お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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家出。

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部屋に入った私は、どうしたらいいか悩んでいた。

お母さんの大切な家族に迷惑はかけれない。



鈴(無理・・・。このままこの家にいれない。)




私はリュックに荷物を入れて背中に背負った。

そーっと階段を下りて玄関で靴を履く。



鈴(お世話になりました。)




ゆっくりドアを開けてそっと閉めた。



鈴(・・・・お母さん。)




一度通った道くらいなら覚えてる。

私は1週間前にお父さんと行ったお墓を目指して歩き始めた。













ーーーーーーーーーーーーーーーーーー









鈴が家をでて2時間後・・・




翔平「俺、ちょっと鈴の様子見てくる。」



さっきの鈴の様子が気になってた俺は鈴の部屋を訪ねた。



コンコン・・・




ノックをしても返事がない。




翔平「・・・寝た?」





このまま朝まで放っておいてもよかったけど、どうしても気になって仕方のなかった俺は、ドアノブに手をかけた。




ガチャ・・・




翔平「・・・鈴?」



部屋の中に姿は無く、ベッドで寝てるわけでもなかった。



翔平「・・・え?いない?なんで?」



リビングにいなかったことは確かだ。

部屋にいないってことは・・・



翔平「トイレ?」



そう思って2階のトイレのドアを見た。

鍵がかかってるわけでもないし、電気もついてなさそうだ。



翔平「恭吾ー!1階のトイレって誰か使ってるー?」



2階の階段から叫ぶと恭吾が見に行ってくれた。



恭吾「いやー?誰もいないけどー?」



その言葉に、俺は階段を駆け下りた。



翔平「まさか・・・!」




玄関にあるはずの鈴の靴を探す。

でもどこにもなかった。




翔平「大変だ・・・!父さん!恭吾!」




俺はリビングに急ぎ、鈴がいないことを伝えた。



お父さん「え!?いない!?」

翔平「靴もないんだよ!」

恭吾「あいつ、帰る家はここだろ?どこにいくんだよ・・・。」

翔平「さっき、鈴にちゃんと話をせずに検査のこと決めたから・・・不安になったのかも・・!」

恭吾「!!・・・俺のせいだな。」




俺たちは家をでて近所を探し回った。




翔平「鈴ー!?鈴ーっ!」

恭吾「鈴ーっ!」

お父さん「鈴?どこにいるんだいー!?」





小一時間ほど探したけど見つけれなくて一旦家に戻ってきた。




翔平「いない・・・。」

恭吾「どこいったんだ?」

お父さん「夜はだいぶ冷えるから・・・早く見つけないと・・!」




みんなで頭を捻って考えた。

帰る家はここしかないはずだ。

今日、出てきた施設に戻るとは思えない。

なら鈴はどこにいく・・・?



翔平「!!・・・お墓だ!父さん!車出して!」

お父さん「わ・・わかった!」



俺は毛布を手に持って車に乗り込んだ。

とぅさんは結構なスピードでお墓に向かってくれた。

うちの家からはお墓まで車で20分くらいだ。




翔平「お墓にいるといいけど・・・!」






15分で着いた霊園墓地。

俺は走って母さんのお墓まで行った。



芝生の一角にあるお墓。

その横で鈴が座っていた。

お墓にもたれかかってる。




翔平「・・・鈴。」

恭吾「鈴・・・。」




俺は鈴の前に行った。




翔平「鈴、帰ろ?」



そう言って鈴の肩に手を置いたとき、鈴が前のめりに倒れてきた。



翔平「鈴!?」



目の前にいた俺は鈴の体を支えた。

その体は冷たい。



翔平「恭吾!毛布!」

恭吾「ほら!」




毛布で鈴の体をくるんで、俺は抱えた。



翔平「行くぞ!」




父さんのいる車まで走って戻り、そのまま病院に・・・



翔平「いや、家に戻ろう。」

恭吾「え!?どう考えてもこのまま病院だろ!?」

翔平「鈴の意見を聞いてない。今、体が冷たいのは低体温だ。状態がよくならなければ・・・搬送する。」




車まで戻ってきたとき、父さんが鈴の状態を確認した。




お父さん「・・・うん。大丈夫だろう。家で様子をみようか。」





俺は鈴を抱きかかえたまま車に乗り込んだ。

末端の指先から擦って温める。



恭吾「俺もする。」



恭吾も反対の手を温め始めた。




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