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第2章 帰依
七話 認めた日の事
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ミオの斜め後ろに回り込んだユキは、空中に浮かぶ小さな氷の結晶を、愛しむ様に両手で包み込む。
「初めまして小さな精霊さん。 大丈夫です、怯えなくていい。危害を加えるつもりはありませんから」
ユキが話し掛ける小さな氷の結晶。これこそがミオが行使する力の源、氷の精霊そのものであった。
“――えっ? 何でコイツ、私の精霊の力を見破る処か、普通に話してるの?”
ミオは疑問に立ち竦む。
普通は精霊とコンタクトを取る事は出来ない。それは特別な修業を積んだ、巫女の素質が有る者のみ。
その筈なのに、ユキはまるで無二の友にも等しい感覚で、精霊と普通にコンタクトを取っている。
「ほうほう、人使いならぬ精霊使いが荒いと? 大変そうですね、分かります」
どうやら二人は痴話をしている模様。
「ちょっーー ちょっと二人して何勝手な事言ってんのよ! コリンまで……」
ミオが痴話で盛り上がる二人に声を荒げる。コリンというのは、どうやら氷の精霊の呼び名の様だ。
コリンはユキに、ミオの精霊使いが荒い事に愚痴を溢している様に見える。
実際二人を見ているとそうだろう。
「でも……主人の事が本当に好きなんですね」
ユキヤはコリンの心を見透かした様に語り掛け、ミオの方を振り向く。
「ああ、失礼しました。でも本当に良い精霊ですね。二人の絆の深さが良く分かりました」
ユキは穏やかな表情でそう語り、コリンはミオの下へと戻っていく。
「……さっきの氷を消した事といい、コリンの懐き具合といい、アンタ一体何者なのよ?」
ミオは“きょとん”とした表情でユキへ問い掛ける。その表情には先程までの敵意は無く、興味の対象で彩られていた。
「一体どんな精霊の力を持ってるの?」
ミオは既に、ユキの力に対して興味津々。その瞳は好奇心旺盛を表すかの様に輝いていた。
「これは精霊の力ではありませんよ。私の力は“無氷”という特異能と呼ばれる力です」
「無氷? 何それ聞いた事無いんだけど。それに精霊の力も無しに、自然現象操れる訳無いでしょ?」
ユキの説明にミオは“そんな冗談言ってないで、早くアナタの精霊見せて”と、半信半疑にせがんでる様に見える。
「口で言うより、見せた方が早いですね……」
一呼吸置いたユキの右手に、青白い冷気が光り輝く様に集まっていく。
その光は彼が手を掲げると、上空へと昇っていき弾けた。
「綺麗……」
ミオはその光景に、魅入られる様に立ち竦む。
黄昏れの空からは、この世のものとは思えない程に美しい白銀の雪が、辺りを優しく包み込む様に降り注いでいく。
明らかに自然の雪でも、精霊の力による雪でも無い。
今現在、彼だけが持つ特異能ーー“無氷”
形容し難い幻想的な迄に美しきその光景に、ミオはそっと口を開く。
「……認めてあげるわよ、アンタの事」
それは事実上の敗北宣言。
「でも、ちゃんと姉様の事守らないと許さないからね! ……ユキ」
ミオが素直にユキを認めてくれた事に、アミの表情も緩む。
これから新しく迎える家族としての三人に祝福する様に、雪は暫くの間、降り続けていた。
「初めまして小さな精霊さん。 大丈夫です、怯えなくていい。危害を加えるつもりはありませんから」
ユキが話し掛ける小さな氷の結晶。これこそがミオが行使する力の源、氷の精霊そのものであった。
“――えっ? 何でコイツ、私の精霊の力を見破る処か、普通に話してるの?”
ミオは疑問に立ち竦む。
普通は精霊とコンタクトを取る事は出来ない。それは特別な修業を積んだ、巫女の素質が有る者のみ。
その筈なのに、ユキはまるで無二の友にも等しい感覚で、精霊と普通にコンタクトを取っている。
「ほうほう、人使いならぬ精霊使いが荒いと? 大変そうですね、分かります」
どうやら二人は痴話をしている模様。
「ちょっーー ちょっと二人して何勝手な事言ってんのよ! コリンまで……」
ミオが痴話で盛り上がる二人に声を荒げる。コリンというのは、どうやら氷の精霊の呼び名の様だ。
コリンはユキに、ミオの精霊使いが荒い事に愚痴を溢している様に見える。
実際二人を見ているとそうだろう。
「でも……主人の事が本当に好きなんですね」
ユキヤはコリンの心を見透かした様に語り掛け、ミオの方を振り向く。
「ああ、失礼しました。でも本当に良い精霊ですね。二人の絆の深さが良く分かりました」
ユキは穏やかな表情でそう語り、コリンはミオの下へと戻っていく。
「……さっきの氷を消した事といい、コリンの懐き具合といい、アンタ一体何者なのよ?」
ミオは“きょとん”とした表情でユキへ問い掛ける。その表情には先程までの敵意は無く、興味の対象で彩られていた。
「一体どんな精霊の力を持ってるの?」
ミオは既に、ユキの力に対して興味津々。その瞳は好奇心旺盛を表すかの様に輝いていた。
「これは精霊の力ではありませんよ。私の力は“無氷”という特異能と呼ばれる力です」
「無氷? 何それ聞いた事無いんだけど。それに精霊の力も無しに、自然現象操れる訳無いでしょ?」
ユキの説明にミオは“そんな冗談言ってないで、早くアナタの精霊見せて”と、半信半疑にせがんでる様に見える。
「口で言うより、見せた方が早いですね……」
一呼吸置いたユキの右手に、青白い冷気が光り輝く様に集まっていく。
その光は彼が手を掲げると、上空へと昇っていき弾けた。
「綺麗……」
ミオはその光景に、魅入られる様に立ち竦む。
黄昏れの空からは、この世のものとは思えない程に美しい白銀の雪が、辺りを優しく包み込む様に降り注いでいく。
明らかに自然の雪でも、精霊の力による雪でも無い。
今現在、彼だけが持つ特異能ーー“無氷”
形容し難い幻想的な迄に美しきその光景に、ミオはそっと口を開く。
「……認めてあげるわよ、アンタの事」
それは事実上の敗北宣言。
「でも、ちゃんと姉様の事守らないと許さないからね! ……ユキ」
ミオが素直にユキを認めてくれた事に、アミの表情も緩む。
これから新しく迎える家族としての三人に祝福する様に、雪は暫くの間、降り続けていた。
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