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朝も昼も夜も♡
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しおりを挟む「何かもの言いたげだな………」
「んあっんっ………やぁ………」
少し、くいっとチェーンを引っ張るだけで挟まれた部分が引っ張られ、ひくひくて震える身体のマシュリーに、ルカスは聞いた。
「朝まで、本当にシないつもり?」
「!!…………約束……した……のにっ」
「頑固だもんなぁ……マシュリー………いいよ、シなくても……その代わり明日の夜迄このままね」
「!!…………む、無理で………すっ」
この疼きを丸一日味わう等、マシュリーの体力は持たない。しかも1日中、馬車移動で揺れるのだ。
「……………なら、何て言う?外してのお願いは聞かないよ」
「…………ず、ズルい………」
「コソコソと内緒話をマークとするのはズルくないのか?」
「…………だ、だから……ごめんなさい、と……」
「そんな言葉は求めてないんだなぁ……俺は………ただ一言、欲しいと言えば、外してあげるしその疼きを満足させてあげるのに……」
ルカスがアンナレーナと合わない理由をここで見た気がするマシュリー。拘束されていた時の部屋には、マシュリーが身に着けている装飾品とは違ったが似たような物が点在していたのだ。そう、ルカスとアンナレーナは同類なのだ、と。
「………き………」
「?…………き?」
「鬼畜のルカス様は嫌いです!!」
「!!」
ルカス、固まる。
そういう言葉が一番合うだろうというぐらい、硬直してしまったルカス。ショックだったんだろう、マシュリーから見てもバスローブから象徴していたルカスの屹立が一気に元気が無くなったのだ。ルカスはマシュリーに着けた装飾品を外し、手首の拘束を外すと、服を着て部屋を出て行ってしまい、朝迄戻って来なかった。
♡♤♡♤♡
「ぶわっははははははっ!!傑作ですよ、ルカス様!!」
「……………うるせぇ……」
ルカスはマークの部屋へ行くが、マークの部屋にエリスも居て、案の定仲睦まじくしていた所に、ルカスが邪魔に入ったのだ。ルカスに邪魔されて不機嫌極まりない顔をしていたマークだが、初めて見る君主の落ち込む顔に、大爆笑しているのである。
「わ、私……姫様の所に行ってきますね」
「ごめん、頼むよ」
エリスも、ただ事では無さそうな感じに、マークの部屋から急いで出て行く。
「お前達はヤってんじゃねぇか」
「……………まぁ、俺達はそんな約束してませんし、俺はルカス様の様な絶倫でもないですから、程々にヤってるぐらいです………3回ヤればいい方かな」
「……………はぁ………」
「ルカス様の方から求め過ぎなんですよ、だから抱き潰して、カレンにも怒られるんじゃないですか…………結婚して、公務等入ったマシュリー様が、ルカス様の性欲を全て受け止められるとは思いませんから、今の内に制御を、と言っていたのに」
「理屈では分かってるんだよ、理屈では………」
結果的にはマークが望む方向には行ったので良かったものの、マシュリーがルカスに言った言葉がおかしくて、マークは再び思い出して笑いが出る。
「…………鬼畜なルカス様は嫌い………プッ!」
「ちっ!」
「ルカス様が女性に嫌いと言われたの初めてじゃないですか?」
「……………多分……」
「打たれ弱っ………プッ………」
「…………お前………いずれ最前線で戦わせてやる……」
「そんな事より、マシュリー様にちゃんと謝っておいて下さいね………アガルタとの交渉が上手く行く筈はないんですから、せめて穏便に進める為にも、マシュリー様の協力が必要になるかもしれないんですから」
「…………分かってる………」
一方、マシュリーはルカスに嫌いと言ってしまい泣いていた。エリスも見兼ね付き添っている。
「姫様は悪くないですから」
「…………でも……言いたくなかった言葉を言ってしまって………」
「ルカス様は怒ってないですよ、きっと………むしろ逆……」
「逆?…………喜んでいるの?」
「…………あ、いえ、落ち込んでるんです……大好きな姫様に、嫌いと言われて………ルカス様は今マークと話してますから、ほとぼりが冷めたら、謝ってくれると思いますよ」
「……………そうかしら……」
「はい、きっと」
温かいお茶をエリスに出され、一息付くマシュリー。エリスはマークと恋仲なのだから、色恋については全く知らない訳ではないと思い、マシュリーはエリスに質問をする。
「エリス」
「はい」
「貴女…………マーク卿とどんな…………房事……をしているの?」
「!!…………え!!ど、どんな………て……」
「………た、例えばね………し、縛る……とか………道具……使う………とか……」
「…………し………しば………使いません使いません使いません!!………そ、そんな……や、や、やらしい……事………」
「……………そう……」
「…………え?………まさか………ルカス様……その様な趣味が………?」
「………………」
「………………え~~~~っ!付き合ってるんですか!それを!!」
無言で俯くマシュリーに、エリスは察知する。
「…………ひ、広めないでよ?」
「も、も、勿論です!………マシュリー様!マシュリー様が嫌な事なら絶対に絶対に絶対に、そんな行為許しては駄目ですよ!!」
「……………求められているのに?」
「………中には好きな女性も居るとは聞きますけど………マシュリー様が嫌な事なら絶対に許してはいけません!」
「…………分かってるわ……」
そうは言うものの、マシュリーは気持ち良過ぎて、結局受け入れてしまうのだから、マシュリー自身は嫌いな事ではないのだろうと思う。
「…………宿だから、よね……きっと……それに制御してもらう為だったから、言ってしまったのよ…………うん……」
ポソポソとマシュリーは一人呟き頷くと、エリスが再び近付き、
「何か仰いました?」
「………いいえ、何でもないわ……ありがとう、来てくれて」
「いいえ………….他にご用が無ければ下がりますが、何かまだありますか?」
「大丈夫、貴女も休んで………ごめんなさいね」
「姫様の侍女ですから、当然の事です……失礼致します」
エリスはアナの居る部屋に戻り、その日は終わった。
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