お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

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恋心。

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鈴「ぎゅー・・・。」





俺の首に手を回して離さない鈴。




直哉「ちょ・・あぶな・・!」



ぐいっと引っ張られて、俺はバランスを崩した。

鈴のベッドに倒れこむ。




どさっ・・!




直哉「・・・・・・今、翔平たちに見られたら、俺、殴られるかも・・。」





『兄』と『妹』って関係なはず。

だけど今、俺は鈴と同じベッドに寝転がってる。

それも鈴に抱きつかれながら・・・。




鈴「んー・・・お兄ちゃ・・ぎゅー・・。」

直哉「・・・・ぎゅー?」




ちょっと強めに抱きしめると、鈴は喜んだ。



鈴「ふふ・・。大好き・・だよ・・。」

直哉「---っ!」




ふにゃふにゃと笑う鈴。

『兄になる』と宣言したことを忘れて、俺は鈴を抱きしめた。

『一人の男』として・・・・。





直哉「鈴・・・・・。」




鈴「・・・zzz。」




鈴の体からかくん・・と力が抜けた後、俺はベッドから抜け出した。




直哉「・・・兄妹ってすげぇな。あいつらよく鈴に惚れないでいられるよな。」




すぅすぅ寝てる鈴の前髪をかき上げる。



直哉「鈴に・・・『好き』って言われたら・・・・」



変なことを想像して我に返る。



直哉「何言ってんだ・・俺・・。」




11も離れた女の子。

まだ高校生だ。

俺みたいなおっさん・・・好きになるとは思えない。




そんなことを思いながら鈴を見てると、病室をノックする音が聞こえた。



コンコン・・・ガラガラ・・・



翔平「お?直哉?きてたのか。」




入ってきたのは翔平だった。




直哉「おぉ。ちょうど恭吾に急患が来た時についてさ、鈴が寝ちゃったから病室に連れてきた。」

翔平「あぁ、ありがとな。」



翔平は鈴の頭を撫で始めた。



翔平「ゆっくり寝ろよ?明日も検査だ。」

直哉「・・・なぁ、翔平?」

翔平「うん?」

直哉「お前・・鈴を抱きしめたりとかしてる?」



俺の言葉に、鈴を撫でていた手が止まった。



翔平「してる。寂しいときとか・・ねだってくるからな。」

直哉(それでさっき・・・。)

翔平「・・・施設では抱きしめてもらったりは無かったみたいなんだよ。かあさんの影を求めて・・・ねだってくる。」





『ぎゅってして』の意味がよく分かった。

翔平たちと一緒に暮らし始めて半年くらいになるけど・・・寂しいんだ。

まだ高校生だ。

病気もある。

自分のことで精一杯だよな。




直哉「俺・・・何考えてんだろ・・・。」

翔平「?」





後ろ手に頭を掻いて、俺は立ち上がった。




直哉「俺、帰るわ。また結果聞かせて。」

翔平「?・・・わかった。」




俺は病室を出た。

歩きながら・・・また考える。




直哉(鈴は・・・翔平たちの妹だ。俺とは何の関係もないけど・・・俺にとっても妹同然だ。)




一社会人として・・・妹同然の鈴の成長を見守る。

そう決めながら俺は家に帰った。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーー










翌日・・・





鈴side・・・




全ての検査が終わった私は、結果が出るまで病室で待つようにお兄ちゃんたちに言われた。

退屈だからケータイを触りながら待っていた。



鈴「お母さんって、どうやってあのシステム作ったのかな。」




時間のある時に調べるパソコンのプログラミング。

どうも部品から触らないと無理なものもあるらしいってことが最近分かった。



鈴「うーん・・・。」



悩んでると、病室のドアをノックする音が聞こえた。



コンコン・・・ガラガラ・・・・




お父さん「鈴ー、調子はどうだい?」

鈴「お父さんっ。元気ー。」

お父さん「ははっ。それはよかった。・・検査結果がでたよ。」




お父さんはベッド脇の机に、今までと違う薬を並べた。



鈴「?」

お父さん「検査の結果、鈴の心臓の動きがちょっと悪くなってることが分かったんだよ。」

鈴「悪い・・・?」

お父さん「うん。・・・血液を送り出す力が弱くって疲れやすかったり、血の気が引いたように倒れる。だから、薬でその力をちょっと強くしてみよう。」




お父さんは薬の説明をし始めた。

でも、その内容は私の頭に入って来ない。




お父さん「・・・鈴?聞いてる?」

鈴「お父さん・・・私・・し・・死ぬの?お母さんみたいに・・・。」

お父さん「!!・・・死なない。死なせるわけないだろ?」

鈴「やだ・・・やだよ・・・お兄ちゃんや・・お父さんとお別れしたくない・・・!」

お父さん「鈴っ!落ち着いて・・!」

鈴「やだやだっ!」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー










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