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出会いは合コン。
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幹事「では、本日の出会いにかんぱーいっ!!」
一同「かんぱーいっ!」
夏の夕方、お座敷個室の合コンが始まった。
男15人。女15人。
ちょっとした同窓会みたいな人数だ。
美都(みと)「ねぇ、京ちゃん?私、少ししたら帰るよ?」
私は隣にいる友達の『京ちゃん』に話しかけた。
京「『日が暮れる前』でしょ?お酒もダメなんだから間違えて飲まないようにね?」
美都「大丈夫。ウーロン茶だから。」
目の前にある料理を食べながらウーロン茶を飲んでいた。
少しすると、幹事の男の子が立ち上がり・・・
幹事「席替えしようぜ!」
と、言い出した。
幹事「各自、皿とお箸、飲み物持って、話をしてみたい人のところへGO!」
何人かが席を立ち始める。
私の隣にいる京ちゃんもお皿たちを持って立ち上がった。
美都「え!?行っちゃうの!?」
京「行ってくる!」
ニコニコしながら行ってしまった京ちゃん。
取り残された私はウーロン茶を飲みながらケータイの画面を見た。
美都「17時か・・・夏だからまだ明るいけど・・もう帰ろっかな。」
一人呟くと、真横から声が聞こえた。
要「そんなこと言わずに俺と喋ろうよ。」
美都「!?」
驚きながら声のする方を見ると、一人の男の人が私の隣に座っていた。
京ちゃんがいたほうと反対側だ。
要「どう?」
美都「どうって・・・でも私、もう少ししたらほんとに帰ります。」
要「・・・用事?」
美都「まぁ、そんなとこです。」
要「じゃあ、時間まで。」
私の思いとは裏腹に、この人は勝手に喋りだした。
要「俺、佐々木 要(かなめ)。キミは?」
美都「青柳 美都(あおやぎ みと)・・・。」
要「美都ちゃんって今、いくつ?」
美都「21ですけど・・・。」
年を答えながら私はウーロン茶を一口飲んだ。
要「俺は26。」
美都「え!?同い年の合コンじゃなかったんですか!?」
要「違うよ?聞いてなかったの?」
美都「あー・・私は人数合わせで呼ばれただけなので・・・。」
がっつり彼女を探してる人には申し訳ない。
私なんかが数合わせで・・・。
要「へぇー・・じゃあ俺はラッキーだったな。」
美都「?」
要「連絡先、聞いてもいい?」
美都「え・・っと・・・。」
要「もうすぐ帰るんでしょ?今度ゆっくり喋ろうよ。」
こういう時、ケータイの番号を教えていいものかがわからない・・・。
チラッと京ちゃんを見ると、京ちゃんもケータイの番号を交換してるのが見えた。
美都(交換・・・するものなんだ・・。)
私はケータイを取り出した。
美都「よろしく・・お願いします?」
要「こちらこそ。」
メールアドレスとケータイ番号を交換した時、ケータイに表示されてる時刻が目に入った。
美都「わっ・・!もう帰らないと!」
要「ほんとに用事なんだな。」
美都「あの、今日の金額っていくらですか?」
私は財布を取り出した。
要「あぁ、いいよ。俺が出しとく。」
美都「いえ、そんなわけには・・・!」
要「じゃあ今度会った時に支払って?建て替えとくから。早く帰るんでしょ?」
美都「じゃ・・じゃあお願いしますっ。」
私は立ち上がり、京ちゃんの方を見た。
京ちゃんは私が帰ることに気づいたみたいで、口パクで『く・す・り』って言ってくれた。
美都「大丈夫っ。忘れないよっ。」
私は京ちゃんに手を振った。
要「?」
美都「じゃあ失礼しますっ。」
飲み屋さんをあとにして、私は小走りに家に向かった。
空は暗くなり始めてる。
美都「早く帰らないと・・・真っ暗になっちゃうっ。」
私は幼いころ、高熱が何日も続いた日があった。
その影響で脳に損傷・・・というか、目に損傷・・・というか、暗いところでは何も見えなくなってしまう病気になった。
目が上手く光を集めてくれなくて、何も見えないのだ。
美都「蛍光灯の下とか、お店の中なら大丈夫なんだけどなー。」
慌てながらも無事に家にたどり着いた。
美都「はー・・・。リヒト!ただいまっ。」
リヒト「オカエリ、ミト。」
美都「リヒト、電気つけて。」
パッ・・・と、部屋の電気がついた。
美都「リヒト、音楽。クラシックで。」
♪~・・・
『リヒト』はAIロボット。
私の声に反応して電気をつけたり、カーテンを開けたり・・・電話をかけることもできる。
私の目が暗闇で機能しないことを知った両親が、ロボット会社に依頼して作ってくれた。
カーテンレールは機械を取り付け、『リヒト』と連動するように設定してある。
美都「リヒト、朝7時にカーテン開けて?夜は12時に電気を消してくれる?」
リヒト「リョーカイデス。」
私は化粧を落とし、薬を飲んだ。
ベッドに転がり、ケータイを見るとメールが来てる。
美都「?・・・あ、合コンの・・。」
『用事には間に合った?要』
美都「用事・・ではないけど・・・。」
『間に合いました。今日のお支払いをしたいのですが、空いてる日はありますか。青柳 美都』
美都「送信っと。」
一同「かんぱーいっ!」
夏の夕方、お座敷個室の合コンが始まった。
男15人。女15人。
ちょっとした同窓会みたいな人数だ。
美都(みと)「ねぇ、京ちゃん?私、少ししたら帰るよ?」
私は隣にいる友達の『京ちゃん』に話しかけた。
京「『日が暮れる前』でしょ?お酒もダメなんだから間違えて飲まないようにね?」
美都「大丈夫。ウーロン茶だから。」
目の前にある料理を食べながらウーロン茶を飲んでいた。
少しすると、幹事の男の子が立ち上がり・・・
幹事「席替えしようぜ!」
と、言い出した。
幹事「各自、皿とお箸、飲み物持って、話をしてみたい人のところへGO!」
何人かが席を立ち始める。
私の隣にいる京ちゃんもお皿たちを持って立ち上がった。
美都「え!?行っちゃうの!?」
京「行ってくる!」
ニコニコしながら行ってしまった京ちゃん。
取り残された私はウーロン茶を飲みながらケータイの画面を見た。
美都「17時か・・・夏だからまだ明るいけど・・もう帰ろっかな。」
一人呟くと、真横から声が聞こえた。
要「そんなこと言わずに俺と喋ろうよ。」
美都「!?」
驚きながら声のする方を見ると、一人の男の人が私の隣に座っていた。
京ちゃんがいたほうと反対側だ。
要「どう?」
美都「どうって・・・でも私、もう少ししたらほんとに帰ります。」
要「・・・用事?」
美都「まぁ、そんなとこです。」
要「じゃあ、時間まで。」
私の思いとは裏腹に、この人は勝手に喋りだした。
要「俺、佐々木 要(かなめ)。キミは?」
美都「青柳 美都(あおやぎ みと)・・・。」
要「美都ちゃんって今、いくつ?」
美都「21ですけど・・・。」
年を答えながら私はウーロン茶を一口飲んだ。
要「俺は26。」
美都「え!?同い年の合コンじゃなかったんですか!?」
要「違うよ?聞いてなかったの?」
美都「あー・・私は人数合わせで呼ばれただけなので・・・。」
がっつり彼女を探してる人には申し訳ない。
私なんかが数合わせで・・・。
要「へぇー・・じゃあ俺はラッキーだったな。」
美都「?」
要「連絡先、聞いてもいい?」
美都「え・・っと・・・。」
要「もうすぐ帰るんでしょ?今度ゆっくり喋ろうよ。」
こういう時、ケータイの番号を教えていいものかがわからない・・・。
チラッと京ちゃんを見ると、京ちゃんもケータイの番号を交換してるのが見えた。
美都(交換・・・するものなんだ・・。)
私はケータイを取り出した。
美都「よろしく・・お願いします?」
要「こちらこそ。」
メールアドレスとケータイ番号を交換した時、ケータイに表示されてる時刻が目に入った。
美都「わっ・・!もう帰らないと!」
要「ほんとに用事なんだな。」
美都「あの、今日の金額っていくらですか?」
私は財布を取り出した。
要「あぁ、いいよ。俺が出しとく。」
美都「いえ、そんなわけには・・・!」
要「じゃあ今度会った時に支払って?建て替えとくから。早く帰るんでしょ?」
美都「じゃ・・じゃあお願いしますっ。」
私は立ち上がり、京ちゃんの方を見た。
京ちゃんは私が帰ることに気づいたみたいで、口パクで『く・す・り』って言ってくれた。
美都「大丈夫っ。忘れないよっ。」
私は京ちゃんに手を振った。
要「?」
美都「じゃあ失礼しますっ。」
飲み屋さんをあとにして、私は小走りに家に向かった。
空は暗くなり始めてる。
美都「早く帰らないと・・・真っ暗になっちゃうっ。」
私は幼いころ、高熱が何日も続いた日があった。
その影響で脳に損傷・・・というか、目に損傷・・・というか、暗いところでは何も見えなくなってしまう病気になった。
目が上手く光を集めてくれなくて、何も見えないのだ。
美都「蛍光灯の下とか、お店の中なら大丈夫なんだけどなー。」
慌てながらも無事に家にたどり着いた。
美都「はー・・・。リヒト!ただいまっ。」
リヒト「オカエリ、ミト。」
美都「リヒト、電気つけて。」
パッ・・・と、部屋の電気がついた。
美都「リヒト、音楽。クラシックで。」
♪~・・・
『リヒト』はAIロボット。
私の声に反応して電気をつけたり、カーテンを開けたり・・・電話をかけることもできる。
私の目が暗闇で機能しないことを知った両親が、ロボット会社に依頼して作ってくれた。
カーテンレールは機械を取り付け、『リヒト』と連動するように設定してある。
美都「リヒト、朝7時にカーテン開けて?夜は12時に電気を消してくれる?」
リヒト「リョーカイデス。」
私は化粧を落とし、薬を飲んだ。
ベッドに転がり、ケータイを見るとメールが来てる。
美都「?・・・あ、合コンの・・。」
『用事には間に合った?要』
美都「用事・・ではないけど・・・。」
『間に合いました。今日のお支払いをしたいのですが、空いてる日はありますか。青柳 美都』
美都「送信っと。」
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