病気で療養生活を送っていたら親友と浮気されて婚約破棄を決意。私を捨てたあの人は――人生のどん底に落とします。

佐藤 美奈

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32話

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ナタリアはラウルのことをボロ雑巾のように捨ててクラウドと結婚することを決めた。最初は驚いて結婚する意志はありませんでしたが、クラウドからは実の親以上の深い愛情を感じた。この人なら自分を一生大切にしてくれるだろうと心から信頼するようになり結婚する決意を固める。

結婚式当日、しかも挙式中にラウルは突然現れた。招待状も送っていませんでしたがナタリアのことをどうしても諦めきれなくてやって来た。二人の新しい生活への門出を全員から祝福されていた時だった。

「ナタリアあああああぁぁーーー!」

後ろから急に大声で叫んだのが聞こえた。その男の姿は痩せた体と擦り切れた服の小汚い格好で、晴れやかな華々しいパーティーには場違いな感じがする。すでに周りはざわついた気配も伝わって誰もが異様な緊張と戸惑いをおぼえた。

「……ラウルか?」

クラウドはナタリアの身を守るように前に立って、警戒するような目で男を見つめた。クラウドは何か気づいたらしく相手に向かって話しかけた。変わり果てたみすぼらしい身なりをしていたが友人のラウルだと認識することはできた。

クラウドは人づてに聞いたり新聞で読んだりして知ったが、ラウルは国外追放の刑を言い渡された。ナタリアとの結婚がなくなり国の財政状況が明るみになって、ラウルは財政悪化の責任を問われて大変な罰を受けることになった。ナタリアに逆恨みするようになり仕返しをするために結婚式に現れた。

「クラウド様とナタリア様に近づく変質者を確保しろおおおおおっ!!」

指揮官の声でラウルを囲んでいた十数人の武装した警備員たちは一斉にラウルに飛びかかった。ラウルはあっけなく身柄を拘束され連行されていく。この後は厳しい取り調べが行われクラウドとナタリアを襲撃しようとした実行犯としてラウルは裁判を受けることになる。

クラウドとナタリアは一生涯、幸福な家庭生活であった。世界で夫婦仲が最も良い王と妃だと言われ多くの人々に愛され噂されていたという。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。
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