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3章 合流

38話

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 八階、レストラン街にある肉料理専門店。

 奥のソファーに、どっかりと腰掛ける者がいた。

 体長は三mはあろうか、丸太の様に太い腕と脚に、脂肪で丸々とした腹。しかしよく見ると分かる。脂肪の下には、装甲の如く筋肉がこれでもかと張り巡らされている。

 体色はどす黒い緑。醜悪な顔に、半身を出した装い。

 そして、壁に立てかけられた大戦斧。

 彼は肉塊を骨ごと噛み砕きながら、跪く二匹を睥睨へいげいする。

 この二匹も普通のゴブリンとは違った。

 一匹は体長二m弱、筋肉は盛り上がり、より人型に近い形をしている。
 もう一匹はそれほど大きくないが、体色が赤みがかっている。

 ゴブリンなのであろう巨漢が、つまらなそうに食べかけの肉を投げ、二匹が恭しくそれを拾いその場を去った。


 そこら中に蠢うごめくゴブリンは、自分達で狩ってきた魔物を食ったり、食べ粕や骨を取り合っている。

 並び立つ部屋にある食料に手を出すのは、たとえ上位種の二匹であろうと許されない。全てが王の食料なのだ。

 それでもゴブリンとは、元来自分のことしか考えない生き物である。食料に手を出す者も当然いる。
 そういった者に待つのは、死、のみ。ゴブリンの社会は、完璧なまでの恐怖政治。上位者に従えぬ者は、容赦なく殺される。


 二匹ともこの程度の食料で足りるはずもなく、普段は下層階で狩りをしていた。

 上層に見張りを出してはいるが、もれなく殺されている。先日登って行った獣のこともある。安全を考慮して、上層に自ら手を出すのは控えていた。

 しかし、と筋肉ゴブリンは思う。

 ここまでくる間も、この階層を巣にすると決め根絶やしにした時も、蔓延はびこっていた種は異常に弱かった。
 加えて、ここに来てから、沢山殺し、沢山強くなった。
 王を殺し、自分が王になることはまだできないが、

 ……そろそろ上層に手を出してもいい頃だろう、と。


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