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妹。
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「んぅっ・・・!」
帽子で隠すようにしながら唇を重ねてきた近衛さん。
まさか本当にすると思ってなかった私は、驚くあまりに目を閉じることができなかった。
それは近衛さんも同じなのか、至近距離で合う目から真剣な視線が流れ込んでくる。
「んーっ・・!んっ・・・!」
『もういい』と伝えるように近衛さんの体を叩くと、彼は名残惜しそうについばむようなキスを繰り返しながら離れていった。
ぎゅっと抱きしめられていた腰も解放され、驚きのあまり開いた口が塞がらない。
「なっ・・・」
「これで許してくれる?」
「~~~~っ。」
誰かに見られてるかもしれないのに、制服姿でのキスは破壊力が半端なかった。
いつもかっこいいのにそのかっこよさが倍増されていて、舌を入れられていたら腰から砕けてしまったことだろう。
「もうっ・・・!」
「俺を『引かせよう』なんて100年早いんだよ(笑)」
「!?バレてたの!?」
「もちろん。今度別の方法で埋め合わせするから考えといて?」
「うっ・・・。」
近衛さんは私の頭をぽんぽんっと撫でたあと、帽子をかぶった。
そして私の少し前をゆっくり歩きだしたのだ。
「家まで送りますね。」
「~~~~っ。」
「ははっ。」
こうして私は赤い顔をしたまま近衛さんに家まで送られたのだった。
ーーーーー
それから1週間の時間が流れた火曜日。
非番の近衛さんに合わせて工場を休みにした私は朝から近衛さんのお家にお邪魔していた。
今日はあの日の『埋め合わせ』をしてくれるとのことだけど、まだ何をお願いするか決まっていない。
「うーん・・・。」
ソファーに座りながら悩んでると、ココアを淹れてくれた近衛さんが私の隣に座った。
「まだ決まってないの?」
「う・・・そんなすぐに決まりませんよ・・・。」
困ったことになったと思いながらいろいろ考えてると、近衛さんのスマホが鳴りだしたのだ。
「あれ・・珍しいな琴葉からだ。」
「え?妹さんですか?」
「うん、ちょっとごめん。」
近衛さんはソファーから立ち上がり、キッチンの方へ行きながら電話を取った。
「もしもし?・・・え?相談?・・・あー・・・それはいいけど・・・うん、わかった。」
短い会話だったけど、近衛さんは通話を切ったスマホを見つめながらソファーに戻ってきた。
そして申し訳なさそうに言い始めたのだ。
「ごめん、凜華。ちょっと実家に行かなきゃいけなくなって・・・」
「え?そうなんですか?」
「うん、実はさっきの電話で・・・」
妹さんからの電話は『相談したいことがある』というものだったらしい。
できるだけ早くに聞いて欲しいとのことらしく、今から実家に帰ることになったのだとか・・・。
「ほんっとごめん。家まで送るから・・・。」
そう謝ってくれる近衛さんだけど、私はふと『埋め合わせ』のことを思い出した。
「それ・・・私も行っていいですか?」
「・・・は!?実家に!?」
「はい。」
「いや・・来ても何もないんだけど・・・てかとんぼ返りになるだろうし、観光もできないし・・・。」
「『埋め合わせ』。一緒に行きたいです。」
「----っ。」
私の仕事は自由出勤だから、明日遅くに工場に行っても構わない。
近衛さんもとんぼ返りする予定で行くのなら、明日の仕事に支障がないとの判断をしたのだろう。
「・・・じゃあ行こうか。」
「!!・・・はいっ!」
折れてくれたのか、近衛さんは私の手を握って立ち上がった。
私も荷物を手に取り、一緒に家を出る。
「あ、すみません。工場に寄っていただいてもいいですか?ちょっと気になることがあって・・・」
「いいよ?高速の入り口に向かう途中に通るし。」
「ありがとうございますー。」
私たちは車に乗り込み、近衛さんの実家に向かって出発した。
途中で工場に寄ってもらったあとはほぼ高速道路を走り、3時間ほどかけて無事に到着したのだった。
「大きいお家・・・」
初めて見る近衛さんの実家はとても大きかった。
駐車場から家までは結構な距離を歩くらしく、きれいに整えられたお庭を見ながら歩いてるとまるでどこかの植物園でデートしてるようにも思えてくるくらいだ。
「月に一度、庭師が手入れしに来てるんだよ。春に来たら花がいっぱいあるよ。」
「え・・・!それ素敵ですっ!」
春に咲く花がたくさんあるお庭を見てみたいと思いながら歩いていき、近衛さんは大きな玄関扉を開けた。
なんでも、楽器を運び出すときに不自由しないようにと大きな扉にしたらしいのだ。
「ただいま。琴葉ー?」
近衛さんが声を出すと、階段をパタパタと走って降りてくる音が聞こえてきた。
靴を脱いで中にお邪魔させていただくと同時に、近衛さんの妹さん『琴葉さん』が玄関ホールに飛び出してきたのだ。
「おにいっ!!」
帽子で隠すようにしながら唇を重ねてきた近衛さん。
まさか本当にすると思ってなかった私は、驚くあまりに目を閉じることができなかった。
それは近衛さんも同じなのか、至近距離で合う目から真剣な視線が流れ込んでくる。
「んーっ・・!んっ・・・!」
『もういい』と伝えるように近衛さんの体を叩くと、彼は名残惜しそうについばむようなキスを繰り返しながら離れていった。
ぎゅっと抱きしめられていた腰も解放され、驚きのあまり開いた口が塞がらない。
「なっ・・・」
「これで許してくれる?」
「~~~~っ。」
誰かに見られてるかもしれないのに、制服姿でのキスは破壊力が半端なかった。
いつもかっこいいのにそのかっこよさが倍増されていて、舌を入れられていたら腰から砕けてしまったことだろう。
「もうっ・・・!」
「俺を『引かせよう』なんて100年早いんだよ(笑)」
「!?バレてたの!?」
「もちろん。今度別の方法で埋め合わせするから考えといて?」
「うっ・・・。」
近衛さんは私の頭をぽんぽんっと撫でたあと、帽子をかぶった。
そして私の少し前をゆっくり歩きだしたのだ。
「家まで送りますね。」
「~~~~っ。」
「ははっ。」
こうして私は赤い顔をしたまま近衛さんに家まで送られたのだった。
ーーーーー
それから1週間の時間が流れた火曜日。
非番の近衛さんに合わせて工場を休みにした私は朝から近衛さんのお家にお邪魔していた。
今日はあの日の『埋め合わせ』をしてくれるとのことだけど、まだ何をお願いするか決まっていない。
「うーん・・・。」
ソファーに座りながら悩んでると、ココアを淹れてくれた近衛さんが私の隣に座った。
「まだ決まってないの?」
「う・・・そんなすぐに決まりませんよ・・・。」
困ったことになったと思いながらいろいろ考えてると、近衛さんのスマホが鳴りだしたのだ。
「あれ・・珍しいな琴葉からだ。」
「え?妹さんですか?」
「うん、ちょっとごめん。」
近衛さんはソファーから立ち上がり、キッチンの方へ行きながら電話を取った。
「もしもし?・・・え?相談?・・・あー・・・それはいいけど・・・うん、わかった。」
短い会話だったけど、近衛さんは通話を切ったスマホを見つめながらソファーに戻ってきた。
そして申し訳なさそうに言い始めたのだ。
「ごめん、凜華。ちょっと実家に行かなきゃいけなくなって・・・」
「え?そうなんですか?」
「うん、実はさっきの電話で・・・」
妹さんからの電話は『相談したいことがある』というものだったらしい。
できるだけ早くに聞いて欲しいとのことらしく、今から実家に帰ることになったのだとか・・・。
「ほんっとごめん。家まで送るから・・・。」
そう謝ってくれる近衛さんだけど、私はふと『埋め合わせ』のことを思い出した。
「それ・・・私も行っていいですか?」
「・・・は!?実家に!?」
「はい。」
「いや・・来ても何もないんだけど・・・てかとんぼ返りになるだろうし、観光もできないし・・・。」
「『埋め合わせ』。一緒に行きたいです。」
「----っ。」
私の仕事は自由出勤だから、明日遅くに工場に行っても構わない。
近衛さんもとんぼ返りする予定で行くのなら、明日の仕事に支障がないとの判断をしたのだろう。
「・・・じゃあ行こうか。」
「!!・・・はいっ!」
折れてくれたのか、近衛さんは私の手を握って立ち上がった。
私も荷物を手に取り、一緒に家を出る。
「あ、すみません。工場に寄っていただいてもいいですか?ちょっと気になることがあって・・・」
「いいよ?高速の入り口に向かう途中に通るし。」
「ありがとうございますー。」
私たちは車に乗り込み、近衛さんの実家に向かって出発した。
途中で工場に寄ってもらったあとはほぼ高速道路を走り、3時間ほどかけて無事に到着したのだった。
「大きいお家・・・」
初めて見る近衛さんの実家はとても大きかった。
駐車場から家までは結構な距離を歩くらしく、きれいに整えられたお庭を見ながら歩いてるとまるでどこかの植物園でデートしてるようにも思えてくるくらいだ。
「月に一度、庭師が手入れしに来てるんだよ。春に来たら花がいっぱいあるよ。」
「え・・・!それ素敵ですっ!」
春に咲く花がたくさんあるお庭を見てみたいと思いながら歩いていき、近衛さんは大きな玄関扉を開けた。
なんでも、楽器を運び出すときに不自由しないようにと大きな扉にしたらしいのだ。
「ただいま。琴葉ー?」
近衛さんが声を出すと、階段をパタパタと走って降りてくる音が聞こえてきた。
靴を脱いで中にお邪魔させていただくと同時に、近衛さんの妹さん『琴葉さん』が玄関ホールに飛び出してきたのだ。
「おにいっ!!」
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