48 / 52
縁2。
しおりを挟む
翌日午前9時。
仕事を終えた陽平さんが私の家にやってきた。
陽平さんの好きな銘柄のコーヒーを淹れてカウンター式のテーブルに置く。
「お仕事お疲れさま。」
「ありがと。・・・で?何があったの?」
私は昨日もらったメモを陽平さんに見せた。
「住所?・・・これ、消防署の近くじゃん。」
「うん。昨日見つけた不動産屋さんで一件紹介してもらったんだけど・・・・」
私は昨日のことを一通り、順を追って話した。
想像とは違う物件を紹介されたけど、理にかなってることを。
「へぇー・・・家賃が今より安くて広いのか・・・。」
「うん、購入ってなったらまた金額が違うから、計算しとくって言ってたんだけど・・・」
「そうなると固定資産税を払わないといけなくなる。でもここならそんなに高くないんじゃない?」
「そうなのかな・・・ちょっとわかんなくて・・・。」
家を買うとなった時に必要になるお金はちょっとわからない。
勉強不足だ。
「ここ、そんなに遠くないし、今から行ってみる?」
メモをひらひらさせながら陽平さんが聞いてきた。
「今から!?」
「中は見れないだろうけど、外観だけでも見れるよ?あと、周りも。」
「え・・え・・・!?」
「今9時すぎだろ?行って帰ってきて・・・ルルーシュの出勤には間に合うだろ。」
「え、でも陽平さん疲れてるんじゃ・・・」
24時間勤務明けの朝だ。
仮眠してるとはいえ、熟睡はしてない体で付き合ってもらうのは気が引けて仕方ない。
「大丈夫。5時間くらい運転するわけじゃないし、俺も見たいし?ほら、行こう。」
椅子から立ち上がった陽平さんは私の手を引いた。
もう行く流れになってしまい、私は鞄を手に陽平さんと一緒に家を出ることに・・。
「ちとせはその店の外観見た?写真とかで。」
「見た見た。古民家だった。」
「住所だけでも行けるけど一応ナビ入れるか。」
駐車場で車に乗り込んだあと、陽平さんは住所をナビに打ち込んだ。
そしてすぐに車を出してくれ、私たちは古民家に向かって出発した。
ーーーーー
「たぶんこの辺のハズ・・・。」
目的の古民家の近くまで来た私たちは車の窓からきょろきょろと辺りを見回していた。
大きい家がたくさん立ち並んでいるけど、そのほとんどに『空き家』と看板がかかっている。
歩いてる人も少なく、ひっそりした感じだ。
「あ、ちとせ、あそこじゃない?ナビはあそこなんだけど・・。」
そう言われて見ると、お店で見た写真の古民家があった。
2階建てでたくさんの植物に囲われてる『和』な家だ。
「あ!そうそう!ここ!」
「ちょっと待ってな、前に止めるから。」
陽平さんは家の前に車を寄せて止めてくれ、私たちは車から降りた。
家の正面に立つと、写真と同じ風景が目に映る。
「古そうに見えたけど・・・きちんとお手入れされてるみたい・・・。」
軒に蜘蛛の巣なんかもなく、落ち葉があまりない地面。
大きな木も剪定されていて、きれいな形を保っていた。
「道路も広いな。駐車場は・・・3台はいけそうだ。前面道路も狭いわけじゃないし、ここまでの道も特に難しいところもなかった。」
「3台・・・。」
急に現実味を帯びてくる感じに、胸がどきどきとうるさく鳴り始めた。
一人でするカフェは目立つことは避けなければいけない。
それでいて固定客を掴みたいところだけど、ここだったらそんなに人は来ないかもしれないのだ。
「ちとせ、ちょっとおせっかいかもしれないけど一ついい?」
「?・・なぁに?」
「席数を3席にしたらさ、駐車場の数と一緒になるから・・・満車になったら終了ってことにしたら席待ちの渋滞も起こらないんじゃない?」
「!!」
陽平さんの言う通りだった。
もし、ここでカフェをしたとして、仮に5組のお客さまがいらっしゃったら店の前が車でいっぱいになる可能性がある。
そうなればこの道は塞がってしまうことになってしまい、通ろうとした人の迷惑になってしまうのだ。
でも、3台で満席終了にしてしまえばあとから来たお客さまは諦めるしかなく、待つなんてことがない。
「それいいかも・・・。」
「まぁ、選択肢の一つとして考えといて?」
「うん・・・ありがとう・・・。」
急に想像がつき始めたカフェ計画。
このまま話を進めたい気持ちと、もう少し考えたほうがいいのかという気持ちが入り混じる。
(どうしよう・・・。)
外観を見ながら悩んでると、陽平さんが私の頭をぽんぽんっと叩いた。
「とりあえず今度内覧させてもらったら?それから考えても時間はあると思うよ?」
「・・・そうだね。」
私が悩んだ時、ゆっくり考えれるように言葉をくれる陽平さん。
年上だからか包容力もあって・・・相談すると安心がもらえる。
(『やっぱだめだった』なんてことにできないんだから・・・しっかり考えないと。)
私はじっと古民家を見つめた。
陽平さんは古民家の周りを見たり、少し遠くまで歩いて行ったりしてるようだったけど、ぐるぐるっと見回ってから戻って来た。
「ちとせ、そろそろ行こうか。」
「そだね、連れてきてくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
この次の休みの日、私はあの不動産屋さんに足を運んだ。
仕事を終えた陽平さんが私の家にやってきた。
陽平さんの好きな銘柄のコーヒーを淹れてカウンター式のテーブルに置く。
「お仕事お疲れさま。」
「ありがと。・・・で?何があったの?」
私は昨日もらったメモを陽平さんに見せた。
「住所?・・・これ、消防署の近くじゃん。」
「うん。昨日見つけた不動産屋さんで一件紹介してもらったんだけど・・・・」
私は昨日のことを一通り、順を追って話した。
想像とは違う物件を紹介されたけど、理にかなってることを。
「へぇー・・・家賃が今より安くて広いのか・・・。」
「うん、購入ってなったらまた金額が違うから、計算しとくって言ってたんだけど・・・」
「そうなると固定資産税を払わないといけなくなる。でもここならそんなに高くないんじゃない?」
「そうなのかな・・・ちょっとわかんなくて・・・。」
家を買うとなった時に必要になるお金はちょっとわからない。
勉強不足だ。
「ここ、そんなに遠くないし、今から行ってみる?」
メモをひらひらさせながら陽平さんが聞いてきた。
「今から!?」
「中は見れないだろうけど、外観だけでも見れるよ?あと、周りも。」
「え・・え・・・!?」
「今9時すぎだろ?行って帰ってきて・・・ルルーシュの出勤には間に合うだろ。」
「え、でも陽平さん疲れてるんじゃ・・・」
24時間勤務明けの朝だ。
仮眠してるとはいえ、熟睡はしてない体で付き合ってもらうのは気が引けて仕方ない。
「大丈夫。5時間くらい運転するわけじゃないし、俺も見たいし?ほら、行こう。」
椅子から立ち上がった陽平さんは私の手を引いた。
もう行く流れになってしまい、私は鞄を手に陽平さんと一緒に家を出ることに・・。
「ちとせはその店の外観見た?写真とかで。」
「見た見た。古民家だった。」
「住所だけでも行けるけど一応ナビ入れるか。」
駐車場で車に乗り込んだあと、陽平さんは住所をナビに打ち込んだ。
そしてすぐに車を出してくれ、私たちは古民家に向かって出発した。
ーーーーー
「たぶんこの辺のハズ・・・。」
目的の古民家の近くまで来た私たちは車の窓からきょろきょろと辺りを見回していた。
大きい家がたくさん立ち並んでいるけど、そのほとんどに『空き家』と看板がかかっている。
歩いてる人も少なく、ひっそりした感じだ。
「あ、ちとせ、あそこじゃない?ナビはあそこなんだけど・・。」
そう言われて見ると、お店で見た写真の古民家があった。
2階建てでたくさんの植物に囲われてる『和』な家だ。
「あ!そうそう!ここ!」
「ちょっと待ってな、前に止めるから。」
陽平さんは家の前に車を寄せて止めてくれ、私たちは車から降りた。
家の正面に立つと、写真と同じ風景が目に映る。
「古そうに見えたけど・・・きちんとお手入れされてるみたい・・・。」
軒に蜘蛛の巣なんかもなく、落ち葉があまりない地面。
大きな木も剪定されていて、きれいな形を保っていた。
「道路も広いな。駐車場は・・・3台はいけそうだ。前面道路も狭いわけじゃないし、ここまでの道も特に難しいところもなかった。」
「3台・・・。」
急に現実味を帯びてくる感じに、胸がどきどきとうるさく鳴り始めた。
一人でするカフェは目立つことは避けなければいけない。
それでいて固定客を掴みたいところだけど、ここだったらそんなに人は来ないかもしれないのだ。
「ちとせ、ちょっとおせっかいかもしれないけど一ついい?」
「?・・なぁに?」
「席数を3席にしたらさ、駐車場の数と一緒になるから・・・満車になったら終了ってことにしたら席待ちの渋滞も起こらないんじゃない?」
「!!」
陽平さんの言う通りだった。
もし、ここでカフェをしたとして、仮に5組のお客さまがいらっしゃったら店の前が車でいっぱいになる可能性がある。
そうなればこの道は塞がってしまうことになってしまい、通ろうとした人の迷惑になってしまうのだ。
でも、3台で満席終了にしてしまえばあとから来たお客さまは諦めるしかなく、待つなんてことがない。
「それいいかも・・・。」
「まぁ、選択肢の一つとして考えといて?」
「うん・・・ありがとう・・・。」
急に想像がつき始めたカフェ計画。
このまま話を進めたい気持ちと、もう少し考えたほうがいいのかという気持ちが入り混じる。
(どうしよう・・・。)
外観を見ながら悩んでると、陽平さんが私の頭をぽんぽんっと叩いた。
「とりあえず今度内覧させてもらったら?それから考えても時間はあると思うよ?」
「・・・そうだね。」
私が悩んだ時、ゆっくり考えれるように言葉をくれる陽平さん。
年上だからか包容力もあって・・・相談すると安心がもらえる。
(『やっぱだめだった』なんてことにできないんだから・・・しっかり考えないと。)
私はじっと古民家を見つめた。
陽平さんは古民家の周りを見たり、少し遠くまで歩いて行ったりしてるようだったけど、ぐるぐるっと見回ってから戻って来た。
「ちとせ、そろそろ行こうか。」
「そだね、連れてきてくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
この次の休みの日、私はあの不動産屋さんに足を運んだ。
34
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
同期に恋して
美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務
高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部
同期入社の2人。
千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。
平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。
千夏は同期の関係を壊せるの?
「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる