お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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新しい生活。

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お父さん「ここが今日から鈴の家だよ?」




施設をでて車で1時間。

大きい大きい一軒家の前で車は止まった。



鈴「・・・・おっきぃ。」

翔平「荷物、運んどくから先に入ってな?」

鈴「は・・はい。」



玄関に向かって歩いていくと、お父さんが待っててくれていた。



お父さん「どうぞ?」



ガチャ・・・と、ドアを開けてくれ、私は中に入った。




鈴「うわぁ・・・。」



吹き抜けの玄関。

目の前には廊下と階段が見える。



お父さん「鈴の部屋は2階に上がってすぐだよ?プレートかかってるからすぐわかると思う。・・・行っておいで?」



私は階段を上がっていった。

上がりきってすぐにあったドアに『Bell』ってかかれたプレートがかかっていた。



鈴「私の名前・・・英語バージョンだ。」




ドアノブに手をかけてガチャ・・とドアを開けた。




鈴「わ・・・すごい・・・。」




広い空間にベッド、机、本棚、クローゼットなど、家具がたくさん用意されていた。

どれも真っ白な家具だ。





翔平「どう?気に入った?」

鈴「わ・・わたしが使っていいんですか・・?」

恭吾「俺らが使うとおかしいだろ?白一色だし。」

鈴「あ・・ありがとう・・ございます。」



私は部屋に一歩足を踏み入れ、右に左にうろうろ歩いた。



翔平「・・・・・どうした?」

鈴「あ・・あの・・・どうしていいかわからなくて・・。」

翔平「とりあえずベッドに座ってみたらどうだ?」

鈴「は・・はい。」





言われた通り、ベッドに腰かけた。




鈴「ふわふわ・・・。」



想像よりもふわふわなベッド。

あまりにも気持ちよく、私は思わず笑みがこぼれた。


鈴「・・・ふふっ。」

翔平「!!・・・へぇ。」

恭吾「お前、笑うと母さんそっくりだな。」

鈴「え?」



疑問に思う私にお兄ちゃんは机の上を指差した。



翔平「あそこ。母さんだよ。」




ベッドから立ち上がり、机に置いてあった写真たてを手に取った。



鈴「・・・お母さん?」

翔平「そ。20歳くらいの時の写真。鈴にそっくりだろ?」



私が写ってるのかと思うくらい似ていた。



恭吾「そろそろ下に行こうぜ。」

翔平「そうだな、鈴、おいで?」

鈴「は・・はい。」



私は自分の部屋を出て、リビングに向かった。

リビングではお父さんが紅茶を淹れて待っていてくれた。




お父さん「どうだった?部屋は。」

鈴「すごく・・素敵でした。」

お父さん「だってさ、よかったね、お兄ちゃん?」

鈴「え?」




お兄ちゃんたちの顔をみると、2人とも少し顔が赤くなっていた。




翔平「・・・俺らが準備したんだよ。」

恭吾「好きな色とか知らないから・・・白にしたんだけど・・・。」

鈴「私の・・・為に・・?」




誰かに何かをされたことのない私は、どうしていいかわからなくなり、席を立った。右に左にうろうろする。



恭吾「・・・・・・どうした?」

鈴「いえ・・あの・・・その・・・・。」

お父さん「ゆっくりでいいよ?言いたいことがあるならちゃんと言って?わかんないから。」

鈴「あの・・・その・・・。」



言いたいことを頭の中で何度も復唱してから私は立ち止まった。




鈴「あ・・ありがとうっございますっ。」




翔平「!!・・・どういたしまして。」

恭吾「!・・・欲しいものは言えよ?買ってやるから。」






私は椅子に座って紅茶をいただいた。

緊張しすぎて味なんてわかったもんじゃなかったけど、全部飲み干した。







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