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第2話

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「オリビアから聞きましたけど、女性と二人でいたそうですね?」

数日経過したある日、ハリーと会い改めて尋ねるとハリーは明らかに動揺していた。

「非常に親密で仲の良い感じで……もしかして、この前言ったマリアさんかしら?」

石のような固い表情になっているハリーに、クロエは重ねて問うと観念したのか諦めるよりほかはないという深刻な表情で重い口を開く。

「マリアは学生の時の後輩だ……」

ハリーはそういうと肩を落としてうつむいているだけであった。

「どうして後輩のマリアさんと密接な関係を持っているのですか?オリビアには私にはにしてくれと頼んだらしいですね?」

黙って顔を伏せるようにして、ぐったりと項垂れているハリーにクロエはきつい目をして厳しく徹底的に追及した。
正直なところ、マリアという金髪の浮気相手がいるなら自ら白状しなさいという思いだ。

「……」
「なんで何も言わないの?婚約してる私たちの関係は終わりですか?」

ハリーは無言のままかたまっている。クロエは噛み付くような声で責めた。何も言わないという事は浮気を認めるのか?

「クロエどこに行く?」

クロエはすっと立ち上がると、部屋のドアに手をかけて出て行こうとしたら、ハリーはその姿を見て慌てて駆け寄ってくる。顔は焦燥感しょうそうかんにかられていて聞いてきます。

「マリアさんのことは何も話さないのに、私が部屋を退出しようとしたら焦るのですね」
「……」
「何とか言ってください!」
「……」
「今のハリーでは話にならないし婚約も考え直します」

部屋には気まずい空気が流れていた。何も話してくれないハリーにクロエは不安になり耐えられなかった。ハリーに向かって意気地なしと言いかけたがやめた。激情を抑えきれないクロエが出て行くと、なんの表情も無くハリーは孤独にぽつんと立って恋人の後ろ姿をじっと眺めているのだった。

――気分が晴れないまま自宅へ帰ってきたクロエは、やるせない気持ちが胸にこみ上げてきた。アイスティーを一気飲みして悲しげなため息をついていた。

事情を説明すればいいだけなのに、ハリーはどうして何も言わなかったのか?やっぱりマリアという人とをしているのかと考えこんでしまった。学生の時のマリアという後輩と遊んでいたなら自分にそう言えばいいだけなのに……。

「浮気だよね……?でも……」

クロエはベッドの上で考え続けていた。絶対に浮気なんてしない人だと思っていたのにショックだった。頭の中に余裕はなく知らない間に眠ってしまう。この数日後、浮気をする人間はどんな手を使ってでも浮気をすることをクロエは嫌というほど思い知らされる。
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