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第4話

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「あの、今日泊まれないかな?」
「は?……マリアさんのことを何も説明しないのなら帰って!」

今夜は泊まってゆっくり休んで行きたかったようだけど、この状況で何を言い出すのかと呆れました。クロエは間抜けな声を部屋に響かせてひどく困惑し怒って追い出すように言った。結局ハリーは何をしに来たのか?

数日後、それは偶然見かけた。クロエが馬車に乗って街を移動中の時にハリーを見かけたのだ。数人の付き人兼護衛を連れている。

「止めて!」

妙な胸騒ぎを感じてしまい大声で馬車を止めさせると、ハリーに声をかけようとしたが少し考えて後をつけてみようと思った。クロエは勘付かれないように追跡するように頼んだ。しばらく後をつけるとハリーは石造りの建物に入った。ハリーが借りている部屋?クロエの付き人に調べてもらうと二階建ての古い宿屋らしい。

「ハリー殿下の入った部屋を確認いたしました」

そう告げられたクロエは、はっと気づいて驚きの表情に変わった。ハリーはここでマリアという人としているのだと思う。オリビアの言っていた事の憶測おくそくが真実味を帯びてくる。

彼には婚約者にも言えない秘密があるのかもしれないけど部屋に突入してやろう。自分の精神をより泥沼に踏み込ませて、二人の仲が後戻りできない段階へと至ってしまうことになるかもしれませんが、クロエは中途半端なことはしないと決心した。

部屋の前に立ったクロエは興奮と嫉妬と怒りで頭が壊れそうでした。中にはハリーとマリアがいるのかと思うと、苛立ちを抑えるのにも限界であった。ドアを叩いたが何の反応もない。少しでもドアが開いたら付き人が隙間に靴を入れて強引にこじ開ける手はずになっている。

「誰だ?」

待っているとハリーの声が聞こえた。少し不審に思っているのだろう。すぐにドアを開けてくれない。クロエはこの時部屋の中で密会している事を確信する。

「宿の者ですが……」

付き人の男性が機転を利かせて宿の従業員と答えた。クロエは正直いってかなり緊張している。声を絞って怒りたい気持ちもあるが、今は冷静になる必要がありました。

「今開けるから」

ハリーがそう言いゆっくりとドアを開けはじめた。この場にはクロエと付き人の男性が二人いる。中から自分たちの姿が見えないようにドアの開く反対側に隠れた。

「あれ?」

ハリーは誰もいないので不思議そうな顔をした。確認しようとドアを開いた瞬間、付き人がドアの隙間に足と手を差し込んだ。ハリーはあっけにとられながらも慌てて何が起こったのか状況に混乱気味だがドアを閉めようとする。

「ハリー私よ開けて!」

クロエがとがめるような言い方をしてハリーにいさぎよく諦めるように促した。
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