お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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タイピン作り。

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お小遣い日・・・




お父さん「鈴、家のことをいつもしてくれてありがとう。最近は料理の腕も上がったね。」

鈴「えへへっ。」

お父さん「今月のお小遣い兼お給料だよ。無駄遣いしないようにね?」

鈴「ありがとうっ。」




私は封筒に入ったお小遣いを受け取った。

その場で開けて、いくら入ってるか確認する。



鈴「!!・・・5000円!」

お父さん「・・・欲しいものがあるだろう?それで足りる?」

鈴「足りる!ありがとう!」



私は2階に駆け上がった。

鞄に入れてある財布を取り出して、今もらったお金を一緒に入れた。



鈴「ちょっと出掛けてきまぁす!」

お父さん「遅くならないようにねー。」

鈴「はーい!」



家を飛び出した私は、急ぎ足でおじいさんのお店に向かった。



鈴「作れる・・・!やっと作れる!」



わくわくしながら私はお店のドアを開けた。



カランカラン・・・



店主「おぉ、鈴ちゃん、いらっしゃい。」

鈴「こんにちは、おじいさん!タイピン、作りに来ました!」

店主「早かったねぇ。・・・じゃあどれにするか選ぼうか。」

鈴「はいっ。」



私は翔平お兄ちゃんに似合いそうな宝石、恭吾お兄ちゃんに似合いそうな宝石、お父さんに似合いそうな宝石を選んだ。



店主「選んだかな?じゃあ、この石を埋め込むために穴を開けるよ?」



おじいさんは工具を持ってきてくれた。

削ったあとにでる粉が目に入らないように、透明な眼鏡をつける。



店主「ここをこう・・・宝石の大きさに合わせて削ってごらん?あ、深さも気を付けてね。」



私は慎重に工具を使って削った。

ゆっくりゆっくり時間をかけて・・・。







鈴「ふー・・・。」




なんとか一つ目を削り終わって顔を上げると、もう外の景色がオレンジ色にかがやいていた。

どうみても夕方だ。



鈴「あっ。もう帰らなきゃ・・・。」

店主「続きはまた今度したらいいよ。いつきてもいいし。」

鈴「・・・じゃあ、毎日朝に勉強終わらせるから、お昼から来ます!」

店主「ははっ。わかったよ。待ってるから気をつけて帰るんだよ?」

鈴「はいっ。」




私は使った道具をおじいさんに返した。

おじいさんは空いてる箱を持ってきてくれ、私の選んだ宝石たちとタイピンを一緒に箱にいれた。



店主「これでいつ来ても続きができる。」

鈴「ありがとうっ、じゃあまた明日!」




私はお店をでて、家に向かって歩き始めた。





鈴「へへー、誕生日までに出来上がるように頑張らないと・・!」




お兄ちゃんの誕生日までの日にちを指折りで数えてみた。




鈴「翔平お兄ちゃんと恭吾お兄ちゃんは1週間違いだから・・・間の日かな?・・・あっ、ケーキ!」




私がお兄ちゃんたちのもとに来たときにケーキを用意してもらった。

みんなで食べたケーキは・・・とてもおいしかった。

お兄ちゃんたちの誕生日にもケーキが必要だ・・!




鈴「買う・・のかな?お父さんに聞いてみたほうがいい?」




ぶつぶつ言いながら歩いてると、前に知ってる人いることに気がついた。

横断歩道で信号が青になるのを待ってる。



黒い髪の毛。

高い背。

長い手足。


後ろ手に頭を掻くしぐさは・・・




鈴「・・直哉お兄ちゃん?」




私の言葉にその人は振り返った。



直哉「お?鈴。なにやってんだ?」

鈴「やっぱり直哉お兄ちゃんだった。」



私はお兄ちゃんのもとにかけていった。

一緒に信号が青になるのを待つ。




直哉「どっかの帰りか?」

鈴「うん。ショッピング?の帰りー。」

直哉「・・・欲しいものは買えたのか?」

鈴「うんっ。今日もらったお小遣いでいけたっ。」

直哉「そっか。よかったなー。」




信号が青になり、私たちは歩き始めた。



鈴「直哉お兄ちゃんは?今からどこかに行くの?」

直哉「あー・・もうすぐ翔平たちの誕生日なの知ってるか?」

鈴「うん。お父さんに聞いた。」

直哉「だから誕プレ探し。」

鈴「直哉お兄ちゃんも何かあげるの?」

直哉「毎年お互いにな。・・・今年は何にすっかなー。・・・鈴は?なんかするのか?」

鈴「えっ・・!?いや・・その・・・。」





ここでいうべきなのか・・・私にはわからない・・・。




鈴「・・・ないしょ?」

直哉「ははっ。そうか用意してんだな。」



直哉お兄ちゃんは私の頭をくしゃくしゃと撫でた。




鈴「・・・お兄ちゃんたちにはないしょだからね?」

直哉「うんうん。わかってる。・・・あ、もしかしてこの前のバイトも?」

鈴「・・・・はい。」

直哉「・・幸せ者だな、あいつら。」

鈴「そういえば・・直哉お兄ちゃんは兄弟は?」

直哉「俺?一人っ子。」

鈴「そうなんだ。」

直哉「だから恭吾と鈴は俺の兄妹みたいな感じがしてさ。俺、すっげぇ幸せ。」




前を見ながら清々しい笑顔でいう直哉お兄ちゃんを私は見上げて見ていた。

屈託のない笑顔。

翔平お兄ちゃんより少し幼く見えるのはその笑顔のせい・・?




直哉「ん?どした?」

鈴「なっ・・なんでもないっ。」




私はそのあと直哉お兄ちゃんと別れ、家に戻った。





















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