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不安。
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千冬side・・・
秋也「みんなで蘇生措置をとった。・・・目が覚めて・・・よかった・・・。」
秋也さんは私の手を握った。
その手は微かに震えてて・・・私がどんなに危険だったかを教えてくれた。
千冬「だいじょ・・・ぶ・・・。」
掠れる声で伝えると、秋也さんは私の頭を撫でた。
秋也「もうちょっとしたら声出るようになるから。無理するな。」
千冬「ん・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから数日もすると私の声は普通に出るようになった。
ただ、体調はまだ良くならず、入院はしていた。
ICUは卒業して。
千冬「・・・まだ歩くのキツい・・・。」
リハビリを兼ねながら廊下を歩く私。
長い廊下を一往復もすればバテてしまっていた。
千冬「仕事に戻れるのは来月になるかも・・・。」
職場に連絡してくれた秋也さん。
所長のご厚意で、『長期の休暇』扱いにしてもらってる。
千冬「それでもさっさと戻さないと・・・!ごほっ・・・。」
手すりを掴みながら歩く。
一歩一歩慎重に歩いてると、私の体を支えてくれた人がいた。
秋也「・・・また勝手にリハビリか?」
千冬「秋也さん・・・。」
私の体が楽になるように支えてくれてる。
秋也「熱心なのはいいけど、やりすぎもダメだからな?」
千冬「わかってるけど・・・仕事場に迷惑もかけれない・・。」
私を指名してくれるお客さんにも申し訳ない。
秋也「わかるけど・・・。じゃあ、そこの談話室で休憩。一緒になんか飲もう?」
千冬「うん・・・。」
支えられながら歩き、私は談話室に入った。
近くにあった椅子に座ると、秋也さんが自動販売機で飲み物を買ってくれた。
秋也「ほら。ホットココア。」
千冬「ありがと・・・。ごほっ・・・。」
座ってる私の隣に腰かける秋也さん。
ココアを飲み始めると、秋也さんは1枚の紙を私に渡してきた。
秋也「これ・・・。」
千冬「?・・・あ、これって・・。」
渡された紙は、新しい薬の説明を受けたときにもらった紙だった。
千冬「没収されたやつ・・・。」
秋也「退院はまだ先になる。その間に考えてみるか?」
体に合えば、薬を飲むのが週に1回になるかもしれない話。
千冬「これって・・・新しい薬ができたって話なんだよね?」
そう聞くと、秋也さんは私がわかるように説明を始めた。
秋也「・・・『新しい薬ができた』っていうか、千冬と同じ症状を持ってる人がいたんだよ。」
千冬「私と同じ?」
秋也「そう。その人が使った薬のことを問い合わせたら、メールで返事がきた。・・・でも、その人は薬の量を調節しただけだった。」
千冬「・・・・・・。」
私と同じ症状の人がいただけでも驚きだ。
秋也「その人は一日3回飲んでたんだって。調節して、一日一回になったらしい。」
千冬「!・・・それはすごいね。」
秋也「その事例から研究がされて・・・『足りないのを薬で』じゃなくて『自分で作れるように補助』する薬が開発されたんだよ。」
千冬「それを私に・・・・?ごほっ・・・。」
秋也「千冬みたいな症状を持つ人は少ない。合わなければ『作れる』ようにならないから『補う』しか道はない。」
その薬を試すと、『治らない』ってことを確認してしまうことになる。
でも、試せば『治る』に一歩近づくかもしれない。
秋也「まぁ、貯めてた血も全部使ったから貯血からスタートだ。貯まるまでの期間、考えてもいい。」
千冬「・・・・わかった。」
飲み物を飲み終わった私は、秋也さんに補助されながら病室に戻った。
ベッドに寝かされ、診察が始まる。
秋也「どっか痛くないか?」
千冬「だいじょーぶ。・・・ごほっ・・・。」
秋也「・・・・・・聴診するからな。」
そう言って私の服の下から聴診器を滑り込ませてくる。
ぼーっと天井を見つめてると眠気と共に不安に思ってることが私を襲う。
千冬「ねぇ・・・秋也さん?」
秋也「んー?」
千冬「こんな私で・・・いいの?」
重たくなる目を開けながら聞く。
秋也「・・・どういう意味だ?」
千冬「迷惑・・・かけてる・・・。」
ただでさえ仕事が忙しい秋也さん。
空いてる時間を見つけては私のところに来てくれてる。
秋也「迷惑じゃない。」
千冬「でも・・・。ごほっ・・・。」
自分の体がこんなんじゃなければって・・・何度も思ってしまう。
超健康体で・・・ありふれた血液型ならこんなことにはならなかったかもしれない。
秋也「・・・調子が戻ってないから不安なことを考えちゃうんだよ。ゆっくり寝な?」
秋也「みんなで蘇生措置をとった。・・・目が覚めて・・・よかった・・・。」
秋也さんは私の手を握った。
その手は微かに震えてて・・・私がどんなに危険だったかを教えてくれた。
千冬「だいじょ・・・ぶ・・・。」
掠れる声で伝えると、秋也さんは私の頭を撫でた。
秋也「もうちょっとしたら声出るようになるから。無理するな。」
千冬「ん・・・。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから数日もすると私の声は普通に出るようになった。
ただ、体調はまだ良くならず、入院はしていた。
ICUは卒業して。
千冬「・・・まだ歩くのキツい・・・。」
リハビリを兼ねながら廊下を歩く私。
長い廊下を一往復もすればバテてしまっていた。
千冬「仕事に戻れるのは来月になるかも・・・。」
職場に連絡してくれた秋也さん。
所長のご厚意で、『長期の休暇』扱いにしてもらってる。
千冬「それでもさっさと戻さないと・・・!ごほっ・・・。」
手すりを掴みながら歩く。
一歩一歩慎重に歩いてると、私の体を支えてくれた人がいた。
秋也「・・・また勝手にリハビリか?」
千冬「秋也さん・・・。」
私の体が楽になるように支えてくれてる。
秋也「熱心なのはいいけど、やりすぎもダメだからな?」
千冬「わかってるけど・・・仕事場に迷惑もかけれない・・。」
私を指名してくれるお客さんにも申し訳ない。
秋也「わかるけど・・・。じゃあ、そこの談話室で休憩。一緒になんか飲もう?」
千冬「うん・・・。」
支えられながら歩き、私は談話室に入った。
近くにあった椅子に座ると、秋也さんが自動販売機で飲み物を買ってくれた。
秋也「ほら。ホットココア。」
千冬「ありがと・・・。ごほっ・・・。」
座ってる私の隣に腰かける秋也さん。
ココアを飲み始めると、秋也さんは1枚の紙を私に渡してきた。
秋也「これ・・・。」
千冬「?・・・あ、これって・・。」
渡された紙は、新しい薬の説明を受けたときにもらった紙だった。
千冬「没収されたやつ・・・。」
秋也「退院はまだ先になる。その間に考えてみるか?」
体に合えば、薬を飲むのが週に1回になるかもしれない話。
千冬「これって・・・新しい薬ができたって話なんだよね?」
そう聞くと、秋也さんは私がわかるように説明を始めた。
秋也「・・・『新しい薬ができた』っていうか、千冬と同じ症状を持ってる人がいたんだよ。」
千冬「私と同じ?」
秋也「そう。その人が使った薬のことを問い合わせたら、メールで返事がきた。・・・でも、その人は薬の量を調節しただけだった。」
千冬「・・・・・・。」
私と同じ症状の人がいただけでも驚きだ。
秋也「その人は一日3回飲んでたんだって。調節して、一日一回になったらしい。」
千冬「!・・・それはすごいね。」
秋也「その事例から研究がされて・・・『足りないのを薬で』じゃなくて『自分で作れるように補助』する薬が開発されたんだよ。」
千冬「それを私に・・・・?ごほっ・・・。」
秋也「千冬みたいな症状を持つ人は少ない。合わなければ『作れる』ようにならないから『補う』しか道はない。」
その薬を試すと、『治らない』ってことを確認してしまうことになる。
でも、試せば『治る』に一歩近づくかもしれない。
秋也「まぁ、貯めてた血も全部使ったから貯血からスタートだ。貯まるまでの期間、考えてもいい。」
千冬「・・・・わかった。」
飲み物を飲み終わった私は、秋也さんに補助されながら病室に戻った。
ベッドに寝かされ、診察が始まる。
秋也「どっか痛くないか?」
千冬「だいじょーぶ。・・・ごほっ・・・。」
秋也「・・・・・・聴診するからな。」
そう言って私の服の下から聴診器を滑り込ませてくる。
ぼーっと天井を見つめてると眠気と共に不安に思ってることが私を襲う。
千冬「ねぇ・・・秋也さん?」
秋也「んー?」
千冬「こんな私で・・・いいの?」
重たくなる目を開けながら聞く。
秋也「・・・どういう意味だ?」
千冬「迷惑・・・かけてる・・・。」
ただでさえ仕事が忙しい秋也さん。
空いてる時間を見つけては私のところに来てくれてる。
秋也「迷惑じゃない。」
千冬「でも・・・。ごほっ・・・。」
自分の体がこんなんじゃなければって・・・何度も思ってしまう。
超健康体で・・・ありふれた血液型ならこんなことにはならなかったかもしれない。
秋也「・・・調子が戻ってないから不安なことを考えちゃうんだよ。ゆっくり寝な?」
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