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第14話
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絶望的な状況に置かれたテリーに、生きようと思う活力を与えてくれる存在がいました。まずフローラは言うまでもなく、もう二人いる。テリーにはまだ幼い双子の弟と妹がいた。
日々アリスにきついお仕置きを受けて、痛々しい程にひどく憔悴した兄テリーの心を純粋な笑顔で癒してくれるのです。
「テリーお兄様」
その日、学園から帰ったテリーは、ぐったりとベッドに横たわり身を沈めていた。すると部屋のドアを小さくノックする音が響く。
「マイロなんだい?」
まだ5歳の幼い弟のマイロだった。かわいらしい声がテリーの耳の中に入り込んで鼓膜を震わせると、目を開いて横たえていた体を起こし返事をする。
「遊べますか?」
「もちろんだよ。早く可愛い顔を見せてくれ」
マイロは不安がるような心細い思いでテリーに尋ねる。受け答えを聞き終えると喜びいっぱいの顔色に変わり部屋に入った。
ドアが開いてそのままテリーのいるベッドに駆けてくるマイロは、勢いよくテリーの胸の中に無邪気に飛びつく。テリーも両手を大きく広げていた。
「また大きくなったね」
「そうでしょうか?」
幼い弟を抱きしめながら、身体が順調に成長しているのを兄は大変に嬉しく思う。同時に癒される心の至福を感じる。
今日もアリスに、きわめて屈辱的な扱いを受けた。理不尽な仕打ちとしか考えられない罰だった。学園の休み時間にアリスに呼び出された時です。アリスは遊び相手の男を数人連れていました。
そしてテリーにとんでもない命令をしたのです。そのことを思い出したテリーは非常に辛い気分になり、自分はなんと惨めなのだろうかと涙があふれてきた。
「お兄様泣かないで」
「あぁ、大丈夫だよ」
「お身体の具合が悪いのですか?」
「そんなことはないよ。マイロのおかげで元気がでた」
突然にテリーが悲しそうな顔で涙をこぼす。マイロは心配する気持ちと驚きの半分で、自然に慰める言葉をかけた。
テリーは心配させまいと慌てて涙をぬぐって柔らかい笑顔で返した。でもマイロは不安な気持ちが片付かないので、真剣になってテリーの体調を気遣うのです。
テリーはマイロを抱き寄せて頭を大切そうに何度も撫でた。するとマイロの胸のつかえが緩やかに下がっていく。
「マイロ、お兄様はお疲れなんだから騒いだらダメでしょ」
双子の妹ミアが声をかけてきた。テリーの部屋に歩いてきてふと立ちどまり、開いたドアが気になり入ってきたのだ。
そして二人の楽しそうな様子を眺めて羨ましく思ったミアは、マイロに向かって叱るような口調で言う。
日々アリスにきついお仕置きを受けて、痛々しい程にひどく憔悴した兄テリーの心を純粋な笑顔で癒してくれるのです。
「テリーお兄様」
その日、学園から帰ったテリーは、ぐったりとベッドに横たわり身を沈めていた。すると部屋のドアを小さくノックする音が響く。
「マイロなんだい?」
まだ5歳の幼い弟のマイロだった。かわいらしい声がテリーの耳の中に入り込んで鼓膜を震わせると、目を開いて横たえていた体を起こし返事をする。
「遊べますか?」
「もちろんだよ。早く可愛い顔を見せてくれ」
マイロは不安がるような心細い思いでテリーに尋ねる。受け答えを聞き終えると喜びいっぱいの顔色に変わり部屋に入った。
ドアが開いてそのままテリーのいるベッドに駆けてくるマイロは、勢いよくテリーの胸の中に無邪気に飛びつく。テリーも両手を大きく広げていた。
「また大きくなったね」
「そうでしょうか?」
幼い弟を抱きしめながら、身体が順調に成長しているのを兄は大変に嬉しく思う。同時に癒される心の至福を感じる。
今日もアリスに、きわめて屈辱的な扱いを受けた。理不尽な仕打ちとしか考えられない罰だった。学園の休み時間にアリスに呼び出された時です。アリスは遊び相手の男を数人連れていました。
そしてテリーにとんでもない命令をしたのです。そのことを思い出したテリーは非常に辛い気分になり、自分はなんと惨めなのだろうかと涙があふれてきた。
「お兄様泣かないで」
「あぁ、大丈夫だよ」
「お身体の具合が悪いのですか?」
「そんなことはないよ。マイロのおかげで元気がでた」
突然にテリーが悲しそうな顔で涙をこぼす。マイロは心配する気持ちと驚きの半分で、自然に慰める言葉をかけた。
テリーは心配させまいと慌てて涙をぬぐって柔らかい笑顔で返した。でもマイロは不安な気持ちが片付かないので、真剣になってテリーの体調を気遣うのです。
テリーはマイロを抱き寄せて頭を大切そうに何度も撫でた。するとマイロの胸のつかえが緩やかに下がっていく。
「マイロ、お兄様はお疲れなんだから騒いだらダメでしょ」
双子の妹ミアが声をかけてきた。テリーの部屋に歩いてきてふと立ちどまり、開いたドアが気になり入ってきたのだ。
そして二人の楽しそうな様子を眺めて羨ましく思ったミアは、マイロに向かって叱るような口調で言う。
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