甘々彼氏はレスキュー隊!?溺愛の代償は本気の夜!?

すずなり。

文字の大きさ
49 / 52

縁3。

しおりを挟む
「こんにちはー。」


お昼前にお店を訪ねた私。

私の声に気が付いたのか、奥からお店の人が出てきた。


「おやおや、この前のお嬢さん。」

「こんにちは。あの・・前に見せてもらった古民家・・・内覧ってお願いできますか?」

「あぁ、大丈夫だよ。いつがいいかな?」

「えーと・・・」


私はスマホを取り出し、陽平さんの休みの日を確認した。


「明後日とか・・・どうでしょうか。」

「明後日?・・・うん、大丈夫。じゃあお昼の1時に古民家の前でいいかな?」

「はいっ。大丈夫ですっ。」

「じゃあ色々計算して資料も持って行こうとしよう。」


そんな話をしてるとき、お店の扉が開いた。


「こんにちは・・・って、あら、お客さん?」


入ってきたのは品のいいおばあちゃんだった。

ふわっと整えられたきれいな白髪に、おしゃれなネックレスをつけてる。

このお店の人と同じような眼鏡をかけていて、腕には小さな鞄がかけられていた。


「おや、珍しいね。春川さん。」


お店の人とこのお客さんとが知り合いのようで、二人は微笑み合っていた。


「ちょうどよかったよ、春川さん。こちらのお嬢さんが春川さんのご実家を検討中なんだよ。」


そう言われ、あの古民家の持ち主がこの人だということがすぐにわかった。


「!!」

「あらっ、もう中は見てくれたのかしら?」

「い・・いえ、明後日に見させていただこうかと・・・」


にこにこと聞いてくれるおばあちゃんは、あの家の思い出を嬉しそうに話し始めた。


「あの家はね、私の実家だったんだけどもうだいぶ前から住んでないの。お手入れだけはしにきてたんだけど、私は娘夫婦の家で同居してるから・・・できれば誰かに使ってもらえたらいいなと思って売りに出したのよ。」


あの家は10年ほど前から住んでないらしく、このおばあちゃんが月に一度、お家の掃除に行っていたらしい。

庭木は半年に一度、剪定の依頼をかけて手入れしたらしいけど、それもお金がかかること。

固定資産税も払い続けなければいけないし、水道も止めるわけにいかずずっと払っていたのだとか。

でも年を重ねてしまい、掃除も大変。

色々支払わなくてはいけないものも多く、去年、手放すことにしたのだとか。


「そうだったんですか・・・。」

「孫も大きくなるにつれてお金がいるでしょ?私のわがままでお金を使わせるわけにいかないからね・・。」


光熱費は微々たるものでも剪定代は結構かかる。

それに歩いて来れる距離ならいいけど電車や宿泊で来なきゃいけない距離ならもっとお金がかかってしまうのだ。


「中はきれいよ?よかったら隅々まで見てね?もし買ってくれたら置いてあるものは自由にしてくれていいから。大事なものは全部持ち出したし。」

「ふふ、じゃあゆっくり見させてもらいますー。」


このあともおばあちゃんは嬉しそうに家のことを話してくれた。

裏庭に小さな池があることや、昔は犬を飼っていたこと。

面白い場所に台所があることなんかも・・・。


「へぇー!そうなんですか!」

「そうそう、そうなのよ。今はバリアフリーの建物が多いけどあの家は段差が多くて・・・でもそれもそれでいいんだけど・・・なかなか難しいわよねぇ・・。」


そんな話を小一時間ほど聞いたとき、おばあちゃんは『用事があったのを思い出した!』と言って慌てて帰って行ってしまった。

私もお店の人に挨拶をして店をあとにし、陽平さんに連絡を入れた。


(あのおばあちゃんの実家かー・・・。)


私の実家が旅館なこともあってか、『和』な建物に苦手意識はなかった。

むしろどこか安心すらしてしまうくらいだ。


(中が面白い間取りみたいだし・・・ちょっと楽しみ。)




ーーーーー



ーーーーー


内覧当日。



「今日はよろしくお願いします。」


約束の午後1時に、古民家にやってきた私と陽平さん。

家の駐車場に車を止めさせてもらい、不動産屋さんと合流したのだ。


「何か聞きたいことがあったら何でも聞いてね。」

「ありがとうございます。」


家の鍵を出した不動産屋さんは大きな引き戸の鍵穴に鍵をさした。

軽く右に回して開いた扉は錆びついてる様子もなく、カラカラと軽い音を立てて開いた。


「どうぞ。」

「お邪魔します・・・。」


私と陽平さんは用意しておいたスリッパを出し、履き替えた。

お店の人は私たちの分までスリッパを持ってきてくれていたようで、袋に入ったたくさんのスリッパの中から一つだけ出して履き替えていた。


「好きなところ見て回ってくださいな。」


そう言われ、私と陽平さんは近くから見て回ることにした。

玄関を入ってすぐ右には広い茶の間・・・洋風にいうところのリビングがあった。

掘りごたつの上には大きなテーブルが置かれていて、こたつのサイズに作られたテーブルなのがすぐにわかる。


「すごい・・・。」

「めっちゃ広いな。」


その奥には一段下がったところに台所があるのが見える。


「ちょっと台所見てきていい?」

「いいよ?俺、向こう見てくる。」


私たちは二手に分かれて家の中を散策し始めた。

私が向かった台所はうちのキッチンの何倍も広さがあって、床はコンクリートでできた土間。

水なんかも流せるようだ。


「こんなキッチン初めて見た・・・。」


古めかしいといえばそれまでだけど、こんな贅沢な造りができるのは広さがあってこそのものだ。

広いシンクは二つに分かれていて、その両方に水栓がついてる。

作業台はシンクの隣に一つと、背面に大きな台があっていろんな料理を同時にできそうだった。


「あれ・・?向こうに扉がある・・・。」


キッチンを見回したときに目についた扉。

勝手口かと思ったけど、扉の造りから見て違うように感じた。

引き戸になってる取っ手に手をかけて開いてみる。


「・・・わぁ・・!え・・物置・・?」


そこには広すぎる部屋がひとつあった。

壁には大きな窓が何枚かあって、高い吹き抜けの天井が広い部屋をさらに広く感じさせてくれてる。

キッチンと同じコンクリート土間仕様で、外に通じてそうな大きな扉から考えたら物置に使われていたような気がする。


「え・・待って・・この大きさ、ちょうどいいんじゃない・・?」


コンクリの土間の上に床を作り、カウンター席とテーブル席を置いたらカフェになりそうだった。

すぐ近くに大きなキッチンがあって、その奥はプライベート空間。

最高な建物だ。


「この外って・・・もしかして・・・」


私は外に通じてそうな扉の鍵を開け、大きな引き戸を開けた。

するとそこには道路があったのだ。


「この家・・道路に挟まれてたんだ・・・。」


家の裏は家があるのが大半の道路の造り。

でも所によっては家の表も裏も道路のところがあるのだ。


「あ、お嬢ちゃん、伝え忘れてたことがあるんだけど・・・。」


私の後ろをついてきてくれていたのか、お店の人が声をかけてきた。


「伝え忘れてたことですか?」

「うん。こっちの隣・・・あ、そこの窓の向こうの家なんだけど取り壊しが決まってるんだよ。」

「取り壊し!?」

「もうだいぶ古いからねぇ・・・。」


お店の人の話によると、大きな窓のあるほうの家は再来月に取り壊されると連絡がきたらしい。

更地にして売り出すそうで、お店の人の見解では売れることはないだろうとのことだった。


「このあたりは学校も遠いし、若い人たちは少ないんだよ。よっぽど気に入らない限り、わざわざ家を建てたりしないだろうねぇ・・・。」

「そうなんですか・・・。」


再来月には実質角地となるこの家。

窓からの景色は・・・よさそうだ。


(えー、待って待って、すぐにでも決めたくなっちゃう・・・。)


とりあえず気持ちを落ち着かせるために、私は陽平さんを探しに行くことにした。

さっき通ってきたキッチンと茶の間を抜け、まだ足を踏み入れてないところに入っていく。


「陽平さーん?どこー?」


廊下を歩いて抜けていくと、トイレや洗面所、それにお風呂なんかも見つけた。

どれもきれいで誰も住んでないとは思えないほどだ。


「ちとせー!2階にいるー!」

「はーい!」


陽平さんの声に、私は廊下で階段を探しながら歩いた。

回廊式になってる廊下をぐるぐる回っていくと、ちょうど玄関と対角線上にあたる場所に階段を見つけた。

手すりにつかまりながら一段ずつ上がっていくと、二つの部屋があったのだ。


「廊下が広すぎない・・・?」


階段を上がってすぐに見えた廊下は奥行きは無いものの幅が広かった。

廊下を挟むようにして二部屋ずつある。

そのうちの右側の部屋に陽平さんの姿を見つけた。


「8畳ずつくらいあるんじゃない?めっちゃ広いな・・・。」

「うん・・・。回廊型の廊下の中も多分部屋だよね・・・これが月5万かからないとか・・・信じられない。」

「だな。」


早くご実家を手放したいのか、この辺りの地価が安いのか、それとも地域高齢化が問題なのか・・・

色々考え得ることはあるけど、私の気持ちはもう固まっていた。


「陽平さん、いろいろ考えたんだけど、月々も安いし・・・ここに引っ越してカフェしようと思う。陽平さんはどう思う?」


自分一人の考えだけじゃ盲点は絶対にある。

多方面からの意見が欲しくて陽平さんに聞くと、思っても見ない答えが返ってきた。


「・・・俺も一緒に住む。」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

同期に恋して

美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務  高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部 同期入社の2人。 千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。 平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。 千夏は同期の関係を壊せるの? 「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...