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第二話
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ロベルト殿下は動揺した様子で口を開く。
「アンナ私達は愛し合っていたじゃないか?」
「殿下は何を言っておられるのですか?」
「アンナ目を覚ましてくれ!」
「触らないでください!」
「アンナ?」
「いかに殿下といえども淑女に礼儀知らずな態度ですよ! それも私の友人の婚約者の目の前で……」
「アンナ一体どうしたんだ?なぜそんなことを言うんだ?」
恋心を注いでいた対象に冷淡な態度をとられたロベルト殿下は落ち着きをなくす。
「マリア私は殿下とは何もありませんから帰らせてもらいます」
「アンナ待ってくれ! 私を捨てるのか?」
「殿下私達は最初から付き合っていないのに捨てると言われても困ります」
「ふざけるなアンナ!」
拒絶反応を示すアンナ令嬢にいくらなんでもロベルト殿下も怒り心頭になる。
「言わせてもらうがアンナが私以外に別の男と同時進行で交際しているのは知っているんだぞ!」
「それがなにか問題でも?」
「その男がいるから私は用済みだということか!」
「殿下の言われることが全くもって理解できません。恋人でもない殿下には何も関係ございませんが?」
「もう謝っても許さんからなアンナ!」
アンナ令嬢は不敵な笑みをもらしてその場を去りました。
部屋の中に残されたのは、小さい頃から気心の知れた友人に裏切られたマリア令嬢とその浮気相手に見捨てられた哀れなロベルト殿下でした。
ロベルト殿下は口先だけは虚勢を張り強がってみせていましたが、アンナ令嬢が退出した後にはしゃがみ込み泣き崩れています。
「アンナ私達は愛し合っていたじゃないか?」
「殿下は何を言っておられるのですか?」
「アンナ目を覚ましてくれ!」
「触らないでください!」
「アンナ?」
「いかに殿下といえども淑女に礼儀知らずな態度ですよ! それも私の友人の婚約者の目の前で……」
「アンナ一体どうしたんだ?なぜそんなことを言うんだ?」
恋心を注いでいた対象に冷淡な態度をとられたロベルト殿下は落ち着きをなくす。
「マリア私は殿下とは何もありませんから帰らせてもらいます」
「アンナ待ってくれ! 私を捨てるのか?」
「殿下私達は最初から付き合っていないのに捨てると言われても困ります」
「ふざけるなアンナ!」
拒絶反応を示すアンナ令嬢にいくらなんでもロベルト殿下も怒り心頭になる。
「言わせてもらうがアンナが私以外に別の男と同時進行で交際しているのは知っているんだぞ!」
「それがなにか問題でも?」
「その男がいるから私は用済みだということか!」
「殿下の言われることが全くもって理解できません。恋人でもない殿下には何も関係ございませんが?」
「もう謝っても許さんからなアンナ!」
アンナ令嬢は不敵な笑みをもらしてその場を去りました。
部屋の中に残されたのは、小さい頃から気心の知れた友人に裏切られたマリア令嬢とその浮気相手に見捨てられた哀れなロベルト殿下でした。
ロベルト殿下は口先だけは虚勢を張り強がってみせていましたが、アンナ令嬢が退出した後にはしゃがみ込み泣き崩れています。
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