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蜘蛛に狙われる金の瞳♥

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「男爵!如何して片付けさせた!茶会があり我が婚約者マシュリーだけ倒れたと一報が入っているんだ、何故それを調べる事をしない!皇太子妃になる令嬢が毒を飲まされているなら、男爵も罪に問われてもいくら無実を訴えようと、不問等にはせぬぞ!」
「た、確かに、マシュリー様が倒れられた時、家令が部屋を用意致した模様なのですが、片付けに関しては家令も指示を出していないようで………」

 モルアーニ男爵は、ルカスにひれ伏すしか出来ない。現状を見ていないモルアーニ男爵には説明が出来なかったのだ。

「ルカス様、お茶会の出席者が分かりました」
「誰だ」
「ヌーベル侯爵家から2名、マリエッタ嬢とロージェ嬢の従姉妹、マクドネル男爵家ドミニク嬢、あとアンナレーナ嬢が……」
「アンナ…………だと?………見張り付けていたんじゃなかったか!」
「はい、付けてました………外出したという報告は受けていません」
「…………男爵、其方の娘、コレット嬢は何処に居る、ここに呼べ」
「……………は、はい!コレットを呼べ!」
「旦那様、それが先程馬車でお出かけになりまして……アンナレーナ様とご一緒に………」
「!!」
「何だって!」

 ルカスは怒りに満ち、剣に手を掛け握り締める。

「ルカス様!行って下さい!!ここは俺に任して下さい!証拠は俺が見つけますから!」
「……………頼む……」

 マークと少しの部下を残し、馬車を走らせるルカス。行き先はアンナレーナの隠し屋敷だ。何件か所有している内のどれかだと思いたい。気が逸るが何とか冷静さを保ち、騎乗は避け馬車の中でマシュリーに思いを寄せる。レナードも護衛に付いていて、一緒に居なくなったという事は、レナードはマシュリーに付いている筈、と思いそれに期待した。

         ♡♤♡♤♡

 少し時は遡る。
 
 マシュリーは意識が遠退き、レナードに抱き上げられ用意された部屋に入ると、レナードは扉の陰から一太刀浴びてしまう。

「ぐっ!」

 マシュリーを抱き上げていたのもあり、マシュリーを落とす訳にはいかず、そのまま跪くとマシュリーを抱き締めたまま、アンナレーナを睨んだ。

「貴方は邪魔ね………その女を寄越しなさい」
「…………アンナ様……見張りを掻い潜る術があって驚きましたよ」
「ふふふ………人脈無い令嬢だとは思って無いでしょう?………さぁ、離しなさい」
「誰が…………この方はルカス様の大切な方………この方に何かあったら、俺がルカス様に殺されるんでね」

 連れて行かれない様、血が滴るレナードは力を込め、マシュリーを抱き締め部屋から出る策を考えるが、アンナレーナの部下だろう男達に囲まれ、レナードはなす術無しだ。

「まぁ、いいわ…………この男も連れて来なさい………従順な下僕にしてあげる………この女も言う事を聞かないでしょうし………この男を盾にして、言う事を聞かせる余興も楽しそう………コレット……よくやったわ……後でご褒美あげるわね」
「アンナ様、嬉しいです」

 コレットが何故アンナレーナの下僕の様に動くのか理解出来なかったが、コレットの交友関係を調べ挙げられなかったレナードの不手際としか言えず、悔しそうな顔を滲み出すレナード。
 2人は馬車に乗せられて、レナードが見知った屋敷に到着すると、マシュリーを引き離されてしまった。

「マシュリー様!!」
「おっと、お前はこっちで見物だ」
「美人だなぁ、この女」
「貴様等が触れていい方じゃない!!皇太子妃になる方だぞ!」
「お零れ貰いたいな」
「全くだ」

 アンナレーナの部下達は、マシュリーの立場等気にしない様子で、涎迄誑し見定めをしている。一方のアンナレーナとコレットは寄り添って歩き、マシュリーを連れて行った部屋の隅でイチャイチャし始める。レナードの目の前だろうが気にも止めず、アンナレーナはコレットのドレスを脱がし、女同士で房事を始めたのだ。それには驚いてレナードも見てはいけない物を見ているようで、目を逸らすが声だけは如何にもならない。レナードは傷の手当もされぬまま、背中に腕を回され拘束されていたからだ。

「マシュリー様…………必ずお助けします……早くお気を取り戻して下さいっ………」

 睡眠薬を飲ました、とアンナレーナは馬車の中でレナードに言ったのだ。馬車から降りて、引き離されてからマシュリーも同じ部屋に椅子に拘束されている。痛みに掠れ声になるレナード。だがこのままでは如何にもならないもどかしさが、苛々と手枷を解こうとその手首からも血を流していた。

「…………んっ………んん……」
「!!………マシュリー様!お気をしっかり!!」
「………あら?起きたようね………コレット、お楽しみはまた後よ………部屋の外の男達を呼んで来て」
「…………はい、アンナ様」

 これから起こる惨事に、マシュリーもレナードも、恐怖心しか無かった。
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