婚約者の王子が結婚している幼馴染を妊娠させる。婚約破棄になって別れたけど助けて! と泣きついてきた。

佐藤 美奈

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第9話

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「アルベルトすまなかったな」
「愛していた女房が他の男に寝取られたら辛いよな……」
「笑い者にして悪かった」

脳をやられて廃人となった王子に、親方が慰めてくれて一緒に泣いてくれた。同僚達も親方に雷を落とされ説教されて反省したようだ。次々に悪かったと気持ちを込めて詫びる。

「もう気にしてない」

彼らは深々と頭を下げて、アルベルトは心から反省した印象を受ける。その謝り方があまりにも誠実で、言葉使いが下品だけど心根のいい奴らだと感じて許す気になった。

「まずは夫婦で話し合うべきだと俺は思う」
「……はぃ……」
「そう落ち込むな。俺の場合は話す暇すらなくて、かみさんがいなくなったからな。アルベルトの場合はまだ家に帰って来てるだけましだ」
「親方……ありがとうございます……そんなに僕のことを考えてくれてたんですね……」

親方が王子の目をじっと見つめながら語る。親方は背が高く体は筋肉質でがっちりとしていますが、彫刻みたいな美形の顔。若い頃には、モテるための条件を完璧に整えた男だと容易に想像できる。

アルベルトを心配するような目つきで、柔らかく上品な手つきで肩に触れながら、適切なアドバイスを与えてくれます。彼は親方のいたわりの言葉が心に染み込んできて、体が震えて涙が止まらない。

「俺はいつでもお前の味方だぞ。どうだアルベルト今日は家に来るか?情けないが俺は嫁を寝取られた経験者だから、お前には色々な相談を聞いてやることもできるからな」
「家ですか?でもこんな遅い時間にお邪魔しては娘さんに迷惑ではありませんか?」

自分は恥ずかしいが嫁に浮気された人生の先輩だ。だから貴重な参考意見を教えられるし、手助けをすることも可能だよ?と励まし続けてくれる。

俺の家に来ないか?出し抜けに発した親方の言葉に、彼はちょっと戸惑った様子で尋ねる。夜遅く突然同僚を連れてきたら、娘さんを嫌な気分にさせるかもしれないと不安な声で言う。

「いや、それは気にする必要はない。娘も大きくなって今は丁度友人と旅行に行っている」
「そうなんですね」
「だから何も問題はないだろう?アルベルトが遠慮することは一つもない。それにな、別に娘が旅行から帰って来てもいつでも遊びに来てくれて構わないぞ」

小さな子供がいるのでアルベルトは気遣わずにいられない。だが親方は白い歯を輝かせて嬉しそうに笑顔を返していた。

子供は成長して、現在は以前から計画していた近場の海に、気の合う友達と小旅行中だと答える。その上暇なときは毎日でも遊びにおいで?と気軽な口調で穏やかに微笑む。

うちはとっても仲のいい親子で娘も世話焼きだから、気兼ねすることはないからね?喜んで迎え入れると思いのほか熱のこもった表情で説得されます。

「なんでそんなに僕を家に誘うんですか?」

露骨すぎるモーションを受けて困惑し、アルベルトは探るような眼差しを向けて親方は心臓が震える。
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