聖女はもうのんびりしたいんです【完結】

Lynx🐈‍⬛

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成人

エピローグ

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 納骨堂の初代エレノアと初代国王サムエルと王妃マーゴットに報告を行くと、エレノアとレオナルドは真上にある湖のガゼボで寛いでいた。

「念願のエレノア膝枕………」
「……………レオ、ありがとう」

 ガゼボの屋根の下は、テーブルや椅子等は置かれてはおらず、エレノアが地べたに座る膝に、レオナルドが横たわっている。

「俺が礼を言う事だろ?」
「膝枕はね…………私が言いたかったのは、神殿撲滅の事よ…………レオが居なかったら、私はまた同じ様に苦悩して、そのまま何も出来ずに死んでたと思うわ」
「……………だろ?だから運命感じないか?」
「……………そうね!感じるわ、今更だけど」

 レオナルドが居て、出来た事が沢山あった。精神的支えにもなってくれていた。こんなにも頼れた人は過去にはサムエルとマーゴットだけだった。

「俺も誰かの生まれ変わりかもしれないけど、もしそうならもっと早くエレノアと会って、助けてやれたかもしれないよな」
「私には、誰が誰の生まれ変わりなんて分からないからなぁ………顔も似ないしね………会話からそうかな、て思う人も居たりしたけど、それ以上分からないし、本人に誰々の生まれ変わりなの?て聞いたらおかしいでしょ?」
「そうだよな、頭おかしな人に認定されそうだ…………エレノアはずっとなのにな」
「来世はもうエレノアじゃなくて良いわ………疲れちゃうもん」
「俺も、その方が良いと思うよ………でも、来世も俺はエレノアに会いたいよ………聖女じゃなくても、記憶が残ってなくても残っていても………俺は君の魂を絶対に好きになれそうな気がする」
「魂?…………ふふふ……不細工でも?」

 外見で判断しようとしないレオナルドにエレノアは揶揄い始めた。

「不細工でも、心がエレノアなら………」
「っ!…………くすぐったい……」

 揶揄われていく雰囲気はレオナルドも察知し、自分のペースに変えようと、エレノアの頬や耳を撫でる。それはエレノアにはまだ慣れない事だった。

「慣れろよ………結婚する迄、俺は我慢してるんだぞ?…………1000年以上の記憶がエレノアにはあるんだ………男女の愛を確かめ合うのはキスだけじゃないだろ?」
「わ、分かってるけど………」
「俺は、エレノアに結婚も子供を生む事も、旦那となる俺とのんびり生活………はそれは難しいだろうけど、世代交代した後は子供達に国を任せて、一緒に余生を送る事をさせてやりたい………何人子供が欲しいとか、孫にも囲まれて、エレノアにはいつも笑っていて欲しいんだ」
「っ!…………レオ………」
「早く、ゴタゴタを片付けてしまおう………本当はゆっくりエレノアを休ませたいのに、ごめんな…………」
「ううん…………謝らないで………案外、性に合ってるな、て思い始めたし………義務感でやっていた初代の時とは違うの………レオと考えて国の仕事は大変なのに、それを楽しめてる」
「……………エレノア……」

 レオナルドがエレノアの膝枕から離れ、身体を起こすと、ポケットから指輪を出した。
 跪き、エレノアの左手を掴み上げ、エレノアに指輪を嵌める。

「……………レオ……」
「オルレアン王家に伝わっている指輪の1つだ…………見た事あるだろ?」
「っ!……………う、うん………わ、私が……嵌めてた………女王だった時の………1つぐらいは付けておかなきゃ、てサムエルから贈られた………」
「そんな経緯だったのは、俺は知らないけど、父上がエレノアに渡すならこれだろう、と宝物庫から出す許可をくれた…………お帰り、エレノア………オルレアン王家によく帰ってきてくれた…………次は、俺の妃として………一緒に支え合っていこう」
「うん…………レオ!」
「っ!」

 感極まり、エレノアはレオナルドに抱き着く。
 プロポーズもそうだが、思い出の指輪もエレノアに帰ってきては、もうレオナルドからは逃げる事は出来ない。捕らえられたエレノアは、のんびりライフを送るのはまだまだ先の様だ。
 その1年後、結婚したエレノアとレオナルドは3人の子に恵まれ、レオナルドが国王となった傍らでは、エレノアがいつも笑顔で寄り添う姿を見せていた。


       ✦  ✦  ✦


 更にそのエレノアが伝説になり、オルレアン国で生まれ変わりを待ち侘びられていても、エレノアはもう、姿を現す事は無かった。
 生まれ変わっているのか、それとも聖女として出て来る事を嫌がったのかは分からない。
 だが、それはオルレアン国がずっと平和で穏やかな国だった事が、何よりも証明されているかもしれない。




       ˖*꒰ .. 𝐻𝒶𝓅𝓅𝓎 𝐸𝓃𝒹.. ꒱*˖
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