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次の日、影をつけてもらって浮気王子とピアスを買いに行った。

「俺がつけたい。いいか」

「いいよ、好きにしなよ」

「俺にもつけてくれ」

「はいはい」

浮気王子は嬉しそうにイケオジとともに帰って行った。帰る前に「明日来る」と言うのでふざけんな、と叫んだら「勉強するんだろ。一緒にやろう。明後日はまた学園に行かなくてはならないから、こちらに来れない。頼む、ナタリー」と押しきられた。ま、勉強教えてくれるならいいか。

次の日、本当に浮気王子はやってきた。律儀に赤い薔薇の花束を持ってきた。なんなの。カッコいい三白眼が赤い薔薇なんて。鼻血を噴き出させて私を出血多量で殺す気なの。浮気王子の企みに気づいた私は、たらしこまれそうな弱い自分にパンチを喰らわせた。もちろん心の中で。

「気にしなくていいってば。ご機嫌伺いしなくていいから」

「そんなつもりはない。ナタリーにプレゼントしたかったんだ。もらってくれるか」

「…ありがとう」

浮気王子は私の耳に触れると、「俺の色だ、ナタリー」と嬉しそうに笑った。やめろ。私のドストライクの顔で蕩けそうな笑顔で見るな。

教科書を見てみると、あまりわからない部分がなかった。このへんの記憶は大丈夫だったみたい、ありがとう、ナタリア!

「妃教育の内容も大丈夫かも」

「そうか。母上には話してあるから、夏休み後、戻ってきたら週一度のペースで登城してくれるか?授業時間を鑑みて金曜日の夕方にお願いしたのだが、ナタリーの都合が悪ければ言ってくれ。変更してもらうから。それから、夕飯を一緒に食べよう。帰りは送っていくから」

「…あのさ。本当に、逃げたりしないよ。大丈夫だから、私に時間割かなくていいから、ミアちゃんと、」

浮気王子は素敵な三白眼をキュッとして鋭く私を睨んだ。

「ナタリー。モンデール伯爵令嬢の名前は今後二度と出さないでくれ。俺はおまえだけが欲しい。他の女はいらん。モンデール伯爵令嬢に限らず、側妃をおくつもりもない。おまえだけだ、ナタリー」

怒気を含んだ声で言われてなんとなくそれ以上言えなくなってしまった。浮気公認されると楽しめないのかな。コソコソやるから楽しいのかな。じゃ、もう言うのやめよ。楽しめないの可哀想だし。

それから私は黙々と勉強し、わからないところを浮気王子に質問した。もっと知りたい内容のところは、「来週本を持ってきてやる」と言う。

「せっかくの週末でしょ。私は学園さぼってるからいいけどゆっくりすればいいじゃん、王都でカフェでもいけば」

「ナタリー、おまえは学園に来ないだけでさぼってないだろう。これからカラダも鍛えるんだろう?おまえが頑張ってるのに、俺だけ置いていかれたくない。他にわからないところはないか?俺が答えられないところは来週まで確認してくる」

この人どうしちゃったのかな。ま、将来国王陛下になるんだし、国民の皆様のために、バカよりはいいよね。いつまで続くかわからないけど、努力するのはいいことだ。


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