茶色頭巾

偽バッチリー中田

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第二話 お婆ちゃん家はリバーサイド

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著作 偽バッチリー中田

 
茶色頭巾


第二話 お婆ちゃん家はリバーサイド


西の町の外れに大きな川が流れている

大きな川の側にある小さな一軒家で、茶色頭巾の祖母は現在一人で暮らしている

十数年前までは祖父と暮らしていたが、隣の大陸で大きな戦が始まった事がきっかけで、この国も同盟国の面子を保つ為に、出兵を余儀なくされた
 
その折、元騎士団長の祖父も現役復帰し、出兵に駆り出されたと言う訳だ

茶色頭巾の祖父は伝説の十騎士の生残りで、現役は引退していた

ただ週の始めには城に出向き、騎士団指南役として若い騎士達を指導していた

今回の出兵も半分は、祖父自身の希望であったらしい

伝説の十騎士と名を馳せていた頃よりは腕が落ちていると言っても、今だに大陸五本の指に入る腕前と評判なのだ

祖母には、祖父から年に二回ほど便りが届く

祖父曰く、この大戦も間も無く終りを迎えるので、一月後には家に帰ってこれるらしい

(茶色頭巾の祖母)
「あなた、今からあの子が友達を沢山連れて家にやってきますよ」
「あの子ったら友達が少なくて心配だったでしょ、これで少しは安心できそうですね」

茶色頭巾がロト達を連れて来るので、祖母は楽しそうに部屋を片付けていた

(茶色頭巾の祖母)
「そろそろ着いてもいい頃なのに、ちょっと遅いわね」
「お友達とお喋りでもしてるのかしらね?」

(長靴を履いた猫ペロ)
「婆さん、そろそろ飯にしてくれよ」
「腹が減って元気が出ねえよ」

(茶色頭巾の祖母)
「もう少ししたら、茶色頭巾がお弁当持ってくるからさ」
「ちょっとだけ待ってくれるかい」

(ペロ)
「茶色頭巾の奴、どこで道草食ってやがんだ」
「ちくしょうめ!」

(茶色頭巾の祖母)
「ペロ、あんたもう少し上品な話し方出来ないもんかね?」
「今夜はあの子が友達を連れて来るんだからさ、あんたがそんなじゃ恥ずかしいったらありゃしないよ」

(ペロ)
「俺は生まれつき柄がよくねえんだよ!」
「今更直せるかってんだ」

(茶色頭巾の祖母)
「やれやれ、、、、」
 
茶色頭巾の祖母は和かに微笑んだ

ペロはこの家の用心棒だ
 
茶色頭巾の祖父がまだ新兵の頃に、この化け猫に剣術を叩き込まれた

祖父の師匠というだけでなく、当時は騎士団指南役を任されていたのだ
 
伝説の十騎士達にとっては、唯一無二の恩師であり建国以来の歴史上最高の英雄である

簡単に言うと、凄く立派な化け猫なのだ


➖ その頃茶色頭巾達は、川沿いに歩いて祖母の家に向かっていた ➖

(茶色頭巾)
「今夜は、お月様もお星様も見えないですね」

(ロト)
「だいぶ雲が出てきたね、雨が降りそうだ」

(ゴーレム)
「町の方は空が明るいでやすから、雲が近いんでやしょう」

(タバサ)
「私、雨の日って好きなのよねー」

(ロト)
「タバサは雨の日のどこが好きなんだい?」

(タバサ)
「どーしてかな、、、なんだか気持ちが落ち着くのよ」

(茶色頭巾)
「あー、それなんとなく分かる気がするな」

(ゴーレム)
「女性独特の感性でやすかね?」

(茶色頭巾)
「あっそれ、ジェンダー差別ですよゴーレムさん」

(ゴーレム)
「そ、そういう意味じゃないんでやすよ」
 
ゴーレムはあたふたしているが、当然ながら無表情なのでかなり分かりにくい

(茶色頭巾)
「冗談ですよ、ウフフ」

(ゴーレム)
「はぁー、茶色頭巾さんも人が悪いでやすよ」
 
ゴーレムは無表情だが、実は苦笑いをしている

(タバサ)
「茶色頭巾ちゃんが、私達の仲間になってくれたら、もっと楽しい旅になるのにな?」

(ロト)
「無茶言うんじゃないよ、タバサ」

(茶色頭巾)
「さっき会ったばかりですけど、皆さんといると楽しいだけじゃ無くて、何だか心が落ち着く感じがするんですよね」

(タバサ)
「え、本当に、だったら、、、」
 
前のめりになるタバサ

(ロト)
「僕も茶色頭巾さんは、何故か昔からの知り合いみたいに感じるんだよね」
「だけど、僕らの冒険の旅は命がけだし、大好きな家族を置いて行くほど、茶色頭巾さんに価値があるのかは考えないとね」

(茶色頭巾)
「私も冒険の旅に出て、色んな国の人達の生活や料理や建物なんかも見てみたいんですよね」
「だけど、今は家族に迷惑かけれませんし、せめて弟達が大人になってからじゃないと、、、」

(タバサ)
「私ったら、ごめんなさい、、、」
「自分の事ばっかり考えちゃって」

(ロト)
「皆んな同じ気持ちだよ、きっと」

(茶色頭巾)
「また、この森に来る時に私がお手伝い出来るなら、是非ご一緒させてください」

(タバサ)
「もちろん」
「茶色頭巾ちゃんが安心して旅に出れるように、私達も経験を積んで強くなってるからね」

(ロト)
「そうだね」
「もし、そんな日が来たら、一緒に世界中を旅しよう」

(茶色頭巾)
「はい、宜しくお願いします」
 
茶色頭巾達がお喋りして歩いている間に、祖母の家の前に着いた

(茶色頭巾)
「ほら、あの小さいお家がお婆ちゃん家です」
「見えるかな?」
 
祖母の家の窓の中に人影が見えた

(タバサ)
「ん、中に人影と、何か大きな熊みたいな影が見えない?」

(茶色頭巾)
「あっ多分、ペロですよ」

(タバサ)
「ペロって?」

(茶色頭巾)
「化け猫ですよ、ウフフ」

(五右衛門)
「化け猫でござるか?」

(茶色頭巾)
「安心してください、ペロはお婆ちゃん家の用心棒で、
強くて優しくて口の悪い化け猫ですから、ウフフ」

(ロト)
「ペロって、どっかで聞いたことあるな?」

(五右衛門)
「三大英雄と同じ名でござるよ」

(ロト)
「あ、そうだ」
「長靴の騎士ペロと同じ名前だね」

(茶色頭巾)
「そう言えば、ペロも長靴履いてますよ」

(ロト)
「え、なら本物の伝説の英雄かも知れないよ?」
 
ロトは歓喜の表情を浮かべている

(五右衛門)
「百年以上も前の話でござるよ」
「たまたま同じ名で、たまたま長靴を履いているだけではござらんか?」

(茶色頭巾)
「確かに強いは強いけど、、、」
「ペロが英雄だったって話は、聞いた事ありませんよ」

その時、突然森の方角から大きな熊が、茶色頭巾達に向かって走ってきた

(タバサ)
「今度は熊の化け物よ」

(ロト)
「きっとまた、茶色頭巾さんの友達だろ」

熊はトップスピードで、祖母の家に真っ直ぐ突っ込んでくる

(茶色頭巾)
「あの熊は、森の仲間とは離れて暮らしてる親子熊の母親です」
「でも、なんか様子が可笑しいですね?」
 
茶色頭巾は、突進してくる熊を止めようと動き出した

その時、祖母の家から何者かが飛び出し、熊と正面衝突する

熊は弾き飛ばされ失神している

(茶色頭巾)
「ペロ?」
「大丈夫?」

失神した熊の前には、ペロが立っていた

そして茶色頭巾達の方へ振り向くと

(ペロ)
「遅いぞ!」
「腹が減って死にそうだぜ」

ロト達は、今の光景を見て驚き立ち竦んでいた

(五右衛門)
「一撃でござったな、、、」

(ロト)
「うん、一撃に見えたけど、正確に急所目掛けて五発喰らわしていたよ」

(五右衛門)
「まさか、スペシャルローリングサンダーを、この目で見れるとは、、、」

(ロト)
「決まりだね、三大英雄の長靴の騎士ペロに会えたんだ」

(茶色頭巾)
「この母熊、、、様子が変だったわね?」
 
茶色頭巾はペロに近づく

(ペロ)
「何かに取り憑かれてんな、こりゃ」

(タバサ)
「ひょっとして悪魔憑き?」
 
タバサが失神した熊の側に飛んで来た

(茶色頭巾)
「悪魔憑きって?」
「この辺に悪魔がいるってこと?」

(タバサ)
「ええ、間違いないわよ」

(ペロ)
「こいつら親子で暮らしてたよな、子供達が心配だ」

茶色頭巾の祖母が家から出てきた

(茶色頭巾の祖母)
「はいはい、そんなとこで立ち話してないで、家の中に入っておいで」

(茶色頭巾)
「お婆ちゃん、ごめんね遅くなっちゃって」

(茶色頭巾の祖母)
「茶色頭巾、ほら皆さんを中に入れてあげなさい」

(茶色頭巾)
「そうね、お腹も空いたし」
「皆さん遠慮なくどうぞ、中へ入ってください」

(ペロ)
「俺はこいつを、住処まで運んでくら」

(ロト)
「初めまして、私勇者のロトと申します」
「三代英雄の長靴の騎士ペロ様だと、承知しております」

(ペロ)
「何だいお前えさん、かしこまった挨拶だな」

(ロト)
「私達が旅の途中、森で迷っていた時に茶色頭巾さんに助けて頂きまして」
「その上、こちらに招待までして頂いた次第です」

(ペロ)
「そりゃ至れり尽くせりで、ついてんじゃねーか」
「俺ゃあ、今からこいつを運ばなきゃいけねえから、挨拶はまた後でも良いかい?」

(ロト)
「これは失礼致しました」
「もし良ければ、是非助け立ちさせて貰いたいのですが?」

(五右衛門)
「拙者も、お供させて頂けぬか?」

(ペロ)
「なんだ、また出てきやがったな」
「でも人は多い方が良いしな、手伝ってくれるってんなら大歓迎だぜ」

(五右衛門)
「拙者五右衛門と申す、以後お見知り置きを」

(ペロ)
「分かったよ、ロトと五右衛門だな、宜しく頼むぜ」

そして、ロトは悟空を呼んだ

(悟空)
「何だよ今日は、ほんと扱いが荒えよな」
「ん、何だこの化け猫」

(ペロ)
「ほお、孫悟空の召喚か、久しぶりに見るぜ」
「相変わらず不思議な猿だな」
 
ペロは、悟空を見てノスタルジックに浸った

(悟空)
「孫って、なんだよ?」
「オイラは、ソフトバンクの社長じゃねえぞ」
「ん、この化け猫、よく見たらどっかで見た顔だな?」

(ペロ)
「へえ、憶えてんのか?」
「中華の大妖魔の記憶に残るなんて、嬉しいぜ」

(悟空)
「あ、思い出した、お前えは長靴のペロだろ」
「忘れる訳ゃねえぜ、あん時ゃ散々やってくれたからな」

(ペロ)
「ほお、それじゃあ、ここで決着つけるか?」

(悟空)
「ああ、上等だよ」
「かかってきやがれ、この化け猫が」

(ロト)
「ちょっと、二人とも、、、」
「今はそれどころじゃ」
 
(ペロ)
「そうだった、久しぶりに強え奴に会ったもんで、血が騒いじまったな」
「昔話は後で幾らでもやりゃ良いからな、そら、さっさと片付けるぞ」

(悟空)
「、、、、ふんっ」

(ロト)
「悟空も休んでる時に、悪いんだけどさ」
「また、お願い聞いてもらえるかい?」

(悟空)
「なんだか熱くなっちまったからな、、、」
「軽く体動かして、クールダウンしねえと」

(ロト)
「良かった、助かるよ」
「でね、この母熊を、住処まで運びたいんだよ」

(悟空)
「えらくデカい熊だな、ヒグマの二.五倍はあるぞ」

(ペロ)
「孫悟空の助け立ちなら、百人力だぜ」

(悟空)
「その孫ての、止めてくれねえか?」
「オイラの先祖に孫悟空って、おっさんがいたみてえだな」

(ペロ)
「じゃあ、その辺は飯時に聞かせて貰うとして」
「早速やっちまうか」

(悟空)
「そうだな、さっさと片付けちまおう」
「オイラも腹減ったからな」

悟空は、人差し指と中指の二本の指だけをピンと伸ばし、息を吹きかけながら上下に五、六回素早く動かした

(悟空)
「とび雲の旦那」
「ダッシュで来てくれよ!」
 
悟空は空に向かって叫んだ

すると、夜の曇り空に突然白い雲が現れ、悟空の元まで飛んで来た

(とび雲)
「悟空ちゃん、久しぶりじゃん」
「滅多に呼んでくれないから、運動不足で首寝違えちゃったよ」

とび雲の首がどこなのか、皆には分からなかった

(悟空)
「なら、ちょうど良かった」
「旦那の運動不足解消に、この化け熊と俺達をちょっと飛ばして欲しいんだよ」 

(とび雲)
「お安いご用意じゃん、それじゃあ乗って」

悟空とペロ達は熊をとび雲に乗せて、続けて自分達も飛び乗った

(ペロ)
「凄い乗り心地だな、この雲」

(悟空)
「じゃあ、とび雲の旦那、宜しく頼むよ」

(とび雲)
「任しといて」
「ビューと飛ぶから、みんなしっかり捕まっといてよ」

どこを掴んで良いか分からないが、何とか落ちないようにしがみ付く

そしてとび雲は、ジェット戦闘機のようなスピードで空へ飛びたった

(ロト)
「凄いな!ちょっと怖かったけど、、、」
「きっと人生で一度きりの経験だよ」

(五右衛門)
「感動でござる、かたじけない」

とび雲に乗ったロトと五右衛門

最初は緊張していたが、次第に慣れてくると、曇り空の少し生温かい空気の中を切るように飛んでいる気持ちよさに快感を感じていた

(ロト)
「気持ちいいな」

(五右衛門)
「なんとも言えない気持ちでござる」

(悟空)
「とび雲の旦那、この辺りだね、あの岩場で降りてくれよ」

(とび雲)
「アイアイサー」

とび雲は岩場の下に降りた

(とび雲)
「ここで良いかい?」

(悟空)
「あの洞穴だな多分」

(とび雲)
「ほいじゃ、ちょっと小さくなるわ」

とび雲は二つに分裂して小さくなり、片方は空へ飛んで行った

(とび雲)
「じゃあ、中に入ろっか?」

とび雲は、ヒグマを乗せて洞穴に入っていく

(悟空)
「五右衛門は、外で待っといてくれよ」

(五右衛門)
「御意」

悟空達も洞窟の中へ入っていく

(ペロ)
「子熊達は、悪魔憑きになってねぇのか?」

(悟空)
「ああ、悪魔の気配は全くないな」
「大丈夫だと思うぜ、、、」

(ロト)
「もし、潜んでいるなら、、、」
「かなり厄介な奴って事だね」

(悟空)
「この面子で苦戦するってえと、、、」
「魔王ルシファだとか、閻魔クラスだろうな」

(ペロ)
「そんな大物が、ヒグマの親子には憑かねえだろうぜ」

(ロト)
「黒魔術や、呪い術の組織ぐるみ、、、」
「そういうのは、考えられないですか?」

(ペロ)
「どうだろうな?あるちゃあるが、、、」
「俺達の気配が分からねえようじゃ、大した野郎じゃねえだろうよ」

(ロト)
「もしかしたら、僕達が誘き出されたか?」

(ペロ)
「町が危ないって?」

(ロト)
「そうです」

(ペロ)
「なるほどな、十騎士の爺さん達精鋭も出兵で不在」
「俺達を洞窟に誘き出しといて、罠を仕掛けて足止めする」

(ロト)
「それから、静かな夜の町に仕掛ける」

(ペロ)
「ふん、なかなかいい作戦だな」

(ロト)
「町が危ないですね」

(ペロ)
「、、、、」
「この町が何で、平和を保ってられるか分かるかい?」

(ロト)
「考えた事もありませんね」
「何故ですか?」

(悟空)
「特殊結界だろ?」

(ペロ)
「流石、妖魔!」

(ロト)
「特殊結界?」
「僕は何も感じなかったですけど」

(ペロ)
「この森は不思議な場所でな、東西南北の町に囲まれた魔獣の森なんだ」

(ロト)
「それは分かります」

(ペロ)
「茶色頭巾は特別でな、何故か訳は分からねえが、森の魔獣が受け入れたんだな」
「普通の人間は、あの森には立ち寄らないからな」

(ロト)
「僕達はラッキーでしたね」

(ペロ)
「茶色頭巾の影響で魔獣達のセンサーも繊細になってな」
「人間によって、敵意があるか無いか分かるようになっちまったんだ」

(ロト)
「僕達に、敵意がない事を察知してたんですね」

(ペロ)
「あとは、妖魔の臭いと、魔法使いのお嬢ちゃんから出る魔人の気配、それとゴーレムを連れてるのが結果的に良かったんだろな」

(ロト)
「タバサの魔人の気配?」
「ジーニーの事かな」

(ペロ)
「話は戻すけどな」
「そんな危険な森が真ん中にあるもんで、昔から各々の町では結界を張り合ってたんだな」
「何故は分からねえけど、術の特異変化が起きて結界のグラデーションが出来たって訳だよ」
「それで、異質な気配や魔力の索敵機能が異常に発達しちまったんだ」

(悟空)
「これを意図的に創れるとすると、、、」
「かなり高度な結界技術が必要だよな」

(ペロ)
「それを俺達と、この国の王政が利用して、防衛軸にしたって訳だな」
「あと元々国力もあって、貿易も盛んだからな」
「この辺にちょっかい出す野郎には、他の同盟国も黙ってねえさ」

(ロト)
「なるほど、生活基盤が崩れてしまいますからね」
「中立地域みたいな場所ですね」

(ペロ)
「どこの誰でもって訳じゃねえから、中立地域って程じゃねえけどな」
「要はここが機能しなくなると、損する奴らが沢山いるって事だな」

(ロト)
「逆に得するのは?」

(ペロ)
「そうだな、バランスの崩れた歪な世の中を望んでいる輩だな」
「世界を征服でもしてえのかねえ」

(とび雲)
「お、いたいた、小熊はすやすや眠ってるよ」

(悟空)
「どうやら、悪魔憑きも無さそうだな」

(ロト)
「母親が目を覚ましたら、また悪魔憑きになるんじゃ?」

(悟空)
「この分なら、心配ねえな」

(ペロ)
「そりゃ良かったな、じゃあ戻るとするか」

悟空達は、小熊達の側に母熊を寝かせて洞穴を出た

(ロト)
「しかし、誰が悪魔憑きを、、、」

(ペロ)
「そうだな、今は考えても憶測になっちまうからよ」
「婆さん家に戻って、作戦会議だぜ」

(悟空)
「それより、腹減ったよオイラ」

(ロト)
「そうだね、僕もぺこぺこだよ」

(とび雲)
「じゃあ皆んな乗ってよ、ぶっ飛ばすからね」

悪魔憑きの正体は謎のままだったが、熊の親子は無事住処に連れ戻せたので一件落着だ


➖ その頃、祖母の家では ➖

(ゴーレム)
「ん?カレーのいい匂いでやすね」

(茶色頭巾の祖母)
「今夜は賑やかになりそうだから、作っておいたのよ」

(タバサ)
「カレーって、そんなに直ぐ作れるの?」

(茶色頭巾)
「カレーによるけど」
「多分カレーのルーはペースト状にして、冷凍保存してあるから解凍すれば食べられるんだけど」

(茶色頭巾の祖母)
「今日はね、茶色頭巾の好きなビリアニも作ったからね」

(茶色頭巾)
「えっ、本当に嬉しい」
「お婆ちゃんのビリアニは大陸一だもんね」

(タバサ)
「こんなに元気で、料理上手の上に段取りも時短も完璧だったら」
「お弁当作って持ってかなくても、良いんじゃ無いの?」

(茶色頭巾)
「うちのお婆ちゃんは、私より多忙なのよ」
「私の占いも元々お婆ちゃんに教わったし、料理のレシピもお婆ちゃんの考えたモノだしね」

(タバサ)
「多忙って?」

(茶色頭巾)
「お婆ちゃんは、大陸一の占い師と料理評論家、二つの草鞋履き生活なのよ」

(茶色頭巾の祖母)
「あっちこっち行ってバタバタしてるから、家の事が殆ど出来なくてね」
「本当に、この子には迷惑かけちゃって」

(茶色頭巾)
「迷惑なんて思ってないから」
「私はお婆ちゃんのお陰で、楽しく生きてるんだもん」

(茶色頭巾の祖母)
「そう言って貰えると嬉しいよ」
「本当に働き者の孫がいると助かるよ、いつもありがとうね」

(茶色頭巾)
「何よ、照れるじゃない」
「それに私の家族の中じゃ、お婆ちゃんとお爺ちゃんが一家の大黒柱なんだからね」
 
(茶色頭巾の祖母)
「うちの家系はね、先祖代々働き者が多いらしいのよ」
「まあ、働き者ってより、じっとしてられない質なのね」

(タバサ)
「なんか羨ましいな、私の親なんて自分達の見栄ばっかり気にしちゃってさ、、、、」

(茶色頭巾)
「でもね、うちのお母さんだけは超が付くグウタラ女なのよ、ウフフ」

(茶色頭巾の祖母)
「本当にあの子は、不思議なくらいのんびりしてるよ」
「だけど息子の嫁が、あの子で本当に良かったねぇ」

(タバサ)
「え、何で?」

(茶色頭巾)
「お母さんがいるだけで空気が緩むのよ、家族のオアシスだね」

(タバサ)
「なるほど、面白いわね」
「家族のバランスが上手く取れてるんだね」

(茶色頭巾)
「弟達はお母さん似で、のんびりしてるわ」

(タバサ)
「茶色頭巾ちゃんの弟ちゃん達にも、会ってみたいな」

(茶色頭巾)
「タバサちゃん明日の夜の予定ないなら、実家にご飯食べにおいでよ」

(タバサ)
「行くー!やった」
「絶対に行くよ」

(茶色頭巾の祖母)
「茶色頭巾良かったね、可愛いお友達ができて」

(タバサ)
「お婆ちゃんありがとう」
「可愛いなんて言って貰った事ないから、凄く嬉しい」

(茶色頭巾)
「じゃあ、お母さんに言っとくね」

(タバサ)
「うん、ありがとう」

茶色頭巾は早速母親に電話をかけた

(茶色頭巾)
「あ、お母さん」
「うん、今お婆ちゃん家にいるよ」
「そう今から、お婆ちゃんのビリアニ食べるんだよ」
「うん、分かった」
「でね、明日の夜ご飯に、お友達招待したいんだけど、大丈夫かな?」

(タバサ)
「もう電話してる」
 
タバサは少し驚いていたが、嬉しそうな顔をした

(茶色頭巾)
「うん分かったよ、ビリアニ持って帰るから、じゃあね」
「うん、明日ね、おやすみなさい」

(タバサ)
「茶色頭巾ちゃん、段取り早くない?」

(茶色頭巾)
「鉄は熱いうちに打たないとね」

(タバサ)
「意味合ってる?」

三人はその後も、夢中でお喋りを続けていた


➖ 一方、ロト達は ➖
 
とび雲に乗った四人が、祖母の家に帰ってきた

(とび雲)
「皆さん、お疲れ様でした」

(悟空)
「旦那すまなかったね」 

(とび雲)
「いやあ、久しぶりに色んな人達に会えて楽しかったよ」
「悟空ちゃん、また呼んでね」
 
と言い残し、とび雲は夜の曇り空の中へ飛んで行った

(ロト)
「とび雲さんの乗り心地、抜群だったな」

(五右衛門)
「拙者、高所は苦手でござったが、、、」
「とび雲殿の快適さは別格でござる」

(ペロ)
「悟空は便利な術持ってて羨ましいな」

(悟空)
「お前えには必要ないだろ」

(ペロ)
「まっ腹も減ったし、とりあえず中に入るか」
ー ん、誰の気配も無え、、、 ー

(悟空)
「おい、長靴」
「気をつけろ、、、」

ペロは静かに頷いた

(ペロ)
「おーい、茶色頭巾、、、」
ー 返事も無え、、、嫌な予感がするぜ ー

ペロは扉開けて、祖母の家に入った

(ペロ)
「おい、ババア帰ったぞ」

ペロが茶色頭巾達に呼びかけたが、誰の返事もない

ガサゴソ……
奥の台所から物音が聞こえる

(ロト)
「タバサ、いるかい?」
「熊の親子は、無事に森に帰したよ」
 
ロトもタバサに呼びかける

(五右衛門)
「む、微かに気配が、、、、」

(ペロ)
ー 台所に何かいるぜ、、、かなり薄いがな ー

(ロト)
「ペロさん、この気配はゴーレムですよ」

ペロは振り返り、ロトを見た

(ペロ)
「ゴーレム?」

(ロト)
「ゴーレムは、オーラが無いに等しいんです」

(ペロ)
「魔物の癖にかよ?」

(ロト)
「感度の良過ぎる相手の時なんか、目の前にいてもスルーされますからね」
「もうあれは才能ですよ」

(ペロ)
「良いのやら、悪いのやら」
「オーラ的には、透明になれるって事か、、、」
ー 使い用だな ー

(悟空)
「レアなギフトだ」

ペロ達が台所に入ると、食器棚がゴトゴト揺れている

ロトが食器棚の下段の扉を開いた

(ゴーレム)
「ゔっゔっゔっ、、、」

(ロト)
「やっぱり」
「ゴーレム、今直ぐに助けるよ」

(ペロ)
「わっ、何だこれ、バラバラじゃねえかよ!」
 
ペロはゴーレムの姿を見て驚いている

(ゴーレム)
「すいやせん、、、」

ゴーレムは体をバラバラに分解されて、燃えるゴミの袋に入れられていた

(ロト)
「ちょっと待ってよ」
「直ぐに、元通りにしてあげるから」

(悟空)
「こんなの、どーやって?」

(ロト)
「五右衛門、ぬるま湯を持ってきて」

(五右衛門)
「承知した」

ロトは、分別ゴミ袋からゴーレムの体を出して、元通りの形に綺麗に並べていく

(ペロ)
「悟空、お前えの妖術で治せねえのか?」

(悟空)
「?」
「ゴーレムって、そもそも岩か砂なのか?それとも生物なのか?」

(五右衛門)
「ロト殿、ぬるま湯でござる」
 
五右衛門は、ブリキのジョウゴに入れたお湯を、ロトに渡した

(ロト)
「流石、五右衛門」
「機転が効くね」

ロトは、ゆっくりと、少しずつゴーレムのバラバラになった体の接続部分にお湯をかけ出した

(ゴーレム)
「あぁぁあ、良い湯加減でやす、、、」

するとお湯をかけたゴーレムの体の部位が、見る見るうちにくっ付いていく

(ペロ)
「おお、こりゃ凄いな」
「くっ付いてるぜ」

(悟空)
「お湯かけるくらいだったら、オイラの妖術でも出来るけどな」

(ペロ)
「無駄使いだな、そりゃ」

(ロト)
「悟空、くっ付いた部分に風を吹きかけて」

(悟空)
「あいよ、任しときな」

(ロト)
「優しくね」

(悟空)
「優しくね」
「はいはい、了解ですよ」

悟空が風を当てたゴーレムの体が、ピクリと動き出した

(ペロ)
「へえ、こいつ不死身じゃねえか」

(ロト)
「よし、もう少しだよゴーレム」  

(ゴーレム)
「ありがとうごせいやす」

(ペロ)
「ゴーレムどうだ、話せるか?」

(ゴーレム)
「へい、もう大丈夫でやすよ」

(ペロ)
「じゃあ、早速で悪りぃけど、ウチの婆さん達はどこ行ったんだ?」

(ゴーレム)
「どこかは、分かりやせん、、、」

(ペロ)
「じゃあ、近くにはいねぇってことか?」

(ゴーレム)
「へい、それはもの凄い勢いで、飛び出して行っちまいやしたもんで、、、」

(ペロ)
「みんなでか?」

(ゴーレム)
「お婆さんが飛び出した後を、茶色頭巾さんとタハサ様が追いかけて行きやした」

(ペロ)
「婆さんが、、、」
ー まさか、選りによって婆さんに、、、 ー

(ゴーレム)
「台所で三人は、お喋りに夢中だったんでやすが、、、」
「突然、タバサ様が、こっちの部屋まで吹き飛んで来たんでやす」

(ペロ)
「婆さんに、取り憑いたのか?」

(悟空)
「とりあえず、とび雲の旦那を呼び出さないとな」

(ロト)
「そうだね、早く探さないと」

(ペロ)
「みんな、悪りぃな、、、」

(ロト)
「あの時、母熊から、お婆さんに乗り換えたのかも?」

(ペロ)
「婆さんに取り憑いたってのは、厄介だぜ、、、」

(ロト)
「どうして?」

(ペロ)
「あの婆さんに、取り憑けるなんて野郎は、、、」

(ロト)
「ヤバイですか?」

(ペロ)
「、、、相当な」


悪魔憑きになった茶色頭巾の祖母、その祖母を追いかけている茶色頭巾とタバサ

ペロとロト達は、祖母と茶色頭巾達を無事に助け出す事が出来るのか、、、

そして、悪魔憑きの正体は、、、

 
続く
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