雫 -SIZUKU- 最終特異少年戦記~破

ユキナ

文字の大きさ
12 / 55
第2章 帰依

四話 惨劇

しおりを挟む
――――夕刻――――


「ふ~ん、そんな事があったんだ……」


アミの状況説明に、ミオはようやく納得した様に呟く。


「でもアンタ、そんな強い様には全然見えないんだけど……」


それもそうだろう。“特異点”で在る事を除けば、ユキはまだ十二前後の少年に過ぎない。


ふとミオに、とある考えが浮かぶ。


「アンタがホントに強いか、私と勝負よ!」


正座しているユキに、ミオは指を突き立てて考案したのを提案。


「ちょっとミオ……」


アミはミオの馬鹿げた提案を諌めるが、ミオは既にやる気満々だ。


「だって姉様? 私にはどうしてもアイツが強いとは思えないの。私がこの目で見ないと認めないから!」


何やら話がおかしな方向へと進んでいく。ユキは深いため息を吐きながらも口を開く。


「何を馬鹿な事を。アナタと勝負をするメリットが、見当たりませんのですが……」


そう。これは無意味な事。


そもそもレベルが違い過ぎて、勝負として成立しないのだが、ミオはそんな事知るよしも無い。


「アンタには無くても私にはあるの! ホントに姉様を守れるだけの力があるのか、私に見せてみなさいよ!」


売り言葉に買い言葉。このままでは埒があかないと判断したのか、ユキはやる気無く口を開いた。


「仕方ありませんね。アナタにはもう少し、分かり易い“形”で教えなければならないみたいです」


「へへ、やっとやる気になったみたいね」


“さあ見せて貰うわよ。アンタがどれだけ強いかを”


「もう知らない!」


アミは二人に対し、呆れた様にそっぽ向いた。


ミオはアミのそんな想いとは裏腹に、腰の裏に差した小太刀の鯉口を切ろうとした時だった。


「ーーえっ?」


ミオは確かに見た。それよりも速く、何時の間にか傍らに置いていた刀を抜き放っていたユキが、袈裟懸けに切り掛かっていたのを。


“ちょっーー速っ!!”


ユキの居合いによる超高速の抜き打ちは、小太刀の鯉口を切ろうとしていたミオの身体を、容赦無く脇下から肩に掛けて斬り裂いた。


「きゃああああぁぁぁぁ!!」


斬られていく感触が生々しく伝わっていき、ミオは悲鳴を上げる。そして彼女は鮮血が吹き上がるのを感じながら、自分の身体が二つに分離したのが感覚で分かった。


“そんな……こんな所で死ぬなんて……”


それは予想だにしなかった、突然の惨劇だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜

水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。 魔王乱立の時代。 王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。 だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。 にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。 抗議はしない。 訂正もしない。 ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。 ――それが、誰にとっての不合格なのか。 まだ、誰も気づいていない。 欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

処理中です...