私、魔王に恋してしまいました!【完結】

Lynx🐈‍⬛

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「だ、誰だよそれ!」
「っ!」

 日本人からすれば、外国人だと思われるカタカナの名前。
 佑美は口走ったその名は本当に現実に佑美の周りに起きた出来事の大切な名前だ。
 だが、それを説明するには、仁にどう理解してくれるかも分からない上、説明を聞かされても信じてはくれない出来事でしかならない。

「答えろ!」
「あぁぁぁっっっ!」

 ずちゅ、と突然最奥に一気に突き刺さる杭に、佑美も悶えた。

「佑美!」
「っくっ………や、止め……い、言ったって………し、信じな………私だっ………て………夢みたい……な経験だ………った……から……」
「夢?…………いい加減な事言って逃げる気なんだろ!」
「あぁっ、あ………止めてぇ………」

 しかし、仁に気付かれた。
 佑美でさえも、忘れ掛けたシュゼルトから付けられたキスマーク。
 消えかかっていたが、確かに佑美の太腿に点在するピンクの痕が、佑美に付けれる筈も無い場所にあり、仁が付けた覚えも無いのであれば、紛れもなく夢ではない、と。

「佑美…………浮気してたんだな……ソイツと……」
「う、浮気………のつもり………無……」
「じゃあ何だよ!俺が居るのに!」
「説………明……する……から………抜いてっ!」
「……………くっ!………」
「仁っ!」
「抜くかよ!」
「き、聞いて………」

 説明も上手く出来る自信等は無い。
 それでも止めて欲しくて、佑美は仁に懇願するが、仁は更に律動を早め、激しく佑美の最奥に打ち付けていく。

「い、嫌っ…………お願………妊娠……したくな…………」
「孕ませてやる!」

 ---仁はそれでいいの?………後悔するよ………きっと……

 佑美は乱暴に仁に抱かれていて、激しさから言葉を紡ぎ出せず、喘ぐしか出来ない。
 話せないので、仁にはそれが伝わらないまま、仁は佑美の中に、熱を浴びせた。

「…………はぁ、はぁ……妊娠する迄、出勤させないからな、佑美」
「…………酷いよ………私の話………聞いてくれないなんて………」
「俺のだって、分からせてやる」
「っ!…………お願い!止めてっ!」

 再び、再開した律動に、佑美が泣き疲れて気を失う迄、仁はずっと佑美を貪り続けていた。


        ✦✦✦✦✦


「佑美、此処に飯置いておくから」
「……………外してよ、コレ」
「仕事行ってくるよ」
「仁!」

 佑美は翌日目が覚めた時、裸のまま拘束させられていた。
 ベッドの脚に手錠が付けられていて、その手錠が縄で結ばれ、佑美の足首に付けられた手錠と繋がっている。
 いつの間に、そんな物を用意されていたのか等、佑美は知る事もなく、かろうじてトイレ迄は行ける長さ迄は動けるが、佑美が持ってきていた荷物のある場所には行けなかった。
 縄を切れれば良いが、仁のベッドがある部屋に刃物も無い。

「逃げたい…………シュゼルト………助けて……」

 シュゼルトでも、佑美を拘束しなかった。
 監禁はされてはいたが、部屋の中は自由に動けたし、限られた人数だったが、会話出来るレックス達も居て、1人になる事も無かった。
 しかし、仁が出勤したら、夜迄1人だ。
 孤独が嫌いな寂しがりやの佑美には、苦痛で仕方ない。1人で居ても、TVを付けてなければ気が済まない性分で、誰かの声を聞いていたいのだ。

「シュゼルトが来れないなら、ルシフェルでも良いから助けてよ!貴方が私を還したんでしょ!」

 姿が見えない魔界人と天界人を、叫び呼び続けたって、来る気配等、佑美には分からない。
 それでも藁にも縋りたい気持ちは止まらず、ずっと泣き叫んでいた。

「スマホも取れない………」

 仁のPCも電話も届かない場所にあり、助けを呼べるツールも無い中、結局1日は過ぎていった。

「ただいま、佑美」
「……………」
「良いなぁ、好きな女が俺の部屋に居て裸で誘ってるの………」

 何も出迎えたくて出迎えている訳ではない佑美。
 他に座れる場所が無いので、ベッドの上に座っているだけだ。
 床はフローリングで床に座ると、身体が冷えてしまうからにすぎない。
 服も着れない状態で、何処にも行けないし、仁の服を着る気にもなれないのだ。

「一応、手錠を外そうと試みたんだな、佑美」
「当たり前でしょ!ベッド持ち上がらないし、足の手錠の鍵無いし、縄切る物見当たらないし」
「無駄無駄………昨夜、抱き潰して佑美が考えそうな事の対処はしてあるから………喜んで、佑美………明日から1週間、俺も有休取れたからさ、ずっとセックス出来るよ」
「……………仁……い、いつからそんなキチガイになったの?」
「キチガイ?………俺がそう言われるなら、そうしたのは佑美だ…………何度もプロポーズしてたのに、別れを切り出す事もなく、ただ付き合ってた…………ふざけんなよ………俺を傷付けておいて、自分が傷付いた顔するなよ」
「っ!」

 佑美は仁を都合良い立場にしてしまっていたのだろう。
 別れは嫌だから、付き合っていた。
 仁から見たら、佑美は振り回されている様にも見えたのだ。

「ご、ごめんなさい………でも、好きなのは本当だった!」
?…………何で過去にしてるんだよ!」
「っ!」

 鞄を放り出し、仁は佑美が座るベッドに詰め寄って来る。
 そして、ベッドに繋がる縄を仁に引っ張られると、佑美はベッドの上で足を引っ張られてしまい、仰向けにされる。

「…………あの後、だけ拭いただけだしな………身体も洗えなかったし、掻き出してなきゃ、俺のまだ入ってるよね?…………そのまま、俺挿入っちゃおうか………」
「も、もう………止めてよ!け、警察に駆け込んでやるから!」
「出来ないって…………連絡ツールこの部屋に置いてないし………俺とセックスしたら、夕飯持って来てやるよ。腹減っただろ?」
「嫌ぁぁぁぁっ!」

 佑美は叫んで、助けを呼ぶぐらいしかもう考えつかなかった。
 だが、その直後、仁は佑美の上に倒れて来る。

「っ!」

 佑美の腹の上で、鼾をかき眠っている仁。

「え?…………え!」
「随分と、横暴な恋人だったのだな」
「る、ルシフェル?」
「アマリエ、無事か?」

 何故、ルシフェルが此処に来たのか、佑美には突然の事過ぎて分からなかった。
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