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恩恵。

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「え・・VRゴーグルって作れるものなのか?」

「作れんじゃね?ちょっと調べてみる!」

「お・・おぉ・・・。」


健太はどうしてもゴーグルをつけてゲームをしたいらしく、製作に取り掛かっていった。

学校では変わらずゲームの話でもちきりだったけど、それも2か月ほどの間だけだった。

やられてしまった人が殆どで、ゲームの話をしても盛り上がらなくなっていったのだ。

そしてリルマール国が領土となって1か月が経ったある日、俺たちは学校行事の一環としてリルマールを見学しに行くことが決まった。


「まさかあんな遠い国に行ける日が来るなんてなぁ!」


飛行機に搭乗しながら健太が楽しそうに言った。


「そうだな。交通費も国負担だから学生はタダなんだろ?」

「そうらしいな!とうちゃんとかあちゃんが喜んでたし。」

「うちもだわ。」


飛行機代だけでも結構な金額になりそうなのに、国が負担してくれてるということに疑問を感じていた。

国土譲渡から始まり、医療費が無償になったりと不思議なことこの上ない。


「まぁ、これも国が世界に打診してたおかげなんじゃね?」


首の後ろに手を回して組みながら、健太がそう言った。


「え?打診?」

「え?20年くらい前から世界中の国に交渉してるって授業でも習っただろ?」

「あー・・・・。」


そんなことを世界史か日本史かの授業で習ったような記憶があるような気もしないこともなかった。

いや、聞いた記憶はない。


「そうだったっけか?」

「そうだよ。忘れてるだけなんじゃね?」

「・・・そうかもな。」


そんな話をしてるうちに飛行機は飛び立った。

およそ12時間のフライトだ。

ほぼ貸し切り状態の飛行機の中は賑やかで、喋り声が消えることはなかった。

中には持ち運びできるゲーム機を持ってきてるやつもいて、交代で遊んだりと12時間の時間を満喫する。

そして飛行機が着陸し、降りた先にあったのは異国の風景だったのだ。


「すげぇな・・・。」

「おー!外貨の両替もしなくていいから楽だな!めいっぱい観光しようぜ!」


俺たちは自由時間の時、スマホで観光名所を調べて行きまくった。

外貨両替をしなくていい分、買い物の計算や物価の違いの計算をしなくていい。

少し距離はあるものの、近くに遊びに行くような感覚で異国の観光ができてとても有意義な気分を味わっていた。

その時・・・


「・・・あれ?あの景色どっかでみたことあるような・・?」


草原が続く道が視界に入った時、俺はふと既視感を覚えた。

一度もリルマールに来たことがないのに、なぜか知ってるように感じたのだ。


「なぁ健太。」

「うん?」

「この景色・・どっかで見たことねーか?」


そう聞くと健太も俺の視線にある草原を見つめ始めた。

でもすぐに首を傾げ始める。


「うーん・・・ないと思うけど・・・。」


いろんな角度から見る健太だったが、見たことないというならそうなのだろう。

そもそも異国の地なのだから、見たことないほうが当然だった。


「そっか。」


自分が感じたことを気のせいかと思い直し、俺たちは家族に土産を買ってあっという間の旅行を終えた。

そして家に帰った後、ゲームの第三ステージが始まる。




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