神官の特別な奉仕

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番外編

番外編 スルトの迷惑な客人8

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※性的表現があります

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 寝台の上はもう完全に二人の世界で、寝台の脇で半狂乱のプリースカなど目にも入らない。

 スルトが手で緩急つけながら扱きつつ、片手で陰嚢を柔らかく揉む。裏筋も撫でるように擦ると、鈴口から透明なものが滲み出てくるので、それを指先でぬるぬると嬲ってやると、たまに逸物がピクンと反応するのが面白い。

(口でやってあげたいけど、さすがにそれはマズいか)

 硬さも大きさも十分。
 サーシャの腰もスルトの手の動きに合わせてゆるゆると動き出し、もうこれでいいだろうとスルトが、プリースカに視線をやった。

「プリースカ様、旦那様のモノが十分勃ち上がりましたよ。これで最後まで萎えることなくできるでしょう」

 そうにっこりと答えると、スルトはサーシャの逸物から手を離した。しかしその途端、プリースカはキャーッと悲鳴をあげ、口を両手で覆った。

「な、何よそれ! 大きすぎて無理よ!! そんなの入らないわよ!! お兄様、そんなの嘘でしょう? ああ、いやだ! いやよ!! 絶対に無理!!」

「しかし、プリースカ様、今日は初夜をお迎えするはずでしょう? しかもこれでもまだ完全ではありませんよ」

 困ったようにスルトが言うと、先ほどまで怒りに顔を染めていたプリースカの顔が、今度は蒼白になった。

「いや、ほ、本当に無理よ……。こんな大きさのモノ入るわけがないわ。お兄様、私無理です。…………尋常じゃないわ」

 そうブツブツつぶやくと、逃げるようにして寝室を出て行った。外ではプリースカの使用人らが、必死で部屋に戻るように懇願していたが、プリースカは泣き叫ぶように「いや!」を繰り返し、階下に降りて行った。




 ————二人が取り残された寝室は、一気に静かになった。


「……ちょっと、サーシャ、笑うのやめてよ」

 プリースカとスルトのやりとりの間中、そっぽを向いていたサーシャだったが、笑いを押し殺し、少し震えていたのをスルトは気がついていた。

「ククッ、いや、さすがの我もあれは傷つくな」

 それだけ言うと、もうたまらんとばかりに声をあげてサーシャが笑いだした。

「もう!! 笑い事じゃない! こんなことに巻き込んで!! 今度からは勝手にやってよね」

 ペチンッと見事に立ち上がった逸物をスルトが手で叩いた。

「それに本当にあれで良かったの? さすがにプリースカ様がかわいそうじゃない? せっかくの初夜なんだからさ、もうちょっと優しくしてやっても……」

「なんだ、スルト。それだと宥めすかしてでも、本当にやらねばならなくなるぞ」

「俺がいなくても本当は大丈夫だったんでしょ」

「いやいや、お前込みだ。お前でないとコレは勃たん」

 そう言って先程叩かれた自身の逸物を、わざとらしく撫でてみせる。

「だが、そうなるほうが、お前には酷ではないのか」

「うーん、実を言うとそうでもなかったりして」

「そうなのか?」

 意外だなという顔で、サーシャがスルトを見た。



 実はスルトの店では、新人の弟分ができると馴染み客と共に閨ごとを仕込む慣習があった。

 サーシャのような恋人の関係ではないにしろ、それなりに通じ合った相手を弟分と共有する。

 自分の客が弟分で感じるさまを、傍で手ほどきしながら見なければならないのだ。
 もちろん辛い。嫉妬に狂う兄役もいる。

 だが睦み合う二人をただ見るだけでなく、開き直って一緒に愉しむ術もあるわけで。
 だから今回もサーシャからの提案を、それと同じように考えていた。

「……ほう、ではあのレラとやらともヤッたのか」

「ん~? まあ俺の弟分だから……ん??」

 サーシャが嫌味ったらしく、まるでいたずらをするかのように、スルトの股間の膨らみに手を伸ばし、滑らかな下着の上から指で形をなぞる。

 意外にもスルトの陰茎はまだ柔らかく、形をつくっていなかった。それをサーシャは親指で強く擦り上げていく。

「ちょ、ちょっと待って! 今日はダメ!」

 スルトが慌てて手で制すると、サーシャが顔をしかめた。

「いやか」

「だって、今日はプリースカ様との初夜の日でしょ!? ここで俺とやるのはさすがにおかしいでしょ!?」

「かまわん」

「いやいや、構うよ!? サーシャ、今日はダメ!!」

「…………ふむ」

 スルトからの思わぬ抵抗にあい、サーシャは猛り狂ったものを鎮めるよう、深く息をついた。
 そうして、スルトを胸の上まで抱き上げ、唇を喰むように重ねた。

「ね…………俺さ、サーシャの赤ちゃん見れるのかなーってちょっと期待してた」

「そうなのか」

「うーん、やっぱさ、ちょっとは見てみたいかなーって。プリースカ様ならサーシャによく似た子を産みそうだし」

「ふむ。まあ親戚筋だからな」

「え、そうなの?」

「ああ、父のほうのつながりだな」

「あ、だから“お兄様”呼びなのか」

 プリースカにとってサーシャは憧れの親戚のお兄様だったのだ。
 なるほど納得とスルトが目を丸くしているのを、サーシャが眉を寄せ目を細めて見つめる。

「プリースカとは子を成すつもりはない」

「うーん、でもさ、このままプリースカ様が辞退しても、次の婚約者候補が現れるんじゃないの?」

「……我が親父殿は、我らにたくさんの兄弟を残してくれていた。あの旅で、我らは兄弟たちを探しだすことができた。もし星を持つ子供が産まれたならこの国へ寄越すよう、話をつけてある。我でなくともいずれどこかの兄弟が皇子を成すだろう」

「それじゃあ、なんでサーシャにみんな固執するんだよ」

「名門名家の人間が我だけだからだ」

 サーシャの父親は、文字通り各地に種をばら撒き、たくさんの兄弟を残してくれていた。しかし、出自が明らかなのは正妻から産まれたサーシャのみ。

 出自にこだわる者らは、どうしてもサーシャに子を、そして自分たちの一族から母親をだしたかったのだ。

「……なるほどなあ。そういうこと。でもこのままだとサーシャの立場も悪くなるでしょ」

「手は打ってある。それに立場など、どうなろうがかまわん」

「……俺のせいで、サーシャの立場が悪くなるのは嫌だ」

「お前のせいではない」

「でも噂が」

 噂と聞いて、サーシャがなんだそのことかと片眉を持ち上げた。

「噂の出所はもうわかっている。昨日コウがレラとやらから聞き出してくれた。噂を吹聴した者はもうこの国にはいない。そしてこの噂に尾鰭をつけて広めた者は、プリースカの家の者だ」

「え、え、え?? 噂はレラじゃなかったの??」

 スルトの知らない間に噂の出所について、いろいろと判明していたらしい。展開の早さにスルトはついていけない。

「ああ、他の者だ。気にするな。噂などすぐに消える。それでプリースカには我のことは諦めてもらう。……まあ何もしなくとも、もう近づくことはせぬと思うがな」

 クククとサーシャが喉の奥でいじわるく笑う。
 以前しつこい女性がいることを匂わせていたが、プリースカのことだったんだなとスルトはようやく気がついた。

 それにしてもスルトの噂を流した者とは一体誰だったのか。この様子では教えてもらえないらしい。

(サーシャがもう解決したというのなら、もうそれでいいか)

「はー……なんだか疲れたよ」

 パタリとサーシャの胸の上にスルトは倒れ込んだ。
 レラが来てからの数日、いろいろなことが次から次へと起こり、本当に目まぐるしい日々だった。

「……明日、家来に部屋を元通りにするよう言っておく」

「ん……この部屋、サーシャにはびっくりするぐらい合わないもんね」

「そんなにおかしいか」

「思わず笑っちゃうほどね」

 クスクスと笑うスルトを、サーシャはその太い指で頰を撫で、愛おしそうに見つめていた。
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