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【過去編】操り人形の王子達

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 暫くすると、フィーネが妊娠した。僅か13歳の少女がだ。父親はトンプソン。アイゼンはフィーネに飽きたのか他の妾に子を産ませ、ロマーリオは抱かずに夜を共にするだけで会話も無くフィーネに安眠を与えただけだった。
 案の定、トンプソンが王太子になり、フィーネに久々にロマーリオは声を掛けた。

「フィーネ、おめでとう」

 勿論、本心で祝辞を述べてはいない。城の狭い管理下で、自由等無い状況で一生でトンプソンや父王の操り人形になるフィーネを祝えなかった。

「ふふふ………ありがとうございますロマーリオ殿下………トンプソン殿下にやっとお役に立てる日が来ます……この子がすれば、私は思いのままよ……お姉ちゃんに負けないわ」
「!!」

 いつの間にか、フィーネの性格も作り変えられた気配がしたロマーリオ。
 王も、ロマーリオに期待をもう寄せてはいない。トンプソンを唯一のとし、アイゼンの反発が出たのもあり、王令でフィーネを操り、魔力でアイゼンを魔法で殺害させたのだ。

「ははははははっ!トンプソン殿下見てくれました?貴方の消しましたよ?」
「見事だ!フィーネ!」

 それを目の当たりにし、ロマーリオの記憶が鮮明に思い出す。フィーネの両親を同じ様に殺し、高笑いしていたあの頃を。『役に立たない者には死』『王に逆らう者は罪人』と教えられた幼少期。
 ロマーリオは、反抗せずトンプソンの補佐をする側に回る為に、腕を磨くたと言って、偽名をコーウェンと名乗り騎士団へと入団したのだ。
 騎士団での自由の生活は、ロマーリオに生きていると実感させられていた。魔獣討伐に忙しかったのが祟り大怪我をしたが、手当てをしてくれた薬師のおかげで、またも一命を取り留めたロマーリオは、助けたフィーナと出会う。

「良かった……彼意識取り戻したわ!」
「本当か?コーウェン!大丈夫か!?」
「……………サムエル?」
「まだ安静にしててよ?傷が開いちゃうから」

 何人もの怪我人の手当てを忙しなくしているフィーナに、フィーネの面影をダブらせたロマーリオ。

「彼女の名………は?」
「あぁ、フィーナという薬師だ……彼女が作る薬は良く効く………俺も切り傷が出来たが、もう完治したんだ」

 フィーナは気立てが良く、美しい女だった。騎士団の騎士の目がフィーナへと向くのは直ぐで、フィーナは誰に告白されても軽くあしらう為、高嶺の華の存在になっていく。

「フィーナは、誰にでも親切だな」
「そうかしら……私冷たい女だわ」

 時折寂しそうな表情を垣間見え、ロマーリオにはその理由が薄々分かっていた。だが、言うと、フィーナはロマーリオに憎悪を向けるだろう。フィーネの事を言いたくても言えずにいると、ロマーリオにもフィーナへの恋心が芽生えていく。如何しようもないこの気持ちは止める事が出来なかった。片思いでいい、そう思い距離を置くようになるが、まだ完治してない程の重傷だったロマーリオを心配し、フィーナは毎日の様に献身的に看病する。

 ―――人の気も知らないで……

 やっと起き上がれる様にもなると、フィーナは詰所には毎日は来なくなった。それが寂しくて、体力が落ちたロマーリオは体力回復で詰所内を散歩する。

「好きなんだ、フィーナ………俺の妻にならないか?」
「………ごめんなさい、私……好きな人居るの……実らない恋だけどとても大事な恋だから………」
「相手は知ってるのか?フィーナの気持ち」
「知らないんじゃないかしら……最近冷たいもの………でもいいの、告白しない恋だから」
「不毛じゃないか!」
「そうね………不毛でいいわ……またが怪我したら、私が治すだけで満足よ……もうあまり来れないだろうけど……怪我をして欲しい、て思ってしまう程好きな人だけど、彼には幸せになって欲しいから……」

 ―――誰なんだ?フィーナの好きな男って……

 散歩中、ロマーリオは物陰に隠れ盗み聞きをしていた。

「聞いていいかな?……相手は誰?」
「…………内緒にしてくれる?」
「するよ!………フィーナが好きな男が俺よりいい男だったら諦め付くし!」

 ―――うん……俺も諦め付くな……きっと……

「…………コーウェン……」

 ―――!!

 直ぐ背後で、声がして振り向くとフィーナが立っていた。物陰に隠れきれていなかったようで、フィーナに気が付かれた。

「何してるの?」
「…………あ、いや……散歩してて……」
「それで、物陰に隠れてるのはおかしくないかしら?治療するわ……早く部屋に戻りましょ」

 フィーナはロマーリオの腕を取り、引っ張って行く。取り残されたフィーナへ告白した騎士は、何となくそれで分かってしまった。

「コーウェンかぁ………そんな気がしてたんだよなぁ……コーウェンもフィーナが好きそうだったし、頑張れよ………」

 それから、自然にフィーナと付き合う様になったロマーリオと、街中で2人歩く姿を目撃されたのは直ぐだった。
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