27 / 55
第4章 氷の剣士 水の剣士
二話 目的
しおりを挟む
「最後に闘って以来、約一年振りか……」
蒼髪の男、シグレが感慨深そうに呟く。それは過去を懐かしかむ様に。それはユキも同じ気持ちかも知れない。
だが今は状況が違う。シグレが何の目的で、この地に足を踏み入れたのか? それをはっきりさせねばならない。
どちらにせよ、闘いは避けられないにしても。
「そんな事より何しに来たのです? まさかとは思いますが、狂座側についたとか言うのではないでしょうね?」
ユキはシグレを見据えて、核心に迫る事を口にする。
もし、このシグレが狂座と手を組んだとしたら、これ程驚異的な事は無いからだ。
「俺が狂座側にだと? まあ奴等が何をしようが、俺には関係無い事だ。誰だろうが、五月蝿く纏わり付いて来るなら駆除するがな」
シグレはそんなのは関係無いとばかりに受け答えた。まるで自分以外の者は、害虫程度の存在としか思ってないかの様に。
「そうそう狂座と云えば、此処に来る前の森の入口に、第なんとか遊撃師団とかいう連中が絡んで来たから、ずっと纏わり付ついて来た探索師団の連中と合わせて、うざいから纏めて駆除しといたぞ。どうやら狂座が此処を狙っているという噂は本当だったか」
シグレは一連の状況を、恐ろしい迄に淡々と語っていた。
「まあ、そんな事はどうでもいいか。此処に来た理由は、再びお前と闘う事に有る」
シグレの目的は、やはりユキと闘う事にあった。
人智を超えた力を持つ、二人の特異点が闘う。そんな二人がぶつかり合えば、お互い只では済まない処か、周りにも多大な影響や犠牲を及ぼしかねない。
誰しもが本能的に、対峙する二人から距離を取っていく。巻き添えを喰らわない為だ。
「その筈だったんだがな……」
シグレが声のトーンを落とし、項垂れる様に呟いた。
「どういう意味です?」
ユキはシグレの意外な一言に、不思議そうに問い返す。それもその筈。彼は明らかに闘いに来たのに、筈だったと過去形になっているからだ。
シグレが項垂れる頭をゆっくりと上げつつ、その蒼き瞳でユキを見据えて口を開く。
「お前……本当に、あのユキヤか?」
蒼髪の男、シグレが感慨深そうに呟く。それは過去を懐かしかむ様に。それはユキも同じ気持ちかも知れない。
だが今は状況が違う。シグレが何の目的で、この地に足を踏み入れたのか? それをはっきりさせねばならない。
どちらにせよ、闘いは避けられないにしても。
「そんな事より何しに来たのです? まさかとは思いますが、狂座側についたとか言うのではないでしょうね?」
ユキはシグレを見据えて、核心に迫る事を口にする。
もし、このシグレが狂座と手を組んだとしたら、これ程驚異的な事は無いからだ。
「俺が狂座側にだと? まあ奴等が何をしようが、俺には関係無い事だ。誰だろうが、五月蝿く纏わり付いて来るなら駆除するがな」
シグレはそんなのは関係無いとばかりに受け答えた。まるで自分以外の者は、害虫程度の存在としか思ってないかの様に。
「そうそう狂座と云えば、此処に来る前の森の入口に、第なんとか遊撃師団とかいう連中が絡んで来たから、ずっと纏わり付ついて来た探索師団の連中と合わせて、うざいから纏めて駆除しといたぞ。どうやら狂座が此処を狙っているという噂は本当だったか」
シグレは一連の状況を、恐ろしい迄に淡々と語っていた。
「まあ、そんな事はどうでもいいか。此処に来た理由は、再びお前と闘う事に有る」
シグレの目的は、やはりユキと闘う事にあった。
人智を超えた力を持つ、二人の特異点が闘う。そんな二人がぶつかり合えば、お互い只では済まない処か、周りにも多大な影響や犠牲を及ぼしかねない。
誰しもが本能的に、対峙する二人から距離を取っていく。巻き添えを喰らわない為だ。
「その筈だったんだがな……」
シグレが声のトーンを落とし、項垂れる様に呟いた。
「どういう意味です?」
ユキはシグレの意外な一言に、不思議そうに問い返す。それもその筈。彼は明らかに闘いに来たのに、筈だったと過去形になっているからだ。
シグレが項垂れる頭をゆっくりと上げつつ、その蒼き瞳でユキを見据えて口を開く。
「お前……本当に、あのユキヤか?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる