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縁。
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ーーーーー
ーーーー
ーーー
次の日の朝。
目を覚ました私は陽平さんの腕の中にいた。
服を着てない私が寒くないようにしてくれてるのか、ぎゅっと抱きしめられてる。
(ベッド・・・移動してくれたんだ・・・。)
ベッドが二つ用意されていた寝室。
少し体を起こしてもう一つのベッドを見ると、布団はぐちゃぐちゃな上に濡れてる場所もたくさんあった。
昨日陽平さんに愛された証拠だ。
(すごかった・・・。)
いつも加減されてることが身に染みてわかってしまった。
何度イっても終わらずに快感を与え続けられるのだ。
そして陽平さんも何度イっても終わることがない。
(絶倫ってほんとにいるんだ・・・。)
少しお腹に力を入れると、こぷっと陽平さんのモノが溢れてくるのがわかった。
心なしかお腹も少し膨らんでる気がする。
(妊娠・・するかな・・。)
前回の生理の日から考えたら妊娠する可能性は低い。
でも0ではないのだ。
(陽平さんの子供・・・男の子がいいなぁ・・・。)
赤ちゃんを優しく抱き上げる陽平さんの姿が想像できた。
赤ちゃんが大きくなったらきっと一緒に遊んでくれて・・・自慢のお父さんのようになりそうだ。
「・・ふふ。」
そんな勝手な想像をしながら笑うと、陽平さんが私の体を抱きしめなおしてきた。
「なーに笑ってんのー?」
「ふぁっ・・・」
「ほら、教えて?」
甘えるように言う陽平さんだけど、こればっかりは私の中に留めておきたいものだ。
未来がもし、想像通りになったら・・・その時は伝えたい。
「・・・ナイショ。」
「えー・・・。」
「へへっ。」
少しの時間、ベッドでごろごろしていた私たちはお昼前にチェックアウトした。
車に乗り込んで今回の旅行の思い出を語りながら帰路につく。
「毎年棗旅館に行きたいとこだけど・・・休みがなぁ・・・。」
「私もカフェが軌道に乗ったらちょっと難しそう・・・。」
「まぁでも、近場とかなら1泊で行きたいよな。」
「そうだね。その時のために旅行貯金しとくのもいいかも?」
「なら共通の口座作る?負担にならない程度に入れといたら旅行で使えるし?」
「あ、それいいね!カードと通帳を別々で持ってたら都合のいいタイミングで入金できるし?」
「ちとせ、空いてる通帳ある?あるならそのキャッシュカード貸りたい。」
「探してみるねー。」
そんな話をしながらあっという間だった二泊の旅行を終えた私たち。
次の日も休みをもらっていた私はお母さんに聞いた話を整理し、不動産屋さんに足を向けることにした。
ーーーーー
「・・・こんにちはー。」
街はずれに足を運んだ私は、『不動産紹介します』と書いてあった一軒の古びた戸建ての扉を開けた。
中は狭めの空間があって、椅子が一つと机が一つある。
周りは書類のようなものが所狭しと置かれていて、なんだか歴史を感じるような気がした。
「はいはい、いらっしゃい。」
人の好さそうな男の年配の方が奥から出てきた。
きれいな七三に分けられた白髪に、茶色い眼鏡。
カッターシャツに薄手のベストを着ていて、どこか品があるようにも見えた。
「あ・・あの、カフェを開業したくて・・・土地を探してるんですけど・・・」
そう伝えるとお店の人はにこにこと優しく笑ってくれた。
「細かく聞かせてもらいたいから・・・そこ座ってくださいな。」
「は・・はい・・・。」
一つしかない椅子に座ると、お店の人はコーヒーを淹れて持ってきてくれた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます・・・。」
いただいたコーヒーを一口口に含むと、店員さんはメモ用紙を取り出した。
ペンを持ち、眼鏡をかけなおしてる。
「えーと・・カフェを開きたいんだよね?」
そう言いながらメモ用紙の一番上に『飲食・カフェ』と書いて行ってる。
「はい。」
「どのあたりがいいとかの希望はある?」
「それは特にないんですけど、一人で経営したくて・・・あまり大きいところはちょっと・・・」
「ふむふむ・・・。」
「用意できてるお金もそんなになくて・・・あまり経費がかからないようにしたくて・・・」
「ふむふむ・・・。」
「更地で一から建てるとかもちょっと無理そうでして・・・」
「ふむふむ・・・。」
私の言うことを『ふむふむ』と言いながらメモに書いていく店員さん。
ある程度話をしたあと、店員さんはいくつかファイルを取ってきた。
それをパラパラめくってる。
「お嬢ちゃんの希望をまとめると、すでに存在する建物を改装してカフェにしたいってことだよね?」
「!・・・はいっ。」
「既存の建物で、小さいカフェが開けて・・・って考えるとこの辺りになるんだけど・・・どうかな?」
そう言って見せられたのは古民家の写真だった。
『和』な建物は2階建てでたくさんの植物で囲まれてる。
「えと・・・ちょっと大きいような・・?」
どう考えても2階建ての建物は管理ができない。
1階を全てカフェスペースにしたら広すぎるし、家賃か購入金額が高くなるような気がしたのだ。
「今ってご実家暮らし?」
「え?あ、一人暮らしですけど・・・。」
「家賃はいくら?5万はかかってる?」
「そう・・ですね。8万近く払ってますけど・・・。」
そう言うとお店の人はにこっと笑った。
「この家、賃貸で契約するなら月4万8000円だよ?」
その言葉に私は驚いた。
「えぇ!?」
「買うとなればまた計算しなおさないといけないんだけど・・・中はいくつか大きい柱で区切られてるんだ。だからその一部を改装してカフェにして、2階部分で暮らすっていうのはどうかな?そうすれば二重家賃にならないし、負担も少なくなる。」
「!!」
月々の家賃が下がる上に、カフェもできる。
住み込みなるから通勤の時間もかからないし、バス代や電車賃もかからないのだ。
「え・・・ちょっと唐突過ぎて理解が追い付かないです・・・。」
あまりにも好条件が現れて、私の頭はパンクしそうだった。
即決しそうになるのをぐっと堪えて言葉を絞り出す。
「ははっ、いいよ、ゆっくり考えてくれて。僕も計算しとくから今日はこのまま帰るかい?」
「そ・・うですね・・・。」
「じゃあこの家の住所を教えてあげるから暇なときに見に行っておいで?僕が連れて行ってあげたいところだけど、もうこの年だからね、事故があるといけないから人を乗せて運転はしないことにしてるんだよ。」
そう言ってお店の人はメモ用紙に古民家の住所を書いてくれた。
「まぁ、滅多にこの店に足を運んでくる人はいないけど・・・もし誰か来て『この古民家が欲しい』って言ったらだめだから、お嬢ちゃんの連絡先も教えてくれる?」
「は・・はいっ。」
私はお店の人が描いていたメモ用紙の一番下に、名前と住所、あとケータイの電話番号を書いた。
「ありがとう。じゃあまた来てね。」
私はメモ用紙を見つめながらお店を後にした。
今すぐにでも見に行きたい気持ちを押さえながら、家に向かって足を進める。
「住所から考えたらここから3駅くらい向こう・・?あ、陽平さんの消防署に近い?」
イマイチ場所がわからない私は首をかしげながら歩いていた。
いつのまにか街はずれから街中に足を踏み入れていた私は視線の先に目立つオレンジの服を着た人たちを見つけた。
同じ服に同じヘルメットをかぶってるあの人たちは・・・陽平さんたちだ。
「へ・・?なんでここに・・・。」
足を止めて陽平さんたちを見てると、司さんが私に気が付いたようで手を振ってくれた。
そして駆け寄ってきてくれて・・・
「ちとせちゃん!こんなとこで何してんの?」
声をかけてきてくれた。
「えっと・・・ちょっと用事があって・・・・司さんたちは・・?」
「俺たちは店回り。避難経路が確保されてるかとか、非常口前が物置になってないかの確認だよ。」
「へぇー・・そういうのもあるんですね・・・。」
たくさんの仕事があるんだなと思ってると、向こうで陽平さんが手を振ってくれてるのが見えた。
私も手を振り返しながら、司さんにメモを見せた。
「あの、この住所ってどの辺かわかりますか?」
「どれ?・・・あぁ、これなら消防署から東に少し行ったところだよ。」
「どんな雰囲気のところかって・・・わかりますか?」
「静かなところだよ?確か年配の人が多くて空き家ばっかりになってきてるかな?」
「あー・・・なるほど・・・。」
古民家だったのは昔ながらの家だったからのようだ。
そして年を取って家を手放して・・・売りに出されてるということらしい。
(それで安いのかな・・・。)
写真では結構大きな家に見えた古民家。
実際見てみないとなんとも言えなさそうな感じに思えてきた。
「ちとせちゃん、俺仕事戻るからまたね?」
「あ、すみません、引き留めてしまって・・・。」
「いいよ、大丈夫。じゃあ気を付けて帰りなよ?」
「はい、ありがとうございます。・・・あ、陽平さんにお仕事頑張ってってお伝えください・・。」
仕事をしてる陽平さんはこっちに来れそうにない雰囲気だった。
だから司さんに伝言をお願いしたのだけど・・・
「!・・ははっ、わかったよ。『会えなくて寂しかった、今日電話してくれなきゃ拗ねる』って伝えとくね。」
「へっ!?」
「じゃあまたね。」
手を振りながら仕事に戻っていった司さん。
さっき言ってたことをほんとに伝えられたらどうしようかと思いながら手を振り、私は家に帰っていった。
そしてその夜・・・。
『ちとせ?なんか司から伝言もらったんだけど・・・どうした?』
ほんとに陽平さんから電話がかかってきてしまったのだ。
「え・・・司さんからなんて聞いたの・・・?」
恐る恐る聞くと、陽平さんはとんでもないことを口にした。
『どうしても相談したいことがあるから時間できたら電話してって聞いたけど?』
「へ!?」
『どうした?相談って何かあった?』
さらに違う話が伝言として伝わっていたことに驚きながら、その内容に疑問を持った。
もしかしたら私があの古民家の住所を見せたから・・・司さんなりに気を使ってくれたのかもしれない。
「そ・・相談って言えるものじゃないけど・・・あ、相談かな?」
『ちょ・・意味がわかんないんだけど・・・。』
「だよね・・。うーん・・・。」
どう伝えるのがいいのか悩んでると、陽平さんのほうが口を開いた。
『ちとせ、明日の仕事は何時から?』
「え?14時からだけど・・・。」
『俺、朝8時に終わるからそっち行くわ。そこで聞かせて?』
「う・・うん、わかった・・・。」
『じゃあ仕事戻るから。鍵して寝ろよ?』
「うん、ごめんね、お仕事中に・・・。」
『今は休憩してるから大丈夫。じゃな。』
そう言って切れたスマホをじっと見つめながら、ため息を一つ漏らした。
「はぁー・・・明日、私の出勤時間までに説明しないと・・・。」
どう言葉を選べば簡潔に伝わるかを考えながら、私は怒涛の今日を終えていった。
ーーーー
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次の日の朝。
目を覚ました私は陽平さんの腕の中にいた。
服を着てない私が寒くないようにしてくれてるのか、ぎゅっと抱きしめられてる。
(ベッド・・・移動してくれたんだ・・・。)
ベッドが二つ用意されていた寝室。
少し体を起こしてもう一つのベッドを見ると、布団はぐちゃぐちゃな上に濡れてる場所もたくさんあった。
昨日陽平さんに愛された証拠だ。
(すごかった・・・。)
いつも加減されてることが身に染みてわかってしまった。
何度イっても終わらずに快感を与え続けられるのだ。
そして陽平さんも何度イっても終わることがない。
(絶倫ってほんとにいるんだ・・・。)
少しお腹に力を入れると、こぷっと陽平さんのモノが溢れてくるのがわかった。
心なしかお腹も少し膨らんでる気がする。
(妊娠・・するかな・・。)
前回の生理の日から考えたら妊娠する可能性は低い。
でも0ではないのだ。
(陽平さんの子供・・・男の子がいいなぁ・・・。)
赤ちゃんを優しく抱き上げる陽平さんの姿が想像できた。
赤ちゃんが大きくなったらきっと一緒に遊んでくれて・・・自慢のお父さんのようになりそうだ。
「・・ふふ。」
そんな勝手な想像をしながら笑うと、陽平さんが私の体を抱きしめなおしてきた。
「なーに笑ってんのー?」
「ふぁっ・・・」
「ほら、教えて?」
甘えるように言う陽平さんだけど、こればっかりは私の中に留めておきたいものだ。
未来がもし、想像通りになったら・・・その時は伝えたい。
「・・・ナイショ。」
「えー・・・。」
「へへっ。」
少しの時間、ベッドでごろごろしていた私たちはお昼前にチェックアウトした。
車に乗り込んで今回の旅行の思い出を語りながら帰路につく。
「毎年棗旅館に行きたいとこだけど・・・休みがなぁ・・・。」
「私もカフェが軌道に乗ったらちょっと難しそう・・・。」
「まぁでも、近場とかなら1泊で行きたいよな。」
「そうだね。その時のために旅行貯金しとくのもいいかも?」
「なら共通の口座作る?負担にならない程度に入れといたら旅行で使えるし?」
「あ、それいいね!カードと通帳を別々で持ってたら都合のいいタイミングで入金できるし?」
「ちとせ、空いてる通帳ある?あるならそのキャッシュカード貸りたい。」
「探してみるねー。」
そんな話をしながらあっという間だった二泊の旅行を終えた私たち。
次の日も休みをもらっていた私はお母さんに聞いた話を整理し、不動産屋さんに足を向けることにした。
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「・・・こんにちはー。」
街はずれに足を運んだ私は、『不動産紹介します』と書いてあった一軒の古びた戸建ての扉を開けた。
中は狭めの空間があって、椅子が一つと机が一つある。
周りは書類のようなものが所狭しと置かれていて、なんだか歴史を感じるような気がした。
「はいはい、いらっしゃい。」
人の好さそうな男の年配の方が奥から出てきた。
きれいな七三に分けられた白髪に、茶色い眼鏡。
カッターシャツに薄手のベストを着ていて、どこか品があるようにも見えた。
「あ・・あの、カフェを開業したくて・・・土地を探してるんですけど・・・」
そう伝えるとお店の人はにこにこと優しく笑ってくれた。
「細かく聞かせてもらいたいから・・・そこ座ってくださいな。」
「は・・はい・・・。」
一つしかない椅子に座ると、お店の人はコーヒーを淹れて持ってきてくれた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます・・・。」
いただいたコーヒーを一口口に含むと、店員さんはメモ用紙を取り出した。
ペンを持ち、眼鏡をかけなおしてる。
「えーと・・カフェを開きたいんだよね?」
そう言いながらメモ用紙の一番上に『飲食・カフェ』と書いて行ってる。
「はい。」
「どのあたりがいいとかの希望はある?」
「それは特にないんですけど、一人で経営したくて・・・あまり大きいところはちょっと・・・」
「ふむふむ・・・。」
「用意できてるお金もそんなになくて・・・あまり経費がかからないようにしたくて・・・」
「ふむふむ・・・。」
「更地で一から建てるとかもちょっと無理そうでして・・・」
「ふむふむ・・・。」
私の言うことを『ふむふむ』と言いながらメモに書いていく店員さん。
ある程度話をしたあと、店員さんはいくつかファイルを取ってきた。
それをパラパラめくってる。
「お嬢ちゃんの希望をまとめると、すでに存在する建物を改装してカフェにしたいってことだよね?」
「!・・・はいっ。」
「既存の建物で、小さいカフェが開けて・・・って考えるとこの辺りになるんだけど・・・どうかな?」
そう言って見せられたのは古民家の写真だった。
『和』な建物は2階建てでたくさんの植物で囲まれてる。
「えと・・・ちょっと大きいような・・?」
どう考えても2階建ての建物は管理ができない。
1階を全てカフェスペースにしたら広すぎるし、家賃か購入金額が高くなるような気がしたのだ。
「今ってご実家暮らし?」
「え?あ、一人暮らしですけど・・・。」
「家賃はいくら?5万はかかってる?」
「そう・・ですね。8万近く払ってますけど・・・。」
そう言うとお店の人はにこっと笑った。
「この家、賃貸で契約するなら月4万8000円だよ?」
その言葉に私は驚いた。
「えぇ!?」
「買うとなればまた計算しなおさないといけないんだけど・・・中はいくつか大きい柱で区切られてるんだ。だからその一部を改装してカフェにして、2階部分で暮らすっていうのはどうかな?そうすれば二重家賃にならないし、負担も少なくなる。」
「!!」
月々の家賃が下がる上に、カフェもできる。
住み込みなるから通勤の時間もかからないし、バス代や電車賃もかからないのだ。
「え・・・ちょっと唐突過ぎて理解が追い付かないです・・・。」
あまりにも好条件が現れて、私の頭はパンクしそうだった。
即決しそうになるのをぐっと堪えて言葉を絞り出す。
「ははっ、いいよ、ゆっくり考えてくれて。僕も計算しとくから今日はこのまま帰るかい?」
「そ・・うですね・・・。」
「じゃあこの家の住所を教えてあげるから暇なときに見に行っておいで?僕が連れて行ってあげたいところだけど、もうこの年だからね、事故があるといけないから人を乗せて運転はしないことにしてるんだよ。」
そう言ってお店の人はメモ用紙に古民家の住所を書いてくれた。
「まぁ、滅多にこの店に足を運んでくる人はいないけど・・・もし誰か来て『この古民家が欲しい』って言ったらだめだから、お嬢ちゃんの連絡先も教えてくれる?」
「は・・はいっ。」
私はお店の人が描いていたメモ用紙の一番下に、名前と住所、あとケータイの電話番号を書いた。
「ありがとう。じゃあまた来てね。」
私はメモ用紙を見つめながらお店を後にした。
今すぐにでも見に行きたい気持ちを押さえながら、家に向かって足を進める。
「住所から考えたらここから3駅くらい向こう・・?あ、陽平さんの消防署に近い?」
イマイチ場所がわからない私は首をかしげながら歩いていた。
いつのまにか街はずれから街中に足を踏み入れていた私は視線の先に目立つオレンジの服を着た人たちを見つけた。
同じ服に同じヘルメットをかぶってるあの人たちは・・・陽平さんたちだ。
「へ・・?なんでここに・・・。」
足を止めて陽平さんたちを見てると、司さんが私に気が付いたようで手を振ってくれた。
そして駆け寄ってきてくれて・・・
「ちとせちゃん!こんなとこで何してんの?」
声をかけてきてくれた。
「えっと・・・ちょっと用事があって・・・・司さんたちは・・?」
「俺たちは店回り。避難経路が確保されてるかとか、非常口前が物置になってないかの確認だよ。」
「へぇー・・そういうのもあるんですね・・・。」
たくさんの仕事があるんだなと思ってると、向こうで陽平さんが手を振ってくれてるのが見えた。
私も手を振り返しながら、司さんにメモを見せた。
「あの、この住所ってどの辺かわかりますか?」
「どれ?・・・あぁ、これなら消防署から東に少し行ったところだよ。」
「どんな雰囲気のところかって・・・わかりますか?」
「静かなところだよ?確か年配の人が多くて空き家ばっかりになってきてるかな?」
「あー・・・なるほど・・・。」
古民家だったのは昔ながらの家だったからのようだ。
そして年を取って家を手放して・・・売りに出されてるということらしい。
(それで安いのかな・・・。)
写真では結構大きな家に見えた古民家。
実際見てみないとなんとも言えなさそうな感じに思えてきた。
「ちとせちゃん、俺仕事戻るからまたね?」
「あ、すみません、引き留めてしまって・・・。」
「いいよ、大丈夫。じゃあ気を付けて帰りなよ?」
「はい、ありがとうございます。・・・あ、陽平さんにお仕事頑張ってってお伝えください・・。」
仕事をしてる陽平さんはこっちに来れそうにない雰囲気だった。
だから司さんに伝言をお願いしたのだけど・・・
「!・・ははっ、わかったよ。『会えなくて寂しかった、今日電話してくれなきゃ拗ねる』って伝えとくね。」
「へっ!?」
「じゃあまたね。」
手を振りながら仕事に戻っていった司さん。
さっき言ってたことをほんとに伝えられたらどうしようかと思いながら手を振り、私は家に帰っていった。
そしてその夜・・・。
『ちとせ?なんか司から伝言もらったんだけど・・・どうした?』
ほんとに陽平さんから電話がかかってきてしまったのだ。
「え・・・司さんからなんて聞いたの・・・?」
恐る恐る聞くと、陽平さんはとんでもないことを口にした。
『どうしても相談したいことがあるから時間できたら電話してって聞いたけど?』
「へ!?」
『どうした?相談って何かあった?』
さらに違う話が伝言として伝わっていたことに驚きながら、その内容に疑問を持った。
もしかしたら私があの古民家の住所を見せたから・・・司さんなりに気を使ってくれたのかもしれない。
「そ・・相談って言えるものじゃないけど・・・あ、相談かな?」
『ちょ・・意味がわかんないんだけど・・・。』
「だよね・・。うーん・・・。」
どう伝えるのがいいのか悩んでると、陽平さんのほうが口を開いた。
『ちとせ、明日の仕事は何時から?』
「え?14時からだけど・・・。」
『俺、朝8時に終わるからそっち行くわ。そこで聞かせて?』
「う・・うん、わかった・・・。」
『じゃあ仕事戻るから。鍵して寝ろよ?』
「うん、ごめんね、お仕事中に・・・。」
『今は休憩してるから大丈夫。じゃな。』
そう言って切れたスマホをじっと見つめながら、ため息を一つ漏らした。
「はぁー・・・明日、私の出勤時間までに説明しないと・・・。」
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