後の手向けを与えたいということだろう。

俺たちへのお礼も込めて。


「もちろんお代はちゃんといただくがのう」


「は、はい」


国王としてではなくあくまでも一人の魔導士として。

つまり、タダではない。


「明後日には仕上がっておるから
楽しみにするんじゃぞ!」



そして現在。

ということを俺はエリスお嬢様たちに伝えた。


「明後日にはピッカピカの屋敷に住めるアルか!」


「楽しみですわ!」


「そういえば今。
レナの話を聞いて疑問に思ったのじゃが
なぜレナの父は精霊になれなかったのじゃ?
それとも成仏したのか?」


確かにそうだ。

人の霊が精霊になるには高い魔力と清らかな心や強い信念を持っていると霊から、精霊に生まれ変わることもあるという。

レナは魔力が高いから準精霊になれたが、ギャルな性格のせいで精霊まで昇格できなかったようだが。


「ん~パパは女遊びが凄かったからなぁ~」


全然清らかじゃねぇええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

俺、エリスお嬢様、リーズ、テンちゃんは
そう心に呟いた。

レナのパパは、大魔導ヴィヴィアンさんの弟子なのに。
S級冒険者の一流魔導士で貴族なのに。


「まぁ~マジメで魔力が高いからって精霊になれるわけじゃないし、そこまで未練がなかったから霊にもならなかったんじゃないかなぁ~?」


娘を失ったから未練はない。
むしろやりたいことをやってきたようだ。


「レナは未練があったアルか?」


幽霊になるには未練が重要だ。
レナはそれがあるような言い回しであった。


「まぁ~アタシって若くて可愛いじゃん?」


いや自分で言うな!!!!!!!!!!!!
と心で呟いたエリスお嬢様、リーズ、テンちゃん。

しかし、俺はわかる!!!!!!!!!!!!!!!!
と心で呟いた。


「これから将来もっとキレイになるし
美味しいものたくさん食べたいし…。
大魔導と呼ばれるようになりたかったし
それに…アリストクラキーのことも…」


見たところ16歳ぐらいだ。
(妖精みたいな大きさだからそう見えないが)

若くして死んだら未練は人並みにある。
夢だってあった。
やりたいこともたくさんある。

しかも、レナに父は魔法を教えていたようで、可愛がっていたようだ。
幸せな家庭だったかもしれない。
当主の女遊びは置いといて。


「…だから準精霊になったのかもね…」


まだまだ未来ある少女を殺し回っている闇ギルド『ナハト』。

絶対に許さない!


「怒っているのはウェルだけじゃないのじゃ」


エリスお嬢様がトンと俺の肩の上に乗る。


「アタシも協力するアル!」


俺の左手を強く握るテンちゃん。


「わたくしだって許しませんわ!」


俺の右手をそっと握るリーズ。



「…そうだね…倒そう闇ギルド『ナハト』を!」


敵は強大。

元S級冒険者であるレナの父を殺したギルド。

S級冒険者を凌駕する組織だ。

しかし、それでも俺たちは怖気付くことはない。

相手が格上でも必ず勝利を信じるのであった。


一方その頃。


「…はぁ…はぁ…」


猫族の剣士でエリスのメイドをしていたココ。
闇ギルド『ナハト』を調査するため単独で行動していたが…。


「…に…げ…」


ドサッ


ボロボロになっていたココは倒れた。
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