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悪魔の手♡

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 1時間程仮眠し、ぐっすり頭が冴えた玲良は仮眠室から出る。その冴えた頭の玲良だったが、寝起きなのもあり、油断したのだろう。仮眠室を整え出て歩き出した時、引っ張られる様に他の仮眠室へと倒れ込んだ。

「!!」
「………やぁ、玲良」
「…………や、山科………先生……」

 床に倒れ込み、仮眠室の扉の内側で仁王立ちする山科は玲良を見下ろしている。

「随分、富樫と楽しんでたね……業務中じゃなかったかな?」
「せ、先生に言われたくありませんけど……戻りますので、退いて下さい」

 山科はスマホを取り出し操作すると、玲良の足首に腰を下ろす。

「!!………ど、退いて下さい!!」

 足が抜けず、足首は山科の手に掴まされて立てない。

『んあっ……あっ………』
『声聞きたいけど、声抑えろよ』

 はっきりとは聞き取れないが、仮眠室での穂高の声。

『挿入るぞ』

 玲良の声は、吃って玲良の声を確定出来そうにないだろう。

「仮眠室で、富樫が女を連れ込んでセックスしているのは丸わかりだな………玲良の声はよく分からないが……上手い事、声を押し殺したね、玲良」
「……………な、何で録音を……」
『………くっ!出るっ!』
『んんんんんっ!!』

 録音された音声は、達した所で途絶えている。

「決まってるじゃないか、富樫を排除したいのさ」
「…………そんな事したら、私も黙ってませんよ!」
「黙ってもらうさ………これからの事を録画して、富樫のした事に擦り付けるんだから」
「…………え?………!!……や、やめっ………っ!」

 ズボンを強引に引き摺り下ろされ、足首から膝迄移動した山科にペーパータオルだろうか、丸められた紙を口に押し込まれた。手で取ろうとするが、手首もネクタイで結ばれる。

「あぁ、凄いな………ちゃんと拭き取ったか?玲良………富樫のが出てるぞ?………玲良の声は吃った録音だったから、口に押し込まれたペーパータオルで同じ様に吃った声が取れるだろう………そうしたら、録画に変え、後は、僕が富樫の注いだのを僕ので掻き出して注いだら、写真に収めてお終い………」
「!!」
「だが、抵抗されたら困るから手の自由も奪わせてもらうから」
「んんんっ!!」

 足は1本開放され、山科は自分の肩に玲良の足を掛けた。肉棒も晒し、穂高の温もりで幸せだった身体が凍る。足の自由と手の自由、口の自由さえも奪われ、山科はスマホを玲良の秘部が見える様に置いた。

「録画してるからね、玲良」
「んんんんっ!!」
「はははっ………1年振りだ……気持ち良かった玲良の中を味わえる……」
「!!!」

 山科の肉棒に掻き出され、隘路を出入りする。付き合っていた人だったが、今では気持ち悪くて堪らない。だが、山科は久しぶりの玲良を抱くからか、直ぐに果てた。

「…………クククッ……この残骸を写真に納めたし、後はコレを富樫のデスクのパソコンから発信してやろう………玲良……君はゆっくりしておいで………後藤教授には、とても言っておくよ」

 満足そうに、玲良の拘束を取り、口に押し込まれたペーパータオルで玲良の足を拭くと、仮眠室のゴミ箱に汚物を捨てる山科。誰が使った仮眠室か分かるのに、気にもしていない様だ。

「あ、そうそう………この仮眠室は富樫の使用扱いにしているから」
「!!………な、何て事を!」
「富樫を守りたかったら、玲良………僕のを聞くんだよ?………パソコンからの録画と録音、写真を発信させたくなければね………」

 全身が凍る。一瞬の油断が、とてつもない後悔が押し寄せた玲良。

「う………うっ………穂高………」

 相談等したら、穂高は山科を殴るだけでは済まないだろう。医者が暴力事件等起こしたら、医者としての信用が失くなってしまう。
 結婚をしよう、とプロポーズもされたのに、穂高を裏切ってしまった行為。守ってくれていたのに、自分は自分を守れなかったのだ。
 高校の入学式の日の痴漢の気持ち悪さの比ではない。山科が玲良を貫く度に怖くて動けなかった。
 足元から崩れる気がする、穂高からの信用。必死で崩れ落ちそうな信用を掻き集めたかった。それには先ず、山科の残骸を落とす事が先と思い、冷静ではないにしろ、シャワールームに駆け込み、引っ掻き傷が出来るほど、身体中を擦り続けたのだった。

        ☆☆☆☆☆

「玲良、本当に1人にして大丈夫か?」
「……………うん、大丈夫………仕事行ってきて……」

 熱が出たと、嘘の報告をした山科だったが、流石に責任感がある玲良が顔を出さないまま帰るとは思えなかった後藤が、看護師に様子を見に行かせた所、シャワールームで全裸で倒れていたのを発見された玲良。そのまま、仮眠室に寝かせられ、夜勤だった穂高に知らされたのは、夜勤勤務が終わってからだった。夜勤後、穂高が玲良の住む家を知っているから送って行く、と連れて帰ったのだが、翌日の朝も熱が下がらなかった。

「やっぱり俺休むかな」
「大丈夫だってば」
「…………いいか!汗掻いたら直ぐに着替えろよ!」
「分かってる、て……解熱剤も飲んだし、寝れば治るから………部屋の鍵、預かっといて」
「……………電話するから」
「………行ってらっしゃい」

 渋々、出勤した穂高をベッドから見送って、扉が閉まるのを確認すると、玲良は千鳥足でキッチンにあるピルを飲んだ。山科との子等は産めない。避妊具を使わなくなって飲み始めたピルだが、あって良かった、と熟思った事は無かった。
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