8 / 15
第8話 婚約破棄を決心した彼女の思いと考え
しおりを挟む
弟が恋人に行っていた血の通った人間だと思えない冷酷非情な行動の数々を知って姉はドン引きする。フローラには謝罪を繰り返して何度も頭を下げた。
フローラもそんな姿のアリスを心苦しく感じて泣いていた。二人は一緒に大号泣して化粧が崩れるほど泣いたのでメイドを呼んで整えてもらう。その後しばらく二人は黙ってお茶を飲んだ。思い切り泣いたので気持ちはスッキリしていた。
「――今回の旅行はハリーに与えた最後のチャンスというか試したんです」
気分を一新してフローラは語り始める。これがラストチャンスだったのに……フローラは過去から現在までのハリーの冷たい態度に爆発したい感情をこらえてきた。だけどもう限界で心が空っぽになってハリーに失望する。それを今回の旅行の事で彼の心を確かめようとした。
「そうだったのね。私はフローラの気持ちを大切にして応援します」
魔道具で弟の隠されていた本当の姿を知って姉は、ハリーに憎悪の感情が燃えてフローラを助けるサポート役に回ることにした。アリスの言葉を聞いてやっと安心した表情になる。
正直言うとフローラはずっと怖かった。アリスがハリーを可愛がっている事は知っているので、魔道具の会話を聞いても弟だからという理由で擁護する立場をとって自分と敵対するかもしない。そうなったらどうしよう?と不安にさいなまれていた。
「アリス様ありがとうございます」
嬉し涙を流してフローラは感謝の言葉を口にした。魔道具を使って会話を録音までした事に、卑怯な手段で弟を苦しめるな!と厳しく批判される事を恐れていた。
心の不安な気持ちが片付かないフローラだったが、アリスは人格の優れた女性なので家族だからといって間違っている人間を贔屓して助けたりしない。
国王の妻のアリスは王妃という国で最上級の身分といえる。そのような立場に立つ絶対的な権力を持っている者が、反社会的な行為をする頭のおかしな人を庇うわけには絶対にあってはならないことだ。
「弟に不満に思っている事はまだあるの?」
「……正直あります」
「教えてくれる?」
「お話します」
正しい事を言っているのはフローラのほうなのでアリスは彼女の味方になることを約束する。心強い味方ができたことにフローラは緩んだ笑顔を見せた。二人は一段と仲が深くなり少しの間じっと顔を見つめていた。
アリスは穏やかな声で話しかける。この際思いきって弟の残念な部分を教えてほしいと言う。今回の旅行の事でフローラはハリーが改めて心ない人間だと認識した。旅行に帰って来てからも話したが、その時も冗談でも言っていいことと悪いことがあると思った事を言い始めた。
フローラもそんな姿のアリスを心苦しく感じて泣いていた。二人は一緒に大号泣して化粧が崩れるほど泣いたのでメイドを呼んで整えてもらう。その後しばらく二人は黙ってお茶を飲んだ。思い切り泣いたので気持ちはスッキリしていた。
「――今回の旅行はハリーに与えた最後のチャンスというか試したんです」
気分を一新してフローラは語り始める。これがラストチャンスだったのに……フローラは過去から現在までのハリーの冷たい態度に爆発したい感情をこらえてきた。だけどもう限界で心が空っぽになってハリーに失望する。それを今回の旅行の事で彼の心を確かめようとした。
「そうだったのね。私はフローラの気持ちを大切にして応援します」
魔道具で弟の隠されていた本当の姿を知って姉は、ハリーに憎悪の感情が燃えてフローラを助けるサポート役に回ることにした。アリスの言葉を聞いてやっと安心した表情になる。
正直言うとフローラはずっと怖かった。アリスがハリーを可愛がっている事は知っているので、魔道具の会話を聞いても弟だからという理由で擁護する立場をとって自分と敵対するかもしない。そうなったらどうしよう?と不安にさいなまれていた。
「アリス様ありがとうございます」
嬉し涙を流してフローラは感謝の言葉を口にした。魔道具を使って会話を録音までした事に、卑怯な手段で弟を苦しめるな!と厳しく批判される事を恐れていた。
心の不安な気持ちが片付かないフローラだったが、アリスは人格の優れた女性なので家族だからといって間違っている人間を贔屓して助けたりしない。
国王の妻のアリスは王妃という国で最上級の身分といえる。そのような立場に立つ絶対的な権力を持っている者が、反社会的な行為をする頭のおかしな人を庇うわけには絶対にあってはならないことだ。
「弟に不満に思っている事はまだあるの?」
「……正直あります」
「教えてくれる?」
「お話します」
正しい事を言っているのはフローラのほうなのでアリスは彼女の味方になることを約束する。心強い味方ができたことにフローラは緩んだ笑顔を見せた。二人は一段と仲が深くなり少しの間じっと顔を見つめていた。
アリスは穏やかな声で話しかける。この際思いきって弟の残念な部分を教えてほしいと言う。今回の旅行の事でフローラはハリーが改めて心ない人間だと認識した。旅行に帰って来てからも話したが、その時も冗談でも言っていいことと悪いことがあると思った事を言い始めた。
166
あなたにおすすめの小説
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
いくら時が戻っても
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。
庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。
思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは―――
短編予定。
救いなし予定。
ひたすらムカつくかもしれません。
嫌いな方は避けてください。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
婚約者は幼馴染みを選ぶようです。
香取鞠里
恋愛
婚約者のハクトには過去に怪我を負わせたことで体が不自由になってしまった幼馴染がいる。
結婚式が近づいたある日、ハクトはエリーに土下座して婚約破棄を申し出た。
ショックではあったが、ハクトの事情を聞いて婚約破棄を受け入れるエリー。
空元気で過ごす中、エリーはハクトの弟のジャックと出会う。
ジャックは遊び人として有名だったが、ハクトのことで親身に話を聞いて慰めてくれる。
ジャックと良い雰囲気になってきたところで、幼馴染みに騙されていたとハクトにエリーは復縁を迫られるが……。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
諦めた令嬢と悩んでばかりの元婚約者
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
愛しい恋人ができた僕は、婚約者アリシアに一方的な婚約破棄を申し出る。
どんな態度をとられても仕方がないと覚悟していた。
だが、アリシアの態度は僕の想像もしていなかったものだった。
短編。全6話。
※女性たちの心情描写はありません。
彼女たちはどう考えてこういう行動をしたんだろう?
と、考えていただくようなお話になっております。
※本作は、私の頭のストレッチ作品第一弾のため感想欄は開けておりません。
(投稿中は。最終話投稿後に開けることを考えております)
※1/14 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
不倫した妹の頭がおかしすぎて家族で呆れる「夫のせいで彼に捨てられた」妹は断絶して子供は家族で育てることに
ぱんだ
恋愛
ネコのように愛らしい顔立ちの妹のアメリア令嬢が突然実家に帰って来た。
赤ちゃんのようにギャーギャー泣き叫んで夫のオリバーがひどいと主張するのです。
家族でなだめて話を聞いてみると妹の頭が徐々におかしいことに気がついてくる。
アメリアとオリバーは幼馴染で1年前に結婚をして子供のミアという女の子がいます。
不倫していたアメリアとオリバーの離婚は決定したが、その子供がどちらで引き取るのか揉めたらしい。
不倫相手は夫の弟のフレディだと告白された時は家族で平常心を失って天国に行きそうになる。
夫のオリバーも不倫相手の弟フレディもミアは自分の子供だと全力で主張します。
そして検査した結果はオリバーの子供でもフレディのどちらの子供でもなかった。
彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました
Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。
どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も…
これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない…
そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが…
5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。
よろしくお願いしますm(__)m
【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる
櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。
彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。
だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。
私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。
またまた軽率に短編。
一話…マリエ視点
二話…婚約者視点
三話…子爵令嬢視点
四話…第二王子視点
五話…マリエ視点
六話…兄視点
※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。
スピンオフ始めました。
「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる