「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。

ぱんだ

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第10話 彼女と話した姉は弟を呼び真意を探る

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「ハリーあなたに話があります」
「アリス姉さんのほうから呼んでくれるなんて嬉しいな。話ってなに?」

フローラの話を聞いたアリスは数日後に弟と会って話をする事になった。ハリーはアリスが婚約者と話をした事は知らない。話し合いの場は前回と同じで今日はアリスから話があると呼んだ。

ハリーは大好きな姉に呼ばれて幸せな気分になってスキップしながらやって来た。今はテーブルを挟んで対面しているアリスに満面の笑顔を向けている。それとは逆にアリスのほうは顔から表情が消えていた。

ベルを鳴らせばメイドが矢のような素早さで駆けつけてくれるが、国王の夫マイケルは多忙のため不在で部屋の中には姉弟してい二人だけで話し合いが始まる。

「まず私に隠してることはありますか?」
「え?姉さんに秘密にしてる事?そんな事はないけど?」
「本当に?」
「うん。それより姉さんさっきから顔が怖いよ。なにか怒ってるの?」

アリスは落ち着いた調子で尋ねる。ハリーは甘える子供のような顔で隠し事はないと首を横に振って答えた。アリスはもう一度聞きますがハリーは姉の顔が怖いと心で思っていたことを自然に聞いた。

ハリーは最初に会った時からアリスの表情も雰囲気も冷たいものに感じられた。いつも笑顔で迎えてくれるのにどうして?アリスはフローラの話を聞いて弟の真実の姿を知っているので、今日は気を引き締めて話す必要があると厳しい態度で臨んでいた。

「あなたはフローラとする気はあるの?」
「そんなの当然じゃないか!だからこの前もフローラに婚約解消されたって相談しに来たんじゃないか」

確認するようにアリスは聞いた。フローラと話をしてハリーの闇に隠されたを知る。ハリーとは長きにわたって同じ屋根の下で暮らしていたのに全く気がつくことができなかった。

言葉だけでは半信半疑であったが、フローラの持っている音声を録音できる魔道具によって目が覚めた。アリスは収められた会話を聞いたが弟は最低のクズ人間でした。信じたい気持ちを否定されるようなひどい暴言を恋人に対して吐いていた。

「フローラとは別れたくないって事かしら」
「そうだよ。好きで愛し合って婚約までしたんだから僕は別れるなんてヤダ」

昔からハリーは虚言癖の持ち主で、相手の事を考えない自分に都合のいい性格でした。ですが常識の範囲内だと思っていた。実際は命がけで愛情をこめる必要がある彼女に、さんざん悪口を言ってDVで苦しめていた。

旅行の事がきっかけとなり、恐るべき人物だという真実が明らかになった弟は、フローラにあれだけ残虐非道なモラハラをしておきながら別れたくはないと言う。

「彼女だけを愛してると言えるの?」
「もちろん言えるよ。僕はこんなに好きで愛してるのに友達と旅行に行っただけで別れるなんて悲しいよ。姉さんもそう思うでしょ?」

小さな子供みたいな今にも泣きだしそうなハリーの顔からは、フローラに激怒して食ってかかるようにはとても見えない。正面にいる男が本当に恋人にモラハラをするような悪人なのか?とアリスは錯覚すら覚えた。
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