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しおりを挟む密な話がやっと終わり、アレクシスは王城へと帰って行った。
「疲れただろう、今日」
「アレクシス殿下との話で、観劇を観た記憶無くなりました………ははっ……」
「だろうな………今日はもう休むか?それとも………仲良くするか?」
「っ!」
甘い雰囲気で宿に帰って来たのだ。アレクシスとの時間で流れてしまったが、ジークハルトの願いとしてはあのままイチャ付きたかった筈だ。
アルマがジークハルトに緩く抱かれ、肩に顎を乗せられて囁かれてしまった。身長差もあるので、ジークハルトはアルマの肩に顎を乗せるのは少し辛いだろう。
「…………仲良く………したいです………」
「やらしい妻だな、君は……」
「駄目………ですか?」
「いや?大歓迎」
「きゃっ!」
いきなり抱き上げられたので、思わず短い悲鳴が出てしまったアルマ。
「一緒に風呂に入ろうか」
「え!」
「旦那様!奥様のご準備は私達にお任せ頂ければ!」
侍女達も居るのだ。2人きりではなかった部屋でおっ始められるのも、侍女はもう慣れてしまっているが、夜の化粧は閨行為前には欠かせられないらしい。
「…………如何する?侍女?それとも俺?」
「じ、侍女と………あ、あの……ジーク様とお風呂は恥ずかしいです」
「…………見てるし、知ってる身体なのにか?」
「それでもです!」
「…………分かったよ、俺は別の部屋で入ってくる。ゆっくり準備しておいで」
「っ!………は、はい……」
仕方なく、と言いたげではあったが、アルマはその場でジークハルトに下ろして貰うと、アルマから離れてくれた。
そして、侍女達に手伝って貰い、この数日何故か張り切られる夜の準備には困るものはあるが、手伝って貰っている以上文句を言えるアルマではない。
「…………え!き、今日………コレ……ですか?」
「はい!私共今日王都で買い物をして参りました」
「今、王都で流行してるらしいので、奥様用に10着程ご用意をしておきました!」
「す、透けて…………ます………ね……」
「透けてございます」
「最近、奥様のお胸もふくよかになられたので、旦那様を悩殺して下さい!」
「お似合いだと思った物、全て購入して参りました!旦那様は奥様の物なら爆買いして良い、とお達しありましたので」
「奥様は倹約家ですから、爆買いは嫌がられるとは思いますが、旦那様のお望みなので!」
張り切るのは良いのだが、これは度が過ぎている気がする。
「着なければ駄目ですか?」
「勿論です!」
「旦那様を虜にさせられるのは奥様だけです!」
「悩殺させて下さい!」
「バ、バスローブは羽織らせて下さい………」
「勿体無い」
「魅力半減します」
「でも、脱がしたら………」
「あ、それは驚きそうね」
「バスローブの下にこちら着て頂ければ」
「ゔっ…………はい……恥ずかしい……」
まだ、一緒に風呂に入っておいた方が良かった気がしてくるアルマ。
裸のまま、恐らくベッドに連れて行かれて、という図式が出来るが、この夜着は図式が分からない。
全て布地の向こうが透けているのだ。着ていない方が清々しいだろう、と思えるぐらい淫靡な物なのだ。
着るには着たが、着た姿を見たくなくて、直ぐにバスローブを羽織ってしまうアルマに侍女達は不服そうだ。
「着たお姿確認したかったんですが」
「そうですよ。似合っていなければまた代わりを用意しますので」
「い、良いんです!似合ってなくても!お、おやすみなさい!」
「頑張って下さいね、奥様!」
---は、恥ずかしい!もう脱いでしまいたい!
部屋に戻ると、いつもの夜の姿のジークハルトがもうベッド脇に座って、ワインを飲み始めていた。
「アルマ………おいで」
「っ!………は、はい……」
まるで、初夜がまたやって来た様な緊張で、アルマはジークハルトの横に座った。
「珍しくないか?アルマがバスローブ羽織って………寒いのか?」
「い、いえ………あ、熱いです………あ、いえ………さ、寒い……です………」
何を言ってるんだ、とジークハルトはきょとん、とした目でアルマを見つめている。
熱いなら脱げばいい、と直ぐに言われそうで、アルマは訂正したが、言葉がおかしくなって、顔を赤らめている。
「…………真っ赤だな………プッ……新しい夜着がそんなに恥ずかしいのか?」
「なっ!………え!」
「見せてくれるんだろ?」
「は、はい………あ、いえ………その……」
「侍女達に買いに行かせたんだ。見せてくれないと困る………ほら、俺の前に立って、バスローブ脱いでくれ」
「え…………侍女達に買いに行かせたんですか?侍女達の独断じゃなく………」
「彼女達に独断で行かせる事はないさ。金を持たせて『アルマに似合う夜着をこの金で買える分を買ってこい。そして、俺が喜びそうな物で流行りのを』とな」
確かに侍女達はジークハルトに頼まれた様な物言いだった。いつの間にそんな指示を出していたのやら、と記憶を手繰るが、アルマは分からなかった。
そんな事を思い耽っていると、きっちり結んでいたバスローブの紐をスルっとジークハルトは解いてしまう。
「へ?…………っ!ジーク様っ!」
「ん?ぼんやりしてる隙に………脱いでくれないから俺が脱がそうかな、と………おぉ………いいな………可愛い……」
「か、可愛くないです!あ、この夜着は可愛いと思います!でも着ている私は可愛くありません!」
「プッ…………こんなに可愛い妻が可愛くない訳ないだろ………チグハグな言葉も可愛い………」
「っん!」
ジークハルトはアルマのバスローブを床に落とし抱き寄せると、最近大きくなってきた胸の頂きを夜着の上から吸い付いた。
「ジ、ジーク………様……そんな………上から……なんて…………」
「…………夜着がザラザラして、布地が薄いからか?俺の唾液が直ぐ染み込んだな………この蕾の場所も確認しやすい………いい買い物させた………侍女達に褒美をやらなければな」
侍女達に褒美は勝手にしてくれればいい、と思うが殊の外、ジークハルトが凄く嬉しそうなのは、アルマは戸惑っている。
「…………そして、この可愛いさは犯罪級だな」
「は、犯罪!」
「プッ…………そう、犯罪級………だから今日は一番重罪な場所をしっかり確認して捕まえないと…………」
「ひゃっ!」
アルマは抱き上げられ、ベッドに押し倒されると、ジークハルトに覆い被さられ、唇を奪われるのだった。
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