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なんかおかしい。

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要side・・・





要(あんな美都・・・初めて見た。)



いつも目が見えなくなってもなんともないって顔してるのに・・・



美都「どこ!?・・どこっ!?」



必死に俺を探してた。




要(あんな不安がるって・・・何があったんだ?)




チラッと山下を見ると、山下と目が合った。



山下「なぁ。」

要「・・・なんだ?」

山下「あの子、目、おかしいのか?」

要「・・・ちょっとな。」

山下「・・・全く見えてないと思うけど?」

要「見えてるだろ?」

山下「・・・こないだはな。さっきは全く見えてなかった。」




気になって仕方ないのか、ぐいぐい聞いてくる。

俺は仕方なく美都の目のことを話した。







ーーーーーーーーーーーー





山下「へぇー・・・そりゃ大変だな。」

要「見えないときは音と匂いだけが頼りだ。」

山下「・・・面倒くさくない?そんな彼女。」

要「・・・は?」

山下「だって暗闇に入ると目が見えなくなるんだろ?連れて歩くのも大変じゃん。」






山下は自分主義なタイプだ。

誰かに合わせるんじゃなくて、自分に合わせて欲しい。

それは否定しないけど、俺は俺だ。

山下と好みのタイプが似ていても、違うとこもある。




要「連れて歩かなきゃいいじゃん。」

山下「・・・はい?」

要「抱いて行けばいいだろ?怪我させることもないし、安全だ。」

山下「・・・・そんなに惚れてんの?」

要「あぁ。」

山下「ほー・・・。」





山下は俺と美都のことが気になるようだったけど、俺は時計が気になってた。

チラチラ見る時計はもうすぐ17時だ。



要「俺、上がるから。」

山下「・・・お疲れ。」



美都が気になってしかたない俺は先に和室に向かった。




わざと足音を立てて歩いていく。




要「美都ー。」



和室を開ける前に呼ぶ。



すー・・・と、戸を開けると、美都はさっきのところに座ったまんまだった。



要「美都?」

美都「・・・要さん?」



服に突っ伏していた顔を、美都が上げた。

その顔の角度が・・・おかしい。



要「美都?もしかして・・・見えてる?」

美都「・・・ちょっとだけ。光が・・・ある。」




いつも2時間くらい見えないのに、30分で見えるようになってる・・・?




美都「失ってた時間が短いのかなぁ。」

要「・・・ちょっと待ってて?」

美都「うん。」




俺は山下の元に戻った。

いつ電気を消したのか確認するために。





要「おい、山下!」

山下「なんだ?」

要「和室の電気消して暗くしたのって何時?」

山下「あれは・・・15時すぎくらいだったかな?」




なら完全に真っ暗な時間が1時間くらいあったはず。

起きてから見えるようになるまでの時間が早すぎる。




山下「?・・・どうかしたか?」

要「いや?さんきゅな。」

山下「どういたしまして・・・?」





確認を取った後、俺はまた美都のもとに向かった。





要「美都ー。」

美都「?・・・おかえり。」

要「もう大丈夫?」

美都「うん。平気。見えてる分、楽。」

要「よし。着替えてくるから待ってて?」

美都「はい。」




俺はダッシュで着替えを済ませた。

美都のところに戻り、荷物を持つ。



要「・・・どうする?歩けるとこまで歩く?」

美都「うん。手だけ繋いでもらえる?」

要「言われなくても。」



手を繋いで歩き始めた。

もう暗くなってる外。

いつ目が見えなくなるのか不安だったけど、結構長い時間、うっすら見えてたようだった。






ーーーーーーーーーーーーーーー






要「なんか様子がおかしそうだよな。」



家についた俺は、晩御飯を用意しながら美都と話していた。

完全に見えなくなった美都は、ソファーに座ってる。




美都「今度実家に帰ったときに病院でみてもらってくる。」

要「うん。ところでさ、晩御飯、ほんとにおにぎりでいいの?」



美都のリクエストは『おにぎり』。

それも具の入ってないやつだ。



美都「うん。」

要「食べさせてあげるのに・・・」

美都「あはは。大丈夫だよ。」




美都は、俺が作ったおにぎりを食べた。

せっかくだから俺も同じメニュー。

量は違うけど。




要「風呂はどうする?入れそう?」

美都「入れるよ?」

要「なら後でつれてく。」

美都「ありがと。」



ご飯を食べ、しばらくリビングでくつろいだあと美都の手を引いて風呂場に向かった。






ガチャ・・・




美都「あれ?」

要「どうした?」

美都「ちょっと見える・・・。」

要「また?・・・見えるのはいいことだけど・・・ちょっと心配だな。ちゃんと病院に行ってきてよ?」

美都「はーい。」




見えてるからか、手際よく服を脱いで風呂に入った美都。

俺も一緒に入って様子を見たけどまだ見えてそうだった。



美都「少し見えるだけでだいぶ違うー。」

要「みたいだな。のぼせる前に出なよ?」

美都「うんっ。」




湯船から出て、体を拭き始める。

美都は持って来たパジャマを着て、先にリビングに戻っていった。














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