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「な、黒木、ちょっと待とうか。これはよくないぞ。黒木、な?」
「俺はもうずっと待った。今、目の前にユウジがいるのに、なんで待たなきゃいけないんだよ」
「だめだだめだっ、くろ……っ、――んんっ」
キスしようとする黒木の顔から逃げるように顔をそむけるが、黒木は強引に唇をあわせ、舌をねじ込んできた。まるで大人のキスを覚えたてのガキのような、がむしゃらなキス。
息すらまともにさせてくれないキスに抵抗している間に、黒木の体は俺の両足を割って入り、股間に腰を押し付けてくる。硬いものが上下に擦れて、俺のものを刺激し、黒木の手が何度も俺の内太ももを撫であげるたび、合わさった唇の隙間からどちらともなく、小さな声と吐息が漏れていく。
つか、なんで俺はこんな無防備なワンピース姿なんだよ!
全体重かけて俺をふわふわに押し付けてくる黒木のがっしりした体を、必死で押しのけながら腰をよじって逃げるが、なかなかうまくいかない。
俺がこんなに抵抗しているのに、黒木はやめるつもりなど毛頭ないのだろう。身体を離す気配は一切ない。
こいつ、ニコニコの仮面を被って、本当はこんなドス黒い感情を隠してたのか。
俺、黒木ってもっと人の気持ちに寄り添える、誠実なやつだと思ってたんだよな。なんだかちょっと、どころか、かなりがっかりした。
俺のことを気遣うフリして、自分の欲を発散させようだなんて、マジで呆れる。尚人に復讐とかっていうのも、自分が尚人のことを気に入らないだけだろ。
……なんかもうどうでもよくなってきた。
力でも勝てないし、黒木がやめるつもりがないなら、抵抗しても無駄。ちんこでも尻でもなんでも好きにすりゃいい。
「……ユウジ?」
夢中で俺の体を弄り、唇に吸い付いていた黒木だったが、俺が急に抵抗をやめたことでようやく異変に気づいたらしく、その手を止めた。
「…………」
「……ユウジ、もしかして、怒ってる……?」
「……別に」
「……嘘だ。怒ってるよね。すごい眉間にシワ寄ってるし」
「お前が怒ってるって思うならそーなんだろ」
「俺とのセックス、嫌だった?」
「嫌もなにも、俺合意してねーよな。待てって言ったし」
「……ごめん、ユウジ……」
「…………」
俺がそっぽ向いて無視してようやく黒木は、しでかしたことの重大さに気がついたようだった。なんせ、こいつは今、俺をレイプしようとしたんだ。
「……本当にごめん、ユウジ。俺、そんなつもりじゃなかったんだ」
「……」
「俺、ユウジのこと本当に好きでさ。やっと会えたのが嬉しくて、舞い上がっちゃったんだ」
シュンとした声。
ここの空気は黒木の感情と連動しているのか、さっきまでの重苦しく淀んだ空気が、今はちょっとだけ晴れて、その代わりしっとり湿ってる。
「……なあ、黒木。なんでお前、俺のことそんなに好きなんだよ」
そもそも俺は黒木に好かれる理由が分からない。
大学に入って、最初は普通に顔見知りの同期生くらい感じだったはず。それがいつの間にか、黒木にすげー懐かれていた。
「――ユウジ。てっぺんに時計のある北棟の外階段で、山岳部が訓練してた頃のこと覚えてる?」
「訓練?」
「うん。ザック背負って、5階建ての階段を上り下りするやつ」
「あー……」
そういえば。
よく山岳部の連中が、どこに行くわけでもないのにザックを背負ってあちこち移動してたな。あれって訓練だったのか。
「あの北棟の外階段はさ、大学の校舎で一番高くてさ。1年生は体力作りとザックの重量に慣れるために、20キロの重りを入れたザックを背負って、あの階段で訓練してたんだけどね、そこで俺はユウジと出会ったんだ」
当時からタバコを吸っていた俺は、よく外階段に出てタバコを吸っていた。学内は禁煙で、喫煙場所でしか吸えない決まりだったんだけど、あの北棟の外階段は人があまり利用してなくて、講義の合間にちょっと吸いたいときは、外階段に出て吸っていた。
たしかに、黒木とはあの外階段で、喫煙中によくすれ違ってた。
平気そうな顔してたけど、あれ20キロもあったのか。
「俺もね、最初は外階段でタバコ吸うのが好きな人なんだなーくらいしか思ってなかったんだけどさ。ある日、俺のザックにつけてたキーホルダーが何かに引っかかって落ちちゃって、階段の下に転がってちゃってさ。あーこれ隙間から落ちて見失うやつだーって思ったら、ユウジがキャッチしてくれて」
「そんなことあったっけ」
「あったよ。そのときのユウジ、俺に取ったぞってすげーいい顔で笑ってくれてさ。なんかドキッてしてさ~。俺たぶんその一瞬で好きになっちゃったのかな。それから階段で会うたびにちょっと話すようになって。すげークールなのに本当はおっとりタイプで、ちょっとおっちょこちょいなとこもあって、そこもかわいくて。ザック重くて階段しんどいのに、ユウジの前では平気な顔してさー。我ながら笑っちゃうんだけど」
「俺はもうずっと待った。今、目の前にユウジがいるのに、なんで待たなきゃいけないんだよ」
「だめだだめだっ、くろ……っ、――んんっ」
キスしようとする黒木の顔から逃げるように顔をそむけるが、黒木は強引に唇をあわせ、舌をねじ込んできた。まるで大人のキスを覚えたてのガキのような、がむしゃらなキス。
息すらまともにさせてくれないキスに抵抗している間に、黒木の体は俺の両足を割って入り、股間に腰を押し付けてくる。硬いものが上下に擦れて、俺のものを刺激し、黒木の手が何度も俺の内太ももを撫であげるたび、合わさった唇の隙間からどちらともなく、小さな声と吐息が漏れていく。
つか、なんで俺はこんな無防備なワンピース姿なんだよ!
全体重かけて俺をふわふわに押し付けてくる黒木のがっしりした体を、必死で押しのけながら腰をよじって逃げるが、なかなかうまくいかない。
俺がこんなに抵抗しているのに、黒木はやめるつもりなど毛頭ないのだろう。身体を離す気配は一切ない。
こいつ、ニコニコの仮面を被って、本当はこんなドス黒い感情を隠してたのか。
俺、黒木ってもっと人の気持ちに寄り添える、誠実なやつだと思ってたんだよな。なんだかちょっと、どころか、かなりがっかりした。
俺のことを気遣うフリして、自分の欲を発散させようだなんて、マジで呆れる。尚人に復讐とかっていうのも、自分が尚人のことを気に入らないだけだろ。
……なんかもうどうでもよくなってきた。
力でも勝てないし、黒木がやめるつもりがないなら、抵抗しても無駄。ちんこでも尻でもなんでも好きにすりゃいい。
「……ユウジ?」
夢中で俺の体を弄り、唇に吸い付いていた黒木だったが、俺が急に抵抗をやめたことでようやく異変に気づいたらしく、その手を止めた。
「…………」
「……ユウジ、もしかして、怒ってる……?」
「……別に」
「……嘘だ。怒ってるよね。すごい眉間にシワ寄ってるし」
「お前が怒ってるって思うならそーなんだろ」
「俺とのセックス、嫌だった?」
「嫌もなにも、俺合意してねーよな。待てって言ったし」
「……ごめん、ユウジ……」
「…………」
俺がそっぽ向いて無視してようやく黒木は、しでかしたことの重大さに気がついたようだった。なんせ、こいつは今、俺をレイプしようとしたんだ。
「……本当にごめん、ユウジ。俺、そんなつもりじゃなかったんだ」
「……」
「俺、ユウジのこと本当に好きでさ。やっと会えたのが嬉しくて、舞い上がっちゃったんだ」
シュンとした声。
ここの空気は黒木の感情と連動しているのか、さっきまでの重苦しく淀んだ空気が、今はちょっとだけ晴れて、その代わりしっとり湿ってる。
「……なあ、黒木。なんでお前、俺のことそんなに好きなんだよ」
そもそも俺は黒木に好かれる理由が分からない。
大学に入って、最初は普通に顔見知りの同期生くらい感じだったはず。それがいつの間にか、黒木にすげー懐かれていた。
「――ユウジ。てっぺんに時計のある北棟の外階段で、山岳部が訓練してた頃のこと覚えてる?」
「訓練?」
「うん。ザック背負って、5階建ての階段を上り下りするやつ」
「あー……」
そういえば。
よく山岳部の連中が、どこに行くわけでもないのにザックを背負ってあちこち移動してたな。あれって訓練だったのか。
「あの北棟の外階段はさ、大学の校舎で一番高くてさ。1年生は体力作りとザックの重量に慣れるために、20キロの重りを入れたザックを背負って、あの階段で訓練してたんだけどね、そこで俺はユウジと出会ったんだ」
当時からタバコを吸っていた俺は、よく外階段に出てタバコを吸っていた。学内は禁煙で、喫煙場所でしか吸えない決まりだったんだけど、あの北棟の外階段は人があまり利用してなくて、講義の合間にちょっと吸いたいときは、外階段に出て吸っていた。
たしかに、黒木とはあの外階段で、喫煙中によくすれ違ってた。
平気そうな顔してたけど、あれ20キロもあったのか。
「俺もね、最初は外階段でタバコ吸うのが好きな人なんだなーくらいしか思ってなかったんだけどさ。ある日、俺のザックにつけてたキーホルダーが何かに引っかかって落ちちゃって、階段の下に転がってちゃってさ。あーこれ隙間から落ちて見失うやつだーって思ったら、ユウジがキャッチしてくれて」
「そんなことあったっけ」
「あったよ。そのときのユウジ、俺に取ったぞってすげーいい顔で笑ってくれてさ。なんかドキッてしてさ~。俺たぶんその一瞬で好きになっちゃったのかな。それから階段で会うたびにちょっと話すようになって。すげークールなのに本当はおっとりタイプで、ちょっとおっちょこちょいなとこもあって、そこもかわいくて。ザック重くて階段しんどいのに、ユウジの前では平気な顔してさー。我ながら笑っちゃうんだけど」
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