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エッグバトル、予選開始!
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その頃、野瀬はテレビの前で激しく興奮していた。家族揃ってエッグバトルを観賞する。
番組協力へもちろん気合を入れて応募はしていたが、残念ながら外れてしまったため、自宅で声援を送る結果になっていた。それでもテレビを通しても伝わる熱気に、野瀬親子は心を躍らせ、固唾を飲んでその時を待った。
VTRの最後はこの決戦のくじ引きだった。トップバッターを飾るのは、BLACK CATの二人。二番手に控えるは SURF。次にCheck it !が歌い、四番手がMonday Monsterだった。自ずと最後はMellow。
順番がどのような結果をもたらすのかは分からない。
しかし、BLACK CATがトップバッターになることで、レベルの照準がそこに合わされる。いかにそれ以上のクオリティーを出せるかが勝負の鍵となりそうだ。
この決戦の勝敗は投票数と審査員の点数で決められる。パフォーマンス直後、10人のゲスト審査員が100点を満点とし、採点する。全員が満点をつければ MAX1000点を稼げることになるわけだ。
全チームのパフォーマンス終了後、視聴者一般投票を行い、点数を合算。順位が決まる仕組みだ。
一般投票は全パフォーマンス終了後に一斉に行う為、例え審査員からの点数が低くとも、一般からの支持を多く得られていれば、上位に食い込む可能性がある。
最後の最後まで勝敗の行方がわからないシステム。
見逃す瞬間は一秒たりともない。野瀬は瞬きさえも勿体ないと思いながらテレビの前に座っていた。
それぞれ持ち歌はフルバージョンで披露される。今まで番組内でイントロ部分やサビの一部などが放送されていたが、その全容は明かされていなかった。
今回初お目見えの衣装も、煌びやかで魅力的。
野瀬はMonday Monsterの衣装にたまらずニヤニヤと笑う。白地のツナギにショッキングピンクをバイカラーに用いたその衣装は、とても可愛らしかったのだ。
太一だけを熱心に見つめる。もはや太一にしか興味がなかった。もちろん他のアイドルだって気にはなるけど、それは太一の比ではない。
「かっこいい」
姉の椿が呟く。それに二人が静かに頷いた。
「沖が」
「ユキが」
「及川くんが」
沖じゃないのかよ!と及川と答えた妹に度肝を抜かされる。自分の妹ながら、信じられない浮気性だと呆れざるを得なかった。
だが、美月とて及川ばかりに心を奪われているわけではない。彼が手に入らないことくらいは分かっている。志藤にだって振られた。脅すような志藤の目は、まだ美月の心に突き刺さったままだ。やっぱりどうしたって太一を一番長く見つめている。
今まで会った誰よりも太一が一番紳士だった。美月は初めてこの家で太一と言葉を交わした瞬間から、彼の虜になっているのだ。
番組協力へもちろん気合を入れて応募はしていたが、残念ながら外れてしまったため、自宅で声援を送る結果になっていた。それでもテレビを通しても伝わる熱気に、野瀬親子は心を躍らせ、固唾を飲んでその時を待った。
VTRの最後はこの決戦のくじ引きだった。トップバッターを飾るのは、BLACK CATの二人。二番手に控えるは SURF。次にCheck it !が歌い、四番手がMonday Monsterだった。自ずと最後はMellow。
順番がどのような結果をもたらすのかは分からない。
しかし、BLACK CATがトップバッターになることで、レベルの照準がそこに合わされる。いかにそれ以上のクオリティーを出せるかが勝負の鍵となりそうだ。
この決戦の勝敗は投票数と審査員の点数で決められる。パフォーマンス直後、10人のゲスト審査員が100点を満点とし、採点する。全員が満点をつければ MAX1000点を稼げることになるわけだ。
全チームのパフォーマンス終了後、視聴者一般投票を行い、点数を合算。順位が決まる仕組みだ。
一般投票は全パフォーマンス終了後に一斉に行う為、例え審査員からの点数が低くとも、一般からの支持を多く得られていれば、上位に食い込む可能性がある。
最後の最後まで勝敗の行方がわからないシステム。
見逃す瞬間は一秒たりともない。野瀬は瞬きさえも勿体ないと思いながらテレビの前に座っていた。
それぞれ持ち歌はフルバージョンで披露される。今まで番組内でイントロ部分やサビの一部などが放送されていたが、その全容は明かされていなかった。
今回初お目見えの衣装も、煌びやかで魅力的。
野瀬はMonday Monsterの衣装にたまらずニヤニヤと笑う。白地のツナギにショッキングピンクをバイカラーに用いたその衣装は、とても可愛らしかったのだ。
太一だけを熱心に見つめる。もはや太一にしか興味がなかった。もちろん他のアイドルだって気にはなるけど、それは太一の比ではない。
「かっこいい」
姉の椿が呟く。それに二人が静かに頷いた。
「沖が」
「ユキが」
「及川くんが」
沖じゃないのかよ!と及川と答えた妹に度肝を抜かされる。自分の妹ながら、信じられない浮気性だと呆れざるを得なかった。
だが、美月とて及川ばかりに心を奪われているわけではない。彼が手に入らないことくらいは分かっている。志藤にだって振られた。脅すような志藤の目は、まだ美月の心に突き刺さったままだ。やっぱりどうしたって太一を一番長く見つめている。
今まで会った誰よりも太一が一番紳士だった。美月は初めてこの家で太一と言葉を交わした瞬間から、彼の虜になっているのだ。
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