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しおりを挟む「如何して!家に帰って来れば良いじゃないの!」
麗禾達は解散する事になり、麗禾が何処に帰るか、で両親と揉めていた。
「大学の準備が黒龍さんの住むマンションに置きっぱなしだから…………実家には帰れない、というか………明日提出期限のレポートを保存しているデータも黒龍さんのマンション………だし……黒龍さんが迷惑でなければ、其処から通いたいな、て…………」
「黒龍さん、黒龍さん………て………アンタ!」
「麗子………もう、麗禾は嫁に出した様なもんだ……既に2人はデキてるんだから」
「っ!」
「……………だよな?麗禾」
本当に、処女を奪った時の証拠写真を父に送ったのか、と晄を睨んでしまう麗禾。
「孫は早く頼む、若頭」
「お任せを」
「こ、晄さん!」
「そ、そうね………40手前で孫抱きたいわ………」
「お、お母さん迄…………」
大学を理由にはしたが、麗禾は両親に対する対応を如何して良いか複雑ではあったのだ。
あの誘拐事件が無ければ、母は暴力を奮う人では無かったし、父も厳しく無関心を装う事も無かった。しかし、10年近く変化した関係が染み付き、どう接して良いか分からず帰りにくい。
それに、晄とも話をしたいのだ。
「お預かりします」
「…………頼む、若頭」
「…………おやすみなさい、お父さん、お母さん」
「麗禾~」
「帰るぞ、麗子」
別々の車に乗り、麗禾は晄とマンションへと向かった。
「っ!…………ち、ちょっと………こ、晄さ……だ駄目です!」
「何がだ…………俺と結婚して子供産むんだろ?」
「ま、ま、前…………榊さんや……運転してる人だ…………って……」
後部座席に乗ると、直ぐに晄が麗禾を抱き締めて来て、顔を近付けて来る。
「気にすんな………あいつ等は空気だ」
「お嬢、お気になさらずに」
「駄目です!スモーク張ってたって、フロントから見えちゃいます!」
「あ、此処閉めますね」
「あぁ、頼む榊」
「え!」
晄の車には前部座席と後部座席の間にカーテンが付けてあり閉められてしまった。だからといって、声は聞こえる訳で、話し声ならまだしも、晄がしようとするのはキスだ。
キスだけで終わってくれるのかも疑わしい。
「あれからキスも出来てない」
「そ、そうですけど………わ、私まだごめんなさい、て言いましたよね!」
「地下で結婚すると言った」
「っ!」
「我慢はしない………もう、知ってるだろ?」
「……………き……」
「き?」
「鬼畜…………」
「…………あぁ、鬼畜だな………それに、巨根で絶倫に自信ある」
「……………キス………だけなら………」
「……………プッ………したかったんじゃねぇか、お前もよ」
「っ!」
好きだと自覚したら、麗禾もキスがしたかった。真っ赤な顔をして、鬼畜と言って誤魔化してもやはり欲望には勝てない様だ。
自分からは行けず、麗禾は晄のスーツの襟を摘んだ。
「可愛い事しやがる………来るならしがみついて貪りに来いよ」
「っな!…………わ、私からしろ、て言うんですか!」
「お前から来られるのはまだ貴重でな、まだ初心さが残る姿が見たい………慣れてくるとな……そんな可愛い事、女はしねぇのよ」
「……………しません!もう!キスなんて!」
他の女と比べられて、経験の少ない麗禾に、その女達に勝てるキスが出来る訳がない。
「な、何だと!俺を好きになったんだろうが!」
「なってません!結婚は承諾しましたけど!」
「だったらセックスするんだろうな!キスも無しで!」
「…………セックスも………もうしないです!」
「何でだ!孫楽しみにしてんだぞ!お前の両親!」
「養子取ります?」
「却下だ!」
これが麗禾の嫉妬だと全く気が付いてない晄。
「若頭、お嬢は嫉妬してるんですよ~」
「聞く耳立てるんじゃねぇよ!榊!」
「大声で怒鳴りゃ、嫌でも耳に入るんで………外にも漏れますよ?…………まぁ、若頭なら気にしないでしょうけど」
麗禾はというと、ドアにピッタリとくっついて、晄と距離を頻りに取って窓の外を見ている。
「っ!」
それを晄は距離を詰めて、麗禾の肩に頭を乗せた。
「すまん………何で嫉妬した?」
「……………他の女と比べられたので……」
「っ!…………も、もうしない………愛人達とは切ってる最中だ…………だから………」
「私だけですか?」
「あぁ…………麗禾だけだ………惚れてる………お前は俺を裏切る事はしないと信じてる」
「……………」
「っ!」
距離が縮まった後部座席。詰め寄られた麗禾は晄のスーツを摘んだのではなく、力強く握り晄を自分の方へ引っ張り込んだ。
自分から、晄の唇を舐め、晄の口内へ自ら入る。直ぐに主導権を奪われてしまったが、舌を絡め続け、唾液がお互いの口から垂れようとも、絡め続けた。
「んっ………はっ……」
「…………もっとだ………絡め……取れ…よ……」
切れ切れの晄の声。唇が重なり、声が出し難いのに、麗禾に自分のテクニックを教えていく。
「っ!」
「…………勃っちまった………上達……したな……」
麗禾は手を取られ、晄の足の付け根に移動させられ、欲しいのだと教える。以前は此処迄にならなかったのだろうか、と考えが過ぎるが、過去は如何でも良くなる。集中しないと翻弄されてしまうから。
「盛り上がった所申し訳ありませんが、若頭………マンションに到着しましたので、続きは後にして下さい」
「っ!」
「……………少しは気、効かせてどっかにドライブするなり、カーセックスぐらいさせろや!」
「神崎組と青葉会の事、解決してないのに遊び回るのは危険です」
「……………分かったよ!降りりゃ良いいんだろ!」
少し前迄は、寡黙な男だと思っていたのに、どんどん毒舌に見えてくる榊。元々、そういう性格で隠していたのかもしれない。
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