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改変世界の作戦会議
第90話 オルコ軍の中で戦い方が
しおりを挟む『オルコ軍、間もなく視界に入ります」
シズが、俺にそう言うと、間もなく前方より、見慣れない軍服姿の兵士たちが歩いてくるのが見えた。
「カシビラ伍長、」
「シッ、、、、」
カシビラは、声を上げないよう俺に合図すると、石の影に隠れて彼らを見ていた。
オルコの兵士が、数名こちらに近づいてくる、、、、これはヤバい、感付かれたわけではないはずなのに、兵士は真っすぐこっちに向かっているではないか。
「ん?、カシビラじゃないか、何やってんだ、こんなところで」
、、、えー、敵兵の口から、カシビラって今聞こえたよな、、、知り合いなのか?
「よお、ロンハン、久しぶりだな」
おいおい、カシビラ、何やってんだ、相手は敵だぞ!
「ユウスケ様、大丈夫です、彼らは危険ではありません。」
カシビラが、何を言っているのか、全く解らないでいた。
カシビラは、敵国の軍服を着たロンハンという男と、親しげに会話を始めた。
俺も当初は、まったく理解できないでたが、どうやら二人は同郷の間柄だったらしい。
「おい、カシビラ、そこにいるのは貴族ではあるまいな」
ロンハンは、俺の事を貴族だと思って少し警戒したが、カシビラが俺を旅の者だと紹介してくれた。
そのお陰で、俺とロンハンは、案外すぐに会話を交わせるほどになった。
「はじめまして、東の国から旅をしているユウスケだ、現在はロクソム城で世話になっている」
「俺はロンハン、このカシビラとは、隣村の付き合いです。今日はなんでまた峡谷の最深部なんて来ているんですか?」
カシビラとロンハンは、昔からの顔なじみであるが、ハイハープに国境があるため、カシビラはドットス、ロンハンはオルコの側に属するが、村人からすれば同郷の者同士、現場の兵士の中には、敵同士でありながら、このように貴族のいない現場で鉢合わせても、戦闘にはならないのだそうだ。
逆に、オルコの貴族がここにいたら、間違いなく戦闘になっていたことだろう、いやあ、危ない!。
「君たちは、この峡谷によく入るのかい?」
「いえ、俺たちは貴族の上官から、この峡谷の下を詳細に調べるように命ぜられたんです、なんでも、部隊がどれくらい入れるかを知りたいとかで。でも妙ですね、こんな峡谷の下なんて、軍隊が入れるような場所じゃないし、騎兵も入れませんしね。」
なるほど、、、思った通りだな。
敵は、この峡谷から、一部を浸透させて、ケシャまでの道を塞ぐ作戦を立てている。
、、、、となると、逆に妙だ。
これまでだって、それは気が付けば誰でも行える作戦のはず、それをしてこなかったということは、それ自体に理由があるってことだよな。
つまり、オルコ軍の内部で、何か考えを変える切っ掛けがあったと考える方が無難だ。
「なあ、ロンハン、最近オルコ軍の中で戦い方が変わった何かは無いか?」
「ああ、こちらにもそんな情報が入ってるんですか?そうなんです、最近新しく着任された軍師が、何でもおかしな戦法を使うらしく、それで、今回も急にこんな峡谷の奥を調べるように言われたんです」
やっぱりそうか、この世界の慣用戦法ではないと思ったが、外国から軍師でも雇ったか?
いずれにしても、このままでは、ここが突破されて、城下まで浸透されてしまう。
場合によっては、城の通用路を抜けて、場内に入られてしまう。
それだけは避けなければならない。
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