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別れ。
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優弥「もう大丈夫か?」
ひなた「・・・・・。」
優弥「おーい?」
落ち着いた呼吸を繰り返すひなたは、俺の胸に顔を埋めたままだった。
優弥「ひなた?」
ひなた「太陽と・・・別れたくない・・・。」
優弥「ひなた・・・・。それは太陽が決めることじゃないか?」
ひなたやお姉さんの気持ちも大事だけど、一番は太陽の気持ちだ。
まだ判断はできない年齢だけど、それでも太陽の意思は聞かないといけない。
ひなた「・・・わかってる。」
優弥「もう戻れそうか?太陽が・・・怯えてたし。」
ひなた「!・・・戻ります。」
俺の膝から下りたひなた。
俺はひなたの体を支えながら部屋に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハル「もう大丈夫か?」
お兄さんが心配しながら聞いてくれていた。
ひなた「うん。・・・ごめん。」
ひなたはテーブルの前に座り、太陽を見た。
ひなた「・・・太陽?」
太陽「?」
ひなた「ママが迎えに来てくれて・・・よかったね。」
太陽「ねーたん・・・。」
目にいっぱい涙を溜めて言うひなた。
その様子に・・・太陽は異変を感じ取っていた。
太陽「・・・やだっ。ねーたんといるっ!」
小春「太陽!?」
太陽「たいようのママはねーたんだから!パパもいるもん!」
優弥「太陽・・・それはママが迎えに来るまでって話だったろ?」
太陽「!!・・・いやだっ!」
太陽は俺に抱きついてきた。
涙をこぼしながら俺の服にしがみついてる。
優弥「太陽・・・・。」
太陽「うわぁぁーん・・っ!」
優弥「泣くなよ。」
よしよしとなだめながらお兄さんに聞く。
優弥「で、話はどうなったんですか?」
ハル「・・・太陽と小春をうちで暮らさせる。太陽の母親は小春だ。しばらく暮らさせてから・・・太陽に聞く。」
優弥「そうですか。」
ハル「ひなた、太陽の着替えとか数日分用意してくれるか?」
ひなた「うん。わかった・・・。」
ひなたは立ち上がり、奥の部屋に入っていく。
少し大きめの鞄に、太陽の服を入れて戻ってきた。
ひなた「はい。」
お兄さんに渡したひなた。
『心ここにあらず』って感じだ。
優弥「ひなた・・・大丈夫か?」
ひなた「うん。大丈夫・・・。」
ひなたは太陽の保育園用の鞄に、おもちゃを詰め始めた。
俺が買ってやった缶バッジや・・・おもちゃも入れていく。
ひなた「太陽・・・今、このおもちゃが好きだから・・・。」
そう言ってお姉さんに手渡した。
小春「ありがとう・・・。」
ハル「じゃあ・・・俺たち行くから。・・・・太陽。」
太陽「!!」
太陽は俺にしがみついて離れない。
優弥「・・・・太陽?」
太陽「・・・いかない。」
優弥「太陽・・・・。」
俺は太陽を抱きしめた。
優弥「太陽、いつでも会える。だからママといっしょに暮らしてみな?ママは太陽に会いたくて・・・ひなたの家を探し出したんだからな?迷子はもう終わりだ。」
太陽「・・・・・。」
優弥「ひなたとちゃんとお別れしろ。会いたくなったらおじさんに言え。いつでも会える。」
そう言うと太陽は俺の膝から立ち上がった。
ひなたのところに行って・・・抱きついた。
ひなた「太陽・・・っ!」
太陽「ねーたんっ・・!うわぁぁぁん・・・。」
ひなた「大好きだからね?太陽。」
太陽「たいようもー・・・。」
ぎゅー・・・っとお互いを抱きしめた後、太陽はお兄さんに連れられて出て行った。
部屋に残されたのは俺とひなただけだ。
優弥「・・・明日と明後日、仕事休みだろ?大丈夫か?」
ひなた「大丈夫・・・。」
ぼーっとソファーに座ってるひなた。
俺はひなたの前にかがんだ。
優弥「俺は明日も明後日も仕事だ。仕事帰りには必ずここに来るから・・・待ってろよ?」
ひなた「うん・・・。」
どこか遠くを見てるひなたの口に、自分の口を重ねた。
ちゅ・・・
ひなた「・・・・・・。」
優弥「大丈夫かよ・・・。」
なんの反応もしないひなた。
心配で仕方なく、俺は時間の許す限りひなたの側にいた。
ひなた「コーヒー淹れるね・・・。」
そう言ってソファーから立ち上がりキッチンに行ったひなた。
お湯を沸かし、慣れた手つきでドリップしていった。
ひなた「どうぞ・・・。」
優弥「・・・さんきゅ。」
カップを手に持ったまま、一口も飲まないひなた。
俺は立ち上がり、奥の部屋に行った。
ひなた「?」
畳まれてる布団を引っ張り出して広げる。
優弥「ひなた、来い。」
ひなた「?」
優弥「朝まで起きてそうだからな。とりあえず目を閉じろ。」
俺はリビングに行き、ひなたの体を引き起こした。
手を引いて布団まで連れていき、寝かせる。
ひなた「私、大丈夫・・・。」
優弥「どう見ても大丈夫じゃない。添い寝してやるから・・・目を閉じろ。」
俺も横になりひなたの体を引き寄せた。
背中をさすって、夢の世界に誘う。
ひなた「うっ・・・」
優弥「・・・ひなた?」
背中をさすっていた手を止め、ひなたの顔を見る。
目から涙を流してる。
ひなた「・・・・・。」
優弥「おーい?」
落ち着いた呼吸を繰り返すひなたは、俺の胸に顔を埋めたままだった。
優弥「ひなた?」
ひなた「太陽と・・・別れたくない・・・。」
優弥「ひなた・・・・。それは太陽が決めることじゃないか?」
ひなたやお姉さんの気持ちも大事だけど、一番は太陽の気持ちだ。
まだ判断はできない年齢だけど、それでも太陽の意思は聞かないといけない。
ひなた「・・・わかってる。」
優弥「もう戻れそうか?太陽が・・・怯えてたし。」
ひなた「!・・・戻ります。」
俺の膝から下りたひなた。
俺はひなたの体を支えながら部屋に戻った。
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ハル「もう大丈夫か?」
お兄さんが心配しながら聞いてくれていた。
ひなた「うん。・・・ごめん。」
ひなたはテーブルの前に座り、太陽を見た。
ひなた「・・・太陽?」
太陽「?」
ひなた「ママが迎えに来てくれて・・・よかったね。」
太陽「ねーたん・・・。」
目にいっぱい涙を溜めて言うひなた。
その様子に・・・太陽は異変を感じ取っていた。
太陽「・・・やだっ。ねーたんといるっ!」
小春「太陽!?」
太陽「たいようのママはねーたんだから!パパもいるもん!」
優弥「太陽・・・それはママが迎えに来るまでって話だったろ?」
太陽「!!・・・いやだっ!」
太陽は俺に抱きついてきた。
涙をこぼしながら俺の服にしがみついてる。
優弥「太陽・・・・。」
太陽「うわぁぁーん・・っ!」
優弥「泣くなよ。」
よしよしとなだめながらお兄さんに聞く。
優弥「で、話はどうなったんですか?」
ハル「・・・太陽と小春をうちで暮らさせる。太陽の母親は小春だ。しばらく暮らさせてから・・・太陽に聞く。」
優弥「そうですか。」
ハル「ひなた、太陽の着替えとか数日分用意してくれるか?」
ひなた「うん。わかった・・・。」
ひなたは立ち上がり、奥の部屋に入っていく。
少し大きめの鞄に、太陽の服を入れて戻ってきた。
ひなた「はい。」
お兄さんに渡したひなた。
『心ここにあらず』って感じだ。
優弥「ひなた・・・大丈夫か?」
ひなた「うん。大丈夫・・・。」
ひなたは太陽の保育園用の鞄に、おもちゃを詰め始めた。
俺が買ってやった缶バッジや・・・おもちゃも入れていく。
ひなた「太陽・・・今、このおもちゃが好きだから・・・。」
そう言ってお姉さんに手渡した。
小春「ありがとう・・・。」
ハル「じゃあ・・・俺たち行くから。・・・・太陽。」
太陽「!!」
太陽は俺にしがみついて離れない。
優弥「・・・・太陽?」
太陽「・・・いかない。」
優弥「太陽・・・・。」
俺は太陽を抱きしめた。
優弥「太陽、いつでも会える。だからママといっしょに暮らしてみな?ママは太陽に会いたくて・・・ひなたの家を探し出したんだからな?迷子はもう終わりだ。」
太陽「・・・・・。」
優弥「ひなたとちゃんとお別れしろ。会いたくなったらおじさんに言え。いつでも会える。」
そう言うと太陽は俺の膝から立ち上がった。
ひなたのところに行って・・・抱きついた。
ひなた「太陽・・・っ!」
太陽「ねーたんっ・・!うわぁぁぁん・・・。」
ひなた「大好きだからね?太陽。」
太陽「たいようもー・・・。」
ぎゅー・・・っとお互いを抱きしめた後、太陽はお兄さんに連れられて出て行った。
部屋に残されたのは俺とひなただけだ。
優弥「・・・明日と明後日、仕事休みだろ?大丈夫か?」
ひなた「大丈夫・・・。」
ぼーっとソファーに座ってるひなた。
俺はひなたの前にかがんだ。
優弥「俺は明日も明後日も仕事だ。仕事帰りには必ずここに来るから・・・待ってろよ?」
ひなた「うん・・・。」
どこか遠くを見てるひなたの口に、自分の口を重ねた。
ちゅ・・・
ひなた「・・・・・・。」
優弥「大丈夫かよ・・・。」
なんの反応もしないひなた。
心配で仕方なく、俺は時間の許す限りひなたの側にいた。
ひなた「コーヒー淹れるね・・・。」
そう言ってソファーから立ち上がりキッチンに行ったひなた。
お湯を沸かし、慣れた手つきでドリップしていった。
ひなた「どうぞ・・・。」
優弥「・・・さんきゅ。」
カップを手に持ったまま、一口も飲まないひなた。
俺は立ち上がり、奥の部屋に行った。
ひなた「?」
畳まれてる布団を引っ張り出して広げる。
優弥「ひなた、来い。」
ひなた「?」
優弥「朝まで起きてそうだからな。とりあえず目を閉じろ。」
俺はリビングに行き、ひなたの体を引き起こした。
手を引いて布団まで連れていき、寝かせる。
ひなた「私、大丈夫・・・。」
優弥「どう見ても大丈夫じゃない。添い寝してやるから・・・目を閉じろ。」
俺も横になりひなたの体を引き寄せた。
背中をさすって、夢の世界に誘う。
ひなた「うっ・・・」
優弥「・・・ひなた?」
背中をさすっていた手を止め、ひなたの顔を見る。
目から涙を流してる。
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