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第1章 蒼月の侍
五話 蒼に狂いし月に笑う
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ーー暗闇の中。月明かりに照らされて、より一層映える紅。
辺りには無数の遺体が転がっていた。そのどれもが、原形を留めていない程に欠損している。
血の臭いが充満し、現場は酸鼻を極める地獄絵図と化していた。
「こっ……こんな事が……」
両腕が欠損し、芋虫の様に這うしかない狂座第十二軍団長アルマ。
“――これは……悪夢か?”
現実を直視出来ず這うアルマの前に、蒼髪の男が無機質な蒼色の瞳と笑みで、見下ろしていた。
「最期に一つ聞いといてやる。直属部隊を殺ったという奴は誰だ? そしてそいつは今何処にいる?」
“――こいつじゃ無いのか?”
こうなってしまった以上、もうどうでもよかったのかもしれない。アルマは自分の最期を悟り、声を振り絞り口に乗せる。
「アザミ様を……倒したとされるのは特異点……。そ……そしてそいつは……東北にある、夜摩一族の下で“光界玉”を護っている……らしい……」
それを聞いて蒼髪の男の表情は、より一層の笑みを浮かべた。
「ご苦労さん」
蒼髪の男はそれだけを言うと、無慈悲にも這いつくばるアルマの頭を踏み潰す。
脳漿が潰れたトマトの様に“グチャ”と生理的に嫌な音と共に、地面をどす黒い染みが広がっていく。
そして辺りは、木々のざわめきしか聞こえない沈黙の闇。
蒼髪の男は月を見上げ、一人其処に佇む。
月明かりに映し出されたその表情は、無機質な瞳とは不釣り合いな迄に笑っていた。
「ああ面倒臭かった。さて……」
“どうやら間違い無いみたいだな。直属部隊を倒した特異点。そんな事が出来る奴は現在、この世に一人しかいないーー”
蒼髪の男は、酸鼻を極める地獄に背を向け歩み出す。
“東北か……。そんな処に流れ着いていたとはな”
「クククッ」
男の口許からは、零れる笑みが抑えきれない。
行き先は決まっている。
蒼髪の男は歩みを止め、夜空を見上げる。
「再び逢える日が愉しみだよ……」
狂おしいまでに妖しく輝く満月。高揚を抑えきれない。
再びの邂逅をーー
「なあ? ユキヤ……」
辺りには無数の遺体が転がっていた。そのどれもが、原形を留めていない程に欠損している。
血の臭いが充満し、現場は酸鼻を極める地獄絵図と化していた。
「こっ……こんな事が……」
両腕が欠損し、芋虫の様に這うしかない狂座第十二軍団長アルマ。
“――これは……悪夢か?”
現実を直視出来ず這うアルマの前に、蒼髪の男が無機質な蒼色の瞳と笑みで、見下ろしていた。
「最期に一つ聞いといてやる。直属部隊を殺ったという奴は誰だ? そしてそいつは今何処にいる?」
“――こいつじゃ無いのか?”
こうなってしまった以上、もうどうでもよかったのかもしれない。アルマは自分の最期を悟り、声を振り絞り口に乗せる。
「アザミ様を……倒したとされるのは特異点……。そ……そしてそいつは……東北にある、夜摩一族の下で“光界玉”を護っている……らしい……」
それを聞いて蒼髪の男の表情は、より一層の笑みを浮かべた。
「ご苦労さん」
蒼髪の男はそれだけを言うと、無慈悲にも這いつくばるアルマの頭を踏み潰す。
脳漿が潰れたトマトの様に“グチャ”と生理的に嫌な音と共に、地面をどす黒い染みが広がっていく。
そして辺りは、木々のざわめきしか聞こえない沈黙の闇。
蒼髪の男は月を見上げ、一人其処に佇む。
月明かりに映し出されたその表情は、無機質な瞳とは不釣り合いな迄に笑っていた。
「ああ面倒臭かった。さて……」
“どうやら間違い無いみたいだな。直属部隊を倒した特異点。そんな事が出来る奴は現在、この世に一人しかいないーー”
蒼髪の男は、酸鼻を極める地獄に背を向け歩み出す。
“東北か……。そんな処に流れ着いていたとはな”
「クククッ」
男の口許からは、零れる笑みが抑えきれない。
行き先は決まっている。
蒼髪の男は歩みを止め、夜空を見上げる。
「再び逢える日が愉しみだよ……」
狂おしいまでに妖しく輝く満月。高揚を抑えきれない。
再びの邂逅をーー
「なあ? ユキヤ……」
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