「私も新婚旅行に一緒に行きたい」彼を溺愛する幼馴染がお願いしてきた。彼は喜ぶが二人は喧嘩になり別れを選択する。

佐藤 美奈

文字の大きさ
3 / 50

第3話

「イリス様、私の我儘なお願いを聞き入れてくれてありがとうございます」
「僕も嬉しいよ。イリスありがとう」

イリスから一緒に旅行を行くことを許されたエレナは、心からお礼を申し上げてよろしくお願いしますと、感謝の気持ちでいっぱいです。

ハリーは、ありがとうとイリスの耳元でささやくように言うと、エレナをまっすぐに見つめ、今までイリスに見せたことのない柔らかで幸福そうな表情を浮かべる。

そして二人は抱き合いながらハリーはエレナの頭をなでてやり、エレナは頬をハリーの胸に押し当てて、とても嬉しそうに微笑していた。

すぐ横でイリスは肩を落とし、気絶しているのに近い状態で無言で立ち尽くしたままだった。

結婚披露パーティーが終わり、ほとんど全ての出席者から拍手喝采を浴びた。イリスとハリーは照れ笑いしていますが、とても幸せな気分で恵まれた人生を歩んでいくに違いないと思っていた。

夫婦はその後馬車に乗ってハネムーン旅行に向かった。その馬車にエレナは乗ってきた。自然な形で着席しているのに気がついたイリスは、首をひねって不安と疑問を感じてしまう。

「エレナも一緒だから楽しい旅行になりそう」
「私も新婚旅行に連れて行ってくれて嬉しい」

ハリーとエレナは見るからに和気あいあいたる様子であった。二人は至極愉快な気分で、打てば響くような会話のやり取りをしている。

だがイリスは、その話に納得出来ない部分があって不思議そうな顔になった。エレナが口にした新婚旅行に連れてってくれて嬉しいという言葉。


「あなたは一体どうしてここへ?」

イリスがそう問いかけるまでに少し時間がかかる。ハリーとエレナが陽気なおしゃべりを続けて、時々甘い言葉と笑顔を振りまきつつ、べたべたお互いの体を触れながら幸せそうにしているので、イリスは若干居心地が悪かった。

二人の会話は、イリスの陰気な雰囲気をよけいきわだたせているようだった。話の輪に入れそうで入れず、数時間前に結婚式を挙げたばかりの自分を、気遣わないハリーにも苛立ちを隠せない。

ぞんざいに扱われているみたいで、このまま放って置かれるのではないかと思うと、ついにイリスは我慢ならなくなって口を開いた。その声色には怒りの気持ちが現われていた。

「イリス何を言っているんだ?」
「えっ?どういうこと?」

二人で楽しくおしゃべりをしていたら、イリスが口を挟んできて会話が一時中断された。ハリーは不意の質問にもかすかな笑みを向けて平然と答える。

だが、どれだけ考えてもイリスは答えが全く浮かんでこなかった。

あなたにおすすめの小説

成人したのであなたから卒業させていただきます。

ぽんぽこ狸
恋愛
 フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。  すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。  メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。  しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。  それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。  そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。  変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。

冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。

水垣するめ
恋愛
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。 しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。 マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。 当然冤罪だった。 以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。 証拠は無い。 しかしマイケルはララの言葉を信じた。 マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。 そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。 もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。

朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」  テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。 「誰と誰の婚約ですって?」 「俺と!お前のだよ!!」  怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。 「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。 「さっさと死んでくれ」 フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。 愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。 嘘つきな貴方なんて、要らない。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 11/27HOTランキング5位ありがとうございます。 ※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。 1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。 完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。

旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?

白雲八鈴
恋愛
 我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。  離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?  あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。  私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>