快楽に貪欲になった元神殺し

魔理沙

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現れた変化

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「………………………う、んん……。……。」
あれ?俺は。……。そうだ。昨夜は。
奴らの襲撃によってヴァイスはヴァンピールになって、それで。眠ろうとした俺にヴァイスは。半ば強制的に俺を犯したんだった。なのにあの行為は夢で最初から無かったみたいに身体は何ともない。だが記憶は鮮明に残ってる。
「………………………。一体、何時から。」
肉欲込みで好いていた。思い返してみてもやはり素振りも何も無かったから分からない。聞いたら答えては、くれるだろうか。
取り敢えず服を着ようと起きようとしたら動かなかった。まさか、また拘束されたのか?そう思ってたら。同じく全裸のヴァイスが俺の隣に寝てて抱き締めていた。
「んん……。カルディア。」
「……………………。う。」
うわああああぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!という絶叫が廊下に響いて、この城の使用人たちが集まってきた。
「カルディア様。」
「いかがなさいましたか?」
『マズい……っ!』
「何でもない!大丈夫だ。」
そもそも何でヴァイスはあんな絶叫を間近で聞いてて起きないんだ!?
何とか使用人たちに説得して退いてもらった。
「ほ……。おい、離してくれ。」
「…………。離せだと?」
さっきまでグッスリと寝てた筈のヴァイスが低い唸り声出して身体が強ばった。強ばった俺の隙をついて押し倒し手首を痛いほど掴むと鋭く光る赤い目を向ける。
「俺になんて言った。まさか俺から離せと言ったのか?」
「っ。ふ、服を着たいだけだ。それだけだ。だから離してくれって言ったんだ。」
「…………。なんだ、そうか。」
悪かった。と言って手首を離し退いてくれた。俺も悪かったと謝り、言葉には気を付けないとな。そう思いつつ着替えようと下腹部を見た。
「ん?なんだ、これは。」
全く見たことが無いな。アザとも、昔の先人たちの一部が彫っていた刺青とも違う。触ってみても特別痛みも痒みなども無い。
「…………………………。仕方ない。」
特別俺たち神殺しはヴァンピールなどの妖怪や悪魔という半吸血鬼の種族の事はデータとして記録されてない。理由は単純。
不要な物だからだ。曖昧な存在の、ましてやいるのかも分からない種族のデータは持ってても意味が無い。
おそらく、いや。間違いなく昨夜の出来事が関係している。そう確信したら当主である紫雲か緋雨の元に向かうことにした。城の廊下を歩いていたら2人は庭園のテラスでゆっくりアフタヌーンティーとやらを楽しんでいた。
「改めてヴァンピールの事を教えて欲しい、か。」
「よろしいですよ。何をお聞きしたいのですか?」
「すまない。」
今朝の出来事をまあ伏せるところは伏せて話したら。二人は納得した。
「まあそうだろうな。ヴァンピールは自分が気に入った相手から離せなんて言われたら最悪監禁するからな。」
話を聞けばこうだった。どうやらヴァンピールは良くも悪くも自分の欲望に忠実な種族だという。1度自分が気に入った相手を自分から手離すという考えは欠片も無い。だからこそ、ヴァンピールになったヴァイスに気に入られた俺の言う離せなんて言葉は禁句なのだ。
「だが。ヴァンピールに気に入られるのは何も悪い事ばかりではない。」
「そうですよ。例えば手段は様々ですが自分の体液と言ったらなんですが。唾液を飲ませるなどして苦痛を与えない、快楽だけを与えると考えるものなんです。本来ヴァンピールは自分の欲を満たす為なら相手など気にかけるなんてしませんから。」
「…………だから。」
詳しく聞けばヴァンパイアは気に入った相手に限らず苦痛を感じさせてまで吸血などの欲を満たそうとは思わないらしい。その為麻薬の作用のある体液を相手の体内に入れる。ヴァンピールはより獣に近いため自分が気に入った相手に限られるとの事だ。
「どうやら思い当たる節があるようだな。」
「ああ。納得した。あ、そうだ。もう一つ聞きたいんだが。」
下腹部に見たことの無い刺青のような物があるんだと話した。すると2人は目を見開いたのを見た。
「…………。下腹部に?」
「あ、ああ。」
なんだ?どうしたと言うんだと思っていると。弟である緋雨が使用人に何か話し
「今すぐ死補さんに確認を。」
「かしこまりました。直ぐに。」
一体あの痕がどうしたと言うんだ。すると紫雲が
「お前に確認したい事がある。」
ヴァイス・ローヴェンダとは血縁関係があるのかと聞かれ。俺は
「あ、ああ。尤も人間で言えば本当に遠い血縁関係に当たるが。」
「…………だから。」
「そういう事か。前もって言う。これからその下腹部の痕を話すが全て事実だ。場所を変える。此処では話せないことだ。」
「わ、分かった。…………。」
なんだ?俺とヴァイスが血縁関係があることとこの痕の何の関係がある。

テラスから城の最上階に行き、そもそもこの痕が何なのかを聞いた。
「先ずは見て確認しないと分からないがおそらくは淫紋だろう。」
「い、淫紋?」
「すみませんが、見せていただけますか?」
「あ、ああ。これだが。」
それで緋雨が確認し、紫雲に
「兄様、淫紋で間違いありません。」
「…………そうか。」
本人は消すつもりは無いだろうな。と俺にも間違いなく聞こえた。あったらいけない物なのか?
「淫紋というのは?」
「そうだな。悪魔、その中でも淫魔や呪いを操る者が対象となる人間を服従させ支配する為の呪いと言ったら分かるか。」
「は……。だが、ヴァイスは。」
淫魔でも無ければ悪魔でも無い筈と言ったらその問いかけは想定内らしく。
「そう、確かに今のヴァイス・ローヴェンダはヴァンピール。半吸血鬼だ。だが。ヴァンピールを含むヴァンパイアは嘗て闇に堕ちた神々の末裔だったんだ。その為ヴァンパイアたちは多くの悪魔、その中でも淫魔を生み出し淫紋の術も手にした。人間を吸血の為の家畜にし、隷属となるヴァンピールを生み出す為に。ここまでは理解出来たか。」
「…………。何とか、な。」
なら、だとしたらヴァイスは俺の支配が目的なのか?そう聞いてみたら。
「支配は支配でも異なる類いだ。おそらくヴァイス・ローヴェンダの目的はお前を自分の番として支配する事だ。どうやら来たようだな。」
「失礼します。報告ですが、カルディア・アルバトロスとヴァイス・ローヴェンダの遺伝子によるシンクロ率は400%です。間違いないわね?」
「何故分かる。間違いはないぞ。」
「そうか。退室していい。」
「失礼いたしました。」
そのまま言葉通り部屋を出てまたも3人になる。なんの確認だったんだ。余計に分からなくなる。
「話を続けるがどうする。」
「話してくれ。血縁関係と淫紋に何の関係がある。」
「そうだな。淫魔ならともかく、ヴァンピールが不特定多数の誰かに淫紋を定着させる事など出来ない。ある条件のある人間を除いてはな。」
「その人間というのが術者であるヴァイスさんと僅かでも血縁関係のある方であること。次に遺伝子レベルで相性の良い方であること。最後にヴァイスさん自身が手に入れたいと願ってる方なのです。そして死補さんに確認していただいた遺伝子のシンクロ率。その数値が示すのは先ほど申したヴァイスさんとの相性です。100%でも危ういのにその数値を超えていた場合、着けた本人が消さない限り貴方は。貴方はヴァイスさんの妻という名目のヴァンピールとなってしまい、永遠にヴァイスさんの番として生きないといけません。」
「な……、妻……だと?」
「ショックを受けているところ申し訳ないが。淫紋を定着させられたら喩え男であっても着けた本人の子を孕み産む身体になるようになる。その要因もヴァンパイアとヴァンピールは多くの人間たちから恐れられた理由の一つだ。無駄だと思うが私からもローヴェンダに淫紋を消すよう命ずるが。」
「…………。あ、いや。」
何故か俺は。自分でどうにかしてみると答えていた。何故そう答えたのかも自分でも分からない。
「そうですか、分かりました。最後に相性について説明します。」
「ああ……。…………。」
そうだ、相性というのはなんだ。高いほど危ういと言っていたくらいだから聞いておかないと。
「相性ですが。先ず説明するのは血縁関係。つまり親子なのか再従兄弟なのかという事になります。遠い、近いは関係はありません。近いとしても低い方はいます。逆も然りです。相性は全て遺伝子の合致率、つまりシンクロ率で決まります。たとえ遠縁の血縁だとしても遺伝子によって決まる事。そういう事です。」
「次に相性だが。これは様々あってどうとも言えないが。例えを言うならお互いの身体の相性だ。低ければお前なら理性でどうとでもなりはする。が、侵食は止まらない。侵食が進むほどお前の理性が崩壊していく。それと。性交による快感の高さと多幸感。つまりお前の場合抱かれて幸せだったか異なだったかどうかだ。」
「……………………。」
そう言われ思い出した。あの経験した事の無かった脳内の神経が焼き切れるような快楽を。そして半ば腹の中を無理やりこじ開けられ種付けされたのに幸せと思っていた自分がいた。そして。
「…………………………。」
今夜も、ヴァイスはするのだろうかという期待があった。もしも。
この淫紋を消したらヴァイスは何て言うのだろう。興味を持たなくなる?そのまま俺から離れるのか?もしかしたら。他の誰かを、暇潰しとして抱くのか?そんなの、考えたくもない。
まて。確か。
ヴァイス自身が手に入れたい相手に淫紋が着く。そして、肉欲込みで俺を好いていたという言葉。
「確認したいんだが。」
「なんだ。」
「ヴァンピールは。欲を満たす為なら手段を選ばないと言ったな。自身が好いている相手を手に入れるのもそうなのか?」
「なるほど、な。先ずその話をするなら。私たちの父様の話をしないといけない。」
2人の父の話を?黙って聞いてみると2人の父である水無月蒼空は怪人のイチという者をそれこそ肉欲込みで好いていたという。
お互いは相思相愛で時をかけて愛してきたと語った。そしてキリストの生誕の夜に
「私たちを産むためではない。父様の子を孕み、産みたいと母様は願ったと聞いている。母様の願いを叶えるべく父様は母様に淫紋を着けたと、そう話していた。ヴァンパイアが愛しの相手を手に入れる方法の1つが淫紋を定着させる事。自分のものにする。手に入れると言ってもこれは愛情表現だ。こうするしか、自分が愛した相手すら手に入らない。ローヴェンダもこの手段しか無いから、この手段しか分からないから着けたのだろうな。」
「…………。そうか、分かった。」
感謝すると言って部屋を出た。俺は。
どうしたいと考えても分からない。
「……………………。」
「話さなくて良かったの紫雲。」
「僕が言わなくても。その内分かることだから。それに。彼は結構察しが良いからね。」
「…………。まあ、そうだね。」
もう変化は現れているんだからと。2人は内心呟いた。何故人間はヴァンパイアたちを恐れたのか。何故狩り取られる者たちになってしまったのか。
淫紋は。着けた本人、つまり術者によっては奴隷にも使い魔にも己を愛する妻にもなるからだ。身体も心も魂までも快楽で支配することで。

「戻った。」
「ああ。ほら、飯食べよう。」
「ああ。先に食べてれば良かったんだぞ?」
そう言うとヴァイスは前と同じように笑うと。
「1人で飯を食べても少しも旨くない。それにさっき起きたしな。」
「そうか。…………。」
やっぱり違っているな。ヴァイスは飯を食べる時は基本的に一緒に食べるなんてしない。交代で食べる。理由は
「…………。」
「んん。やっぱりこの城の飯は何回食べても旨いな。どうした?」
「いや。確かに旨いなと思って。」
何時予想もしない事態、襲撃に備えて必ず1人食べてる間は見張りをしているからだ。
こんな味わって食べるなんて事だってしない。それに。
「……………………。」
さっき起きたと、間違いなくヴァイスは言ったな。俺が部屋を出て何時間も1人で寝るのか?…………。よし。
「さっき起きたと言ったな。そんなに疲れてたのか?」
「ん?疲れてたと言うより朝日が何だか嫌でな。」
「そうか。…………。」
ヴァンパイアもヴァンピールも夜に力が一番発揮出来るとあの二人は言ってたな。逆に朝が近付くと隠れるように眠るとも。
こうして観察して分かった事は。ヴァイスは間違いなく力を得たことで変わった。
先ず食事を楽しむようになった。俺たち神殺しの先人である人も食事を楽しむように、ヴァンパイアたちも食事を楽しむと聞いていた。現に当主である紫雲兄弟も先代当主も食事を楽しんでいた。
次に1人で長く寝るようになった。まあ、理由はさておいても。俺が起きて服を着替えて部屋を出た時にはもう熟睡していた。しかも服を着ないでだ。完全に無防備になっている。まさか襲撃してきても返り討ち出来ると油断しているのか?
「…………なあ。」
「ん?」
「1人で長く寝てて危険だと思わなかったのか?」
思っているならまだ大丈夫だ。危機を回避しようとする本能が少しでもあるなら。しかしヴァイスは
「もしこの部屋に他の奴らが入ってきて下手な事したら。そうだな、そのまま殺すか生かしておいて俺の餌にするかのどちらかにしてやるさ。」
「っ!」
生かすか殺すかのどちらか。その気分次第、相手の態度と言動次第でどうとでもする。そういえば、この城のヴァンピールたちは襲撃した神殺したちのほとんどを殺し。一部の生きた者だけを城へと連れていった。聞けば尋問の後は。
最悪家畜かヴァンピールにしている。そう使用人たちは言っていた。もしもそれが、ヴァンピールにとっての常識なのだとしたら。
「……………………。」
「なあ。」
俺が怖くなったか?と言うと近寄ってきて頬を撫でる。怖い?俺は
「そん、な……こと。」
そうだ。そんな事なんて無い。無いのに、怖いなどと思ってないと否定出来ないんだ。
「そんな怯えた顔なんてしないでくれなんて、言えた口ではないが。そんな顔をするな。」
「……………………。」
ヴァイスの瞳に写る俺の顔は。怯えた表情をしていた。
「俺は…………。」
「何も言わなくていい。何時の時代もそうなんだから。何時だって人間は目に見えない者を畏れる。だから排除、淘汰する。」
「何、言って…………。」
「曖昧ないるかいないかも分からないデータも無かった存在が。突然様々なデータと情報を入手。情報整理に把握は出来る。けどそれと同時にこれまで曖昧な存在だったヴァンピールと知らない痕で頭はごちゃごちゃじゃない。違うか?」
「………………………………。そ、れは。」
「反論出来ないよな?ついこの前までこれまで背中を任せて戦えた戦友だった奴に好いていると言われるだけでも戸惑うのに。自分の常識が欠片も通用しない奴にまでなったんだからな。」
何も反論が出来なかった。その通りだったからだ。自分の常識はまるで通用しない何かになった戦友。なのに声も姿も何も変わってない。百歩譲って俺の事を好いているのは受け入れられるが。
「何だか……。」
お前が遠くに行った気がしてなと言うとヴァイスは黙って聞いている。
「ずっと俺と戦線を、行動を共にしてきたお前が。此処に来てからも、何も変わらなかったお前が。あの日の夜に何もかも変わって戸惑っている。本当なら無事だった事を。生きててくれた事を喜ぶべき筈なのに頭の整理が追い付かない。ただ。これだけは言える事があるんだ。お前に肉欲込みで好かれてると想われてイヤだとは思わないんだよ。なあ、ヴァイス。お前は何時から俺を想ってたんだ?何時から隠していたんだ?」
「…………。さぁな。分からない。」
ただ、気付いていたらそんな想いがあったんだと話してくれた。
ヴァイスも起動された最初こそ調査、出撃。自分と任務遂行する為の相手とだけしか思ってはいなかったらしい。
「俺の背中を任せられる戦友と思ってたのも確かだった。だが。同時にあってはならない想いに支配されてな。気付かれたらお前とは別の奴と組まないといけなくなる。それはまだ良いが、軽蔑されるのは怖かった。だからこそ隠していた。」
「なら、突然なぜ……。」
「…………。『アイツ』が言った。」
我慢するなど滑稽な事だと。そう言ったヴァイスの瞳の色が変わった。間違いなく俺の知っているヴァイスだと分かった。
「『アイツ』……?アイツって一体誰だ。」
「アイツは。俺が変わっていって生きることに執着してた時アイツが俺の。意識の底の本能の域だろうな。現れたんだ。すぐ分かった。ヴァンピールの俺だって。獣のような目をしてこう言った。我慢するなど滑稽な事。手に入れたい物があるのに何故我慢するのか理解出来ない。手に入れたいと願ってるなら力で縛れば良い。そう言っていた。俺はそんな事したくないと言ったんだ。だが。アイツは。お前の考えそのものなんて生ぬるい。願いを叶えてやるから大人しくしていろ。そう言ったら、アイツは俺の身体を支配したんだ。俺は、俺は。あんなやり方で手に入れたいなど思ってなかったのに。淫紋という力で無理やり縛り付けて支配してまで手に入れたいと思ってない!カルディア、お願いだ。夜になればアイツは出てくる。俺と、接触するな。頼むから。」
「…………。ヴァイス。……。」
そうか。ヴァイスも怯えていたのか。生死を彷徨い、生き残ろうとしたらより力のある奴に身体を支配されて。それでも俺を思って接触しないようにしている。
「……………………。」
こんなにガクガクと震えて怯えているのに1人にさせて良いわけが無い。それに
「接触するな?そんなの却下だ。」
そう言って抱き締めるとビクリと大きく身体が跳ねた。すると再び
「っ!!カルディアお願いだ!出ていってくれ!」
「散々俺の願いは却下しておいてそれは無いだろう。それに。こんな怯えているお前を1人にしておけない。」
「っ。今の、俺は。お前に何するか分からない。」
「そんなの想定内だ。」
「お前が思ってる以上にアイツは危険なんだ。」
「それでもだ。何で俺がお前1人にさせないと思ってる。アイツを含めてお前なんだと分かってるからだ。そうじゃなかったら一緒に昼食を食べる前にこの部屋に戻っても来ない。それに。アイツはそんなに危険な奴ではなかった。俺の言うことも聞いてくれたしな。」
アイツは俺に苦痛を感じさせないために何も言わなかったが色々してくれた事、服は着させてくれはしなかったが風呂に入れて綺麗にしてくれていた事を言う。
「それでも危険な奴なのか?」
「……。何も分かってない。」
何も知らない奴は気楽だなと言うヴァイスの目は怯えていたものと打って変わり違っていた。
「苦痛を与えない?感じさせない?当たり前だ。そんな事したら効き目が悪くなる。抱いていた俺の事を優しいと思わせる、俺との行為は快楽しか感じないと思わせるくらいアイツからしたら何でもない。全ては番となるお前が俺から逃げられないようにする為に他ならない。全部奴の作戦でしかないのを何も分かってない!これからもアイツは色んな手段を使ってくる!それが分からないのか!?」
「…………。それでも良いんだ。」
2人の話を聞いていて分かった事がある。ヴァンパイアもヴァンピールも。そして俺たち神殺しも。愛し方が分からない種族なんだ。
どうやって愛したらいい。どうやって手に入れたらいい。分からない、なら全て支配して手に入れるしか無い。もう。こんな愛し方しか出来ない。
人間よりも高い知性はあるのに不器用な種族なんだなと思ったんだ。
「この愛し方しか出来ない、分からないんだろ?だからそれで良いんだ。うわ!」
「……………………。カルディア……。」
お前は愚かだなと言って寝具に押し倒したら何も言わずに唇を塞がれた。昨夜とはまるで違う荒々しくない優しい口付けを俺は受け入れた。
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