「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。

ぱんだ

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第8話 婚約破棄を決心した彼女の思いと考え

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弟が恋人に行っていた血の通った人間だと思えない冷酷非情な行動の数々を知って姉はドン引きする。フローラには謝罪を繰り返して何度も頭を下げた。

フローラもそんな姿のアリスを心苦しく感じて泣いていた。二人は一緒に大号泣して化粧が崩れるほど泣いたのでメイドを呼んで整えてもらう。その後しばらく二人は黙ってお茶を飲んだ。思い切り泣いたので気持ちはスッキリしていた。

「――今回の旅行はハリーに与えた最後のチャンスというか試したんです」

気分を一新してフローラは語り始める。これがラストチャンスだったのに……フローラは過去から現在までのハリーの冷たい態度に爆発したい感情をこらえてきた。だけどもう限界で心が空っぽになってハリーに失望する。それを今回の旅行の事で彼の心を確かめようとした。

「そうだったのね。私はフローラの気持ちをします」

魔道具で弟の隠されていた本当の姿を知って姉は、ハリーに憎悪の感情が燃えてフローラを助けるサポート役に回ることにした。アリスの言葉を聞いてやっと安心した表情になる。

正直言うとフローラはずっと怖かった。アリスがハリーを可愛がっている事は知っているので、魔道具の会話を聞いても弟だからという理由で擁護ようごする立場をとって自分と敵対するかもしない。そうなったらどうしよう?と不安にさいなまれていた。

「アリス様ありがとうございます」

嬉し涙を流してフローラは感謝の言葉を口にした。魔道具を使って会話を録音までした事に、卑怯な手段で弟を苦しめるな!と厳しく批判される事を恐れていた。

心の不安な気持ちが片付かないフローラだったが、アリスはなので家族だからといって間違っている人間を贔屓ひいきして助けたりしない。

国王の妻のアリスは王妃という国で最上級の身分といえる。そのような立場に立つ絶対的な権力を持っている者が、反社会的な行為をする頭のおかしな人を庇うわけには絶対にあってはならないことだ。

「弟に不満に思っている事はまだあるの?」
「……正直あります」
「教えてくれる?」
「お話します」

正しい事を言っているのはフローラのほうなのでアリスは彼女の味方になることを約束する。心強い味方ができたことにフローラは緩んだ笑顔を見せた。二人は一段と仲が深くなり少しの間じっと顔を見つめていた。

アリスは穏やかな声で話しかける。この際思いきって弟の残念な部分を教えてほしいと言う。今回の旅行の事でフローラはハリーが改めて心ない人間だと認識した。旅行に帰って来てからも話したが、その時も冗談でも言っていいことと悪いことがあると思った事を言い始めた。
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